hiyamizu's blog

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上野千鶴子「男おひとりさま道」を読む

2010年02月22日 | 読書2

上野千鶴子著「男おひとりさま道」2009年11月、法研発行を読んだ。

事例の紹介とその分析というパターンで、死別、離別、非婚シングルの男性の老後の暮らしのノウハウを提供している。また、老老介護の現状を事例紹介し、ひとりの老人の在宅支援方法を探求し、施設に入るよりは自宅で過ごすことを勧める。

たまたま気になったところをいくつか。

男性も85歳を超えれば、シングルの割合は3人に1人。妻に先立たれる“番狂わせ”も、例外とは言えない。



死別、離別、非婚シングル男性の悲惨な事例をあげて、千鶴子さんは言う。

だから、男おひとりさまについて書くのはイヤだって言ったでしょ。話がなかなか明るくならないから・・・。



夫が妻を介護するケースも増えてきているが、妻が夫主導の介護に文句もいわず従わなければいけない「介護者主導型介護」になりがちだ。

妻に先立たれた夫の喪失感は深い。それは、「妻以外にどんな人間関係も築いてこなかったツケ、と言えるかもしれない。」

「たいがいの女は職業よりは子育てのほうに、人生の優先順位を置く。」だから、「女の定年は母(親業)からの定年だ」。女性の第一次定年は子どもが小学校の高学年から中学生のころだろう。

これとは反対に、フルタイムの仕事から定年を迎える男性は、老後へと“ハードランディング”しがちだ。そんなときには、ひと足早く余年を迎えた女性の生き方が参考になるだろう。

{無二の親友もやがては先立つ}
老後のおひとりさまを支えてくれるのは、「このひとイノチ」という運命的な関係よりは、日々の暮らしを豊かにしてくれるゆるやかな友人のネットワーク。そう思っていたら、ファッションデザイナー花井幸子さんの『後家楽日和』(法研2009年)に、「無二の親友より10人の”ユル友”とあった。





私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)

ベストセラーになった『おひとりさまの老後』の二匹目のドジョウと思ったが、むしろより良くまとまっている。ただ、

男って「死ななきゃ治らないビョーキ」だね、とつくづく思うことがある。それはカネと権力に弱い、ということだ。



と言われると、私もそうでないが、とくに団塊以下の男性はもうそんなことないのにと思う。しかし、

男たちをみていると、女に選ばれることよりは、同性の男から「おぬし、できるな」と言ってもらえることが最大の評価だと思っているふしがある。


と言うのは、少なくとも私については当たっている。

また、障碍者が施設より地域に支えられて自宅に住む方向になっていることをあげて、男性のシングル高齢者も施設より自宅住まい、自宅介護を著者は勧めているが、私には現状を考えるとどうみても無理があると思えし、私自身はそんな状況になったら生活のためにエネルギーを使うより、施設でのんびり本を読んだり、TVを見たりした方が良いと思える。

上野千鶴子の略歴と既読本リスト



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