hiyamizu's blog

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高田郁『あきない世傳 金と銀 源流篇』を読む

2016年12月07日 | 読書2

 

高田郁(かおる)著『あきない世傳(せいでん) 金と銀 源流篇』(時代小説文庫2016年2月18日角川春樹事務所発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸(さち)。父から「商は詐(いつわり)なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商「五鈴屋(いすずや)」に奉公へ出されることになる。慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。果たして、商いは詐なのか。あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か――大ベストセラー「みをつくし料理帖」の著者が贈る、商道を見据える新シリーズ、ついに開幕!

 

第1章~第3章

 華やかな元禄から、物が売れず商売には厳しい享保年間。7歳の幸は、私塾「凌雲堂」を主宰する父、秀才の兄の影響で、七夕の願いに「知恵」と書き、知恵を授かりたいと思う。しかし、父と兄を失って、9歳で大阪の呉服屋に奉公に出される。

 

第4章~第6章

 お店自体に入れるのは店主の家族、番頭、手代、丁稚のみ。彼らの世話をする女衆3名の一番下となった幸は一生鍋を磨くだけの定めとなった。しかし、折に触れて、向学心と賢さが表れて番頭治兵衛や3男智蔵に可愛がられ、学ぶ場を与えられる。

 

第7章~第12章

 嫁の菊栄をもらった徳兵衛だが・・・。3兄弟の争いが厳しくなり・・・。ラストには幸が悲惨な立場になりそうな記述が・・・。早瀬篇へ続く。

 

大阪の洒落言葉

 畑の羅漢:はたらかん怠け者

 袖口の火事:手が出せぬ

 赤子の行水:銭が足らい(盥:たらい)で泣いてる

 饂飩(うどん)屋の釜:言う(湯ぅ)ばっかり

 

初出:本書はハルキ文庫の書き下ろし

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星)

 

 『みをつくし料理帖』のあの高田郁(かおる)が、じっくり書き上げた新シリーズだ。どんな細部にも手を抜いていないし、読みやすい。ワクワクしながらどんどん読める。

知恵を求め、学問に対する好奇心旺盛な「幸」は女性なのに、感情移入してしまう。

 

 

 

五鈴屋(いすずや):伊勢出身の初代徳兵衛が「古手」(古着)を天秤棒で担いで商いを始め、大阪天満の裏店に暖簾を掲げて創業。伊勢の五十鈴川から恐れ多いと「十」をとって「五鈴屋」と名付けた。

二代目が富久と共に古手商から呉服商に。三代目は男児3人を遺し急逝。富久が番頭治兵衛の後見を得て、五鈴屋を切り盛りし、20歳の長男を四代目徳兵衛とした。

 

幸(さち):摂津(せっつ)国武庫(むこ)郡津門(つと)村の学者・重辰(しげたつ)と母・房の娘に生まれ、、兄・雅由(まさよし)、妹結(ゆい)。父の死後、大阪の呉服屋「五鈴屋(いすずや)」に女衆として奉公する。

 

富久(ふく):「五鈴屋」の二代目徳兵衛の嫁。息子の三代目徳兵衛の没後は、三人の孫と店を守る。「お家(え)さん」と呼ばれる。

治兵衛:「五鈴屋」の番頭。「五鈴屋の要石」と称される知恵者。幸の商才を見抜く。息子賢輔。

 

四代目徳兵衛:富久の初孫で、現店主。放蕩者。「阿呆(あほ)ぼん」と呼ばれる。

惣次(そうじ):四代目徳兵衛の次弟。商才に富むが、店の者に厳しい。大きな身体に不細工な顔。

智蔵:四代目徳兵衛の末弟。読書家。

菊栄(きくえ):船場の紅屋の末娘。17歳で22歳の徳兵衛へ嫁いでご寮さんとなる。

 

「五鈴屋」の女衆: お竹(年長)、お梅、幸

「五鈴屋」の奉公人:手代(鉄七・伝七・佐七・留七・末七)、丁稚(広吉・安吉・辰吉)

 

 

 

高田郁(たかだ・かおる)

1959年、兵庫県宝塚市生れ。中央大学法学部卒。
1993年、川富士立夏の名前で漫画原作者としてデビュー。高田郁は本名。
2006年、短編「志乃の桜」
2007年、短編「出世花」(『出世花 新版』、『出世花 蓮花の契り』)

2009年~2010年、『みをつくし料理帖』シリーズ『第1弾「八朔の雪」、第2弾「花散らしの雨」、第3弾「想い雲」

2010年『 第4弾「今朝の春」

2011年『 第5弾「小夜しぐれ」

『 第6弾「心星ひとつ」』

2012年『 第7弾「夏天の虹」』

みをつくし献立帖

2013年『 第8弾「残月」』

2014年『第9弾「美雪晴れ』『第10弾「天の梯」

2016年 本書『あきない世傳 金と銀 源流篇』

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