hiyamizu's blog

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アガサ・クリスティー『ミス・マープルの名推理  パディントン発4時50分』を読む

2021年01月09日 | 読書2

 

アガサ・クリスティー著、小尾美佐訳『ミス・マープルの名推理  パディントン発4時50分』(<ハヤカワ・ジュニア・ミステリ> 2020年4月25日早川書房発行)を読んだ。

 

宣伝文句は以下。

走る列車の窓から見えた殺人現場! でも死体はどこにも見つからない

マギリカディ夫人は列車の窓から見た風景に、あっと驚いた。並んで走る列車のなかで男が女を絞め殺すところだったのだ。すぐに通報したが、死体は車内のどこにも見つからない。その話を聞いたミス・マープルは、ある作戦を思いつく。果たして死体の行方は?

 

原題は“4.50 FROM PADDINGTON” で、1957年刊。マープルシリーズ第7作目。」

 

本書はジュニア向けで、表紙も、巻頭の見開きも、続く人物紹介にも漫画が並ぶ。しかし、マープルさんなどお年寄りも一見若い女性のように書かれていて、パット見た時には混乱してしまう。(イラストは藤森カンナ)

 

パディントン駅発4時50分の列車に乗ったミス・マープルの友人のマギリカディ夫人は、隣の線路を並走する列車の車窓に男が女の首を絞めて殺している瞬間を目撃した。マギリカディ夫人とミス・マープルは警察に話したが、警察の捜査では車内外に死体は発見されなかった。

殺人犯は列車内で絞殺した死体を線路が大きくカーブする地点のクラッケンソープ家の土地に投げ落としたとミス・マープルは考えた。そこで、極めて有能な家政婦のルーシー・アイルズバロウにクラッケンソープ家の家政婦になってもらう。ルーシーは、数日後、納屋の中の石棺に死体を発見した。

被害者が誰かが不明で、捜査は一向に進まない。クラッケンソープ家の膨大な遺産を巡り、当主ルーサーの子供たち4人などが集まる中、第2、第3の殺人が起こる。

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お勧め)(最大は五つ星)

ああなのかな、こうなのかなといろいろ迷わせてくれるのは良いのだが、最後の謎解きは強引すぎると思う。

60年以上前の作品なのでやむを得ないのだが、持って回った表現で時代を感じる。ジュニア向けのせいなのかもしれない。

 

登場人物

ミス・マープル:村に住む探偵好きな独身の老婦人。

マギリカディ婦人:ミス・マープルの友人。殺人の目撃者。

ルーシー・アイルズバロウ:凄腕の家事代行業者。オックスフォード大学数学科首席卒業。32歳。マープルに雇われて死体を捜索する。もちろん美人。

ルーサー・クラッケンソープ:クラッケンソープ家の当主。妻を亡くし、館ラザフォード・ホールで娘のエマと暮らす。偏屈者。

エドマンド・クラッケンソープ:ルーサーの長男。フランスで戦死。

マルティーヌ:エドマンドと結婚したらしいフランス人。クラッケンソープ家の誰も彼女に会ったことがない。

セドリック・クラッケンソープ:ルーサーの次男。画家。未婚。

ハロルド・クラッケンソープ:ルーサーの三男。会社重役。銀行家。伯爵令嬢の妻はアリス。

アルフレッド・クラッケンソープ:ルーサーの四男。裏社会の何らかの仕事をしている。

エマ・クラッケンソープ:ルーサーの長女。父の世話をしている。主治医に恋心を寄せる。40歳前。

イーディス・イーストリー:ルーサーの次女。4年前に死去。

ブライアン・イーストリー:イーディスの夫。元・戦闘機パイロット。30歳位。アレグザンダーは息子。

ジェイムズ・ストッダード=ウエスト:アレグザンダーの友だち。母はストッダード=ウエスト夫人

クインパー:クラッケンソープ家の主治医。エマに好意を寄せる。

クラドック:スコットランド・ヤード(ロンドン警視庁)の警部。

アンナ・ストラビンスカ:バレエダンサー。マリツキバレエ団の団員。

 

 

アガサ・クリスティー “Agatha Christie”

アガサ・クリスティーはこう語った。

どんな女性にとっても最良の夫というのは、考古学者に決まっています。妻が年をとればとるほど、夫が興味を持ってくれるでしょうから。

彼女は夫に愛人ができた為に離婚し、40歳の時、26歳のマックス・マローワンと再婚した。考古学者だった。

1890年、イギリスのデヴォン州トーキー生まれ。
1914年、24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚
1920年、長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。
1926年、謎の失踪。10日後に発見。
1928年、離婚。1930年にマックス・マローワンと出会い、嵐のようなロマンスののち結婚。
1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。大英帝国勲章が授与。

他、『終わりなき夜に生まれつく』、『ミス・マープルの名推理  パディントン発4時50分』『春にして君を離れ

 

小尾芙佐(おび・ふさ)
1955年津田塾大学英文科卒。英米文学翻訳家
訳書、クリスティー『第三の女』、ル・グィン『闇の左手』、アシモフ『われはロボット〔決定版〕』、キイス『アルジャーノンに花束を』(以上早川書房刊)他多数

 

 

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