浜田省吾著『ソングライターの旅 Journey of a Songwriter 』(2021年6月23日幻冬舎発行)を読んだ。
「浜田省吾デビュー45周年記念の初の詩集発売」という宣伝文句につられて、詳細に目もくれず、手に入れて、読んでみてびっくり。浜田省吾作詞の101曲の歌詞を並べた本だった。
467ページと大部だが、なぜか4500円とえらく高価。図書館へリクエストして読んだので文句はないが。
101の縦書きの歌詞と、歌詞の意味が分からない外国人ファンが多いのだろうか、英訳歌詞と、22枚以上のムードある景色の中のかっこよい浜田省吾の写真。(装幀とすべての写真は田島照久氏)。
チェックしたわけではないが、恋をテーマとする歌が多い感じがした。また、文中に英語が登場する歌詞が散見する。
私が浜田省吾を知ったのは遅く、福山雅治がカバーした「もうひとつの土曜日」を聞いて、CDを手に入れて、ハマってからだ。
なにより、浜田省吾の深みのある独特の声が魅力的だ。絶対にサングラスを外さないあの姿も、何か哲学的なこと考えているようでかっこいい。TVにほとんど登場しないので、私だけのという感をファンに抱かせて、離なせなくしてしまう。
この本の歌詞だけ見ても思い出さない曲もあるのだろうが、私が好きな曲をご紹介したい。
私が101の歌詞の中で一番好きなのは、何と言っても、「もうひとつの土曜日」だ。6番までがストーリー性をもって並んでいて、分かりやすく、覚えやすい。そして、書いてない哀しい結末も想定できる。彼はプロポーズをあの魔の言葉、「あなたはいい人よ。だから、お友だちでいましょうよ」で断られ、彼女は不倫に疲れ果て、故郷に帰っていく。(p136)
「悲しみは雪のように」が2番目だろうか。歌詞を読んでいると、浜田省吾のあの深い声が聞こえてくる。母親が突然倒れて危篤になったときに作った曲のようだから、全編悲しみに満ちているのだろう。(p98)
「星の指輪」はあまり知られていない曲だと思うが、私は3番目に挙げたい。奥さんと二人だけで出かけ、今でも好きだという曲で、しみじみとし、静に楽しめる。若くして結婚し(26歳)、仲が良さそうな浜田の生活、子供はいないようだ、が想像できる。
我が相方に、「本当は俺、こんな風に思ってるんだけどね」と冗談ぽく言って、歌ってみせたらよかったのだが、歌えなかったので、スマホから浜田の歌を聞かせたことがあった。最後のほうに「輝く星を指輪にして」とあって、題名が「星の指輪」なのだが、相方の感想は「でもやっぱり本物がいいわね」だった。そこかよ!トホホ。(p192)
「片想い」も遠くから密かに想いを寄せるその気持ちがよくでていて、哀しい過去を思い出させる曲で、好きだ。
こう並べてくると、静かなバラードばかりだ。浜田にはロック調の曲も多いので、初期の作品「路地裏の少年」(p12))と、有名な「J.Boy」(p146)だけを挙げておこう。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)
浜田省吾のファンに限り、一読の価値はあるだろう。長く聞いていると、どうしても好きな曲が決まってきて、聞く曲は限定されてしまう。101曲をパラパラ見て、そうそうこんな曲もあったと思い出すのも良いものだ。
30枚近く挿入されているムードある写真もファンには垂涎?だろう。
でも、4500円は高い。