ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~知らぬ、存ぜぬ、我関せず~

2012-10-12 | 散華の如く~天下出世の蝶~
しかし、生駒の場合、ちと違うらしい。
嫁ぎ先の夫も優しく、子供にも恵まれ、それなりに幸せだった…と。
おいおいと感傷に浸っているのか、泣いているのか?
女の涙は、武器。だがな、女の私にそれは役立たんぞ。同情など、絶対に…、
夫は討死。子供は…、
帰蝶「養子…?」
生駒「まだ幼く…引き取られましてございます。それに…、う…」
袂で、美しい顔を覆った。
帰蝶「…」
同情ではないが、同じ女として心痛んだ。
幼子が母の手から引き離され、一人恥を忍んで実家に戻る。
私が、同じ立場なら…、
殿に、もしもの事があったなら…、
私には戻る家も、私を守ってくれる家族も無い。
美濃に帰れば、おそらく、尾張の情報を流せと言われる。
それか、別の家に嫁がされる。
生駒が、殿にすがる気持ちも、痛いほど分かる。それにややの事…、
ふ…と、信輝の幼い頃の姿が蘇った。
“何かの時は、妻だけで結構です”
小さい信輝も、母から引き離され、淋しい思いをしていたであろう。
戦とはいつも、罪なき幼子と淋しい子供たちを増やす。
この現状を何とかせねば…。
しかし、
生駒「父が、信長様に御目通りするよう申しておりまして…」
帰蝶「…したら、良かろうが…」
生駒「断られましてございます」で、私から、殿に頼めと?
帰蝶「父に申し付けらたから、謁見願うのか?」
私が、殿の謁見を拒んでいるとでも、勘ぐっておるのか?
生駒「いえ、そのような…」
帰蝶「知らぬ。そなたの事も、そなたの過去も、子供の事も、何も知らぬ」


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