岩井圭也著『夏の陰』(2019年4月26日KADOKAWA発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
出会ってはならなかった二人の対決の行方は――。「罪」と「赦し」の物語。
運送会社のドライバーとして働く倉内岳は、卓越した剣道の実力を持ちながら、公式戦にはほとんど出場したことがなかった。岳の父である浅寄准吾は、15年前、別居中だった岳と母の住むアパートに立てこもり、実の息子である岳を人質にとった。警察との膠着状態が続いた末、浅寄は機動隊のひとりを拳銃で射殺し、その後自殺する。世間から隠れるように生きる岳だったが、自分を剣道の道に引き入れてくれた恩人の柴田の願いを聞き入れ、一度だけ全日本剣道選手権の京都予選に出場することを決意する。予選会の日、いかんなく実力を発揮し決勝に進出した岳の前に、一人の男が立ちはだかる。辰野和馬、彼こそが岳の父親が撃ち殺した機動隊員の一人息子だった。「死」を抱えて生きてきた者同士、宿命の戦いが始まる――。
倉内岳:亀岡剣正会の剣道四段。旧姓浅寄。サワノ運送の配達員。27歳。母親は香奈子。
浅寄准吾(あさより・じゅんご):岳の父親。香奈子の元夫。
柴田:亀岡剣正会代表。
植木:亀岡剣正会副代表。植木武道具の店主。娘は高校生の優亜。
辰野:京都府警。父は岳を助けて浅寄に撃たれた泰文。母は千冬。楓(かえで)は幼馴染。
岩井圭也(いわい・けいや)
1987年生れ。大阪府出身。北海道大学大学院農学部終了。
2018年『永遠についての証明』で第9回野性時代フロンティア文学賞受賞。
他、本書『夏の陰』『文身』『プリズン・ドクター』
小学5年生から剣道を始め、十数年続けた。公式戦に出場したことはなく、いつも控え。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:お勧め)(最大は五つ星)h
話がダラダラして長い。もっとキリリとコンパクトにまとめて欲しい。父が犯罪者であるひけ目による辛い出来事を何回も引っ張る。犯罪者の息子が差別される状況は理解できるが、本人は自分が悪いわけではないのでぐじゅぐじゅせずにちゃんとしてろ!と思う。
まあ、俺には剣道しかないという気持ちは理解できるが。
辰野の方も、なんで当時中学生の岳を恨むのかようわからん!
剣道の試合のシーンはオモロなかった。剣豪の果し合いシーンなら絵空事なので大げさな文でも乗っていけるが、実際の試合の描写では派手な部分は漫画チックだし、リアルだと地味だし、ぱっとしなかった。