hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

川上弘美「これでよろしくて?」を読む

2010年04月11日 | 読書2

川上弘美著「これでよろしくて?」2009年9月、中央公論新社発行を読んだ。

主人公の上原菜月(なつき)は、38歳の主婦。夫・光との結婚生活は7年になろうとし、子供はいない。ある日、元彼の母親に声をかけられ、一緒にお茶を飲むことになった。彼女が、「ねえ、菜月さん、わたしの入ってる会に、一緒に来てみない」と出したカードには、「これでよろしくて? 同好会」と書かれていた。
年代も様々な正体不明の4人の女たちとともに、日常生活上の問題について、大まじめに論じ合うことになる。

">「あらたにす」の「著者に聞く」で、川上弘美さんは言う。

「ガールズトーク」とは女同士の話は有益な情報の交換の場でもあるし、一種の動物の毛づくろい的な儀式でもあるんです。そんな意味があるような、ないような会話をかわすうちに、日々の仕事や家庭のあつれきでむすばれていた気持ちが柔らかくほどけてくる。それが「ガールズトーク」のよろしさなんだと思うんです。

この小説は、女の人たちの最も日常的なあれこれをすくい取るようなものにしたいなあと思いました。悩ましいこともあれば、愉快なこともある、そんな日常をいきいきと描ければいいなあと思ったんです。
 そのためには具体的なエピソードが欲しくて、編集者の女の子たちの協力を得て、ちょっと笑える話、へんな話、不思議なエピソードなどを集めてもらったりもしました。



議題例は以下。
「社会人の息子の部屋を訪れたら、彼の友人がいて見知らぬ女の子と寝ていた場合、どういう態度をとるべきでしょうか」
「何が終わったあとで、どのタイミングで、どうやって下着を再び身体につけるか」
「義理の母の独り暮らしの家に、夫と2人で帰省しました。お風呂に入る順番は、どうすればいいでしょう」

女性なら、「あるある!」と思うだろう、こんな話も出てくる。
「”女の子声”の使用期限はいつまでか?」、「どうしていつも、財布は太ってしまうのか?」、「”いざという時のカレー頼み”はどのくらいの頻度で許されるのか?」などなど、



私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)



ようするに、まじめな井戸端会議の様子と、菜月の義母との関係、いや夫と義母との関係など家族の悩みに関する話ですべてが終わる。ただそれだけなのだが、男性たる私も300ページを超えるこの本を一気に読んでしまった。

冒頭、「スーパーマーケット丸鷹からほぼ毎回のぞく小店の並ぶ大きな楕円形の道筋」がいつも決まり切っているので、まるで主婦のけもの道のようだと、「買いもの道」と心の中でそう呼んでいると出てくる。それだけで、菜月のなにか物足りない日常がわかってしまう。

菜月が機嫌の悪い夫に対応する「おうむがえし法」が出てくる。夫が「傘をなくしちゃって」といえば、「なくしちゃったんだ」と話した語尾を繰り返して話す方法だ。これがいつもは効果あるのだが、頭に来ることを言われて、ついとんがった声で返してしまうのが、笑える

結婚して2年ほどたって勤めていた会社の先輩にあった。どちらかと言えば地味な人だったのに、思ったよりも垢抜けていた。菜月は気付く、「会社をやめて私はゆるんだのだ。私の方が遅れてしまったのだ」。
しかし、私に言わせれば、最近の、ということは30年ほど前からだが、奥さんは、娘さんと見分けがつかない。昔は結婚したら、奥さんとはっきりわかる様子になり、子どもができたら、いかにもお母さんという格好になったものだ。



川上弘美の略歴と既読本リスト



以下の「作家の読書道」には私の馴染みの店がポンポン出てくる。川上弘美さんは三鷹在住で、吉祥寺にも出没するらしい。そういえば、武蔵野中央図書館に川上さんのと思われる寄贈本があった。

―― 本屋さんへはどれくらいの頻度で行かれますか?
川上 : 街に出た時は必ず、よりますね。おかず買いにとか、買い物には毎日でますけど。三鷹とか、吉祥寺などには2日に一度ぐらい。三鷹なら駅ビルの中の本屋。吉祥寺なら、パルコブックセンター、弘栄堂、ルーエなど。ここらへんは1週間に一度は覗きます。
吉祥寺近辺には古本屋さんも多くて。三鷹にもマンガの古本屋さんがあるし、西荻にも不思議なお店もあるし。吉祥寺ではブックステーションって大きい中古本屋さんや、三角堂とか、サンロードの中の2軒とか、サンロード抜けた所の五日市道路沿いのお店と。前を通れば、本屋の前の台もチェックします。



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