hiyamizu's blog

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青山七恵『あかりの湖畔』を読む

2012年02月10日 | 読書2
青山七恵著『あかりの湖畔』2011年11月中央公論新社発行、を読んだ。

祖父の代からの古びた食堂「お休み処・風弓亭(ふうきゅうてい)」は山の上の湖のほとりにあるあまり人が入らない店だ。父はすでにふもとの温泉街の観光案内所勤めに変わり、家族は店を冬の間だけでも閉めることをすすめるが、久米家三姉妹の今年26歳になる長女の灯子は風弓亭を続けることにこだわっている。次女は東京で女優になろうとしており、高校生の三女は美容師になることを夢としている。
灯子は15年前に家を出て行った三姉妹の母親の事情に関わったため、自分が家族を壊したと思い込んでいる。

初出:読売新聞2010年7月12日~2011年4月8日



私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

話の流れは良くあるといえば良くあるものだ。母親をめぐる秘密がベースになっているのだが、その事よりも、三姉妹それぞれの立場、性格と気持ちがよく描かれていてそれがこの小説のメインだと思った。女性には好まれるかもしれない。

三姉妹の関係は、これも細雪を思わせるが、一人っ子の私には面白かった。慎ましく、臆病ともいえる長女、積極的で強気の次女、まだ子供でおとなしいと思われているが芯が強そうな三女、存在感のない父親。このありがちな家族が、様々な会話や、ちょっとした事件を通してありありと描かれる。



青山七恵は、1983年、埼玉県生まれ。
筑波大学図書館情報専門学群卒業。
2005年、在学中に書いた「窓の灯」で文藝賞、
2007年「ひとり日和」で芥川賞受賞。
2009年、「かけら」で川端康成文学賞を最年少で受賞。
その他、「やさしいため息」、「「魔法使いクラブ」」、「「私の彼女」」。




登場人物

久米灯子 (長女26歳) 「お休み処 風弓亭」を切り盛りしている。控えめ。
悠   (次女) 女優志望で、隆史と東京へ行く。
花映  (三女) 高校生 美容師志望。
源三  (父)  温泉街の観光案内所勤務。
芳子  (源三の妹 叔母) 風弓亭を手伝っている。 息子は高校生の俊介。
淳次  灯子と遠い親戚で幼馴染、ロープウエイで働く。
清   灯子の親友、温泉街の仲居。
橋本辰生 観光地調査で来て、ホテルで働くようになる。
タキ  隣の松野屋のおばあさん。



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