ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~死者からの声~

2014-08-12 | 散華の如く~天下出世の蝶~
今の殿と同じ四十八で、
幼い小鬼たちを残して、
塩川「さぞ、無念だったことにございましょう」
帰蝶「無念…」
だったのだろうか…?
弟を庇って、負傷した。
あの傷で戦に出れば…、
“死”
覚悟を決めねばならない。
合戦出陣前、
私に、頭を下げて逝った。
死を予見する者にとって、
無念、未練、執着、後悔、
そういう感情を他人に見せるものなのか?
戦人にとって死は、
是とも(良いとも)、
非とも(悪いとも)、
及ばない(言えない)。
戦国時代に生を宿した鬼の宿命、
だから、全ては仕方のないこと。
“後のことは、お頼み申し上げます”
私には、可成様から、
妻と子を頼みますと、
そんな言葉が聞こえたような気がした。
武骨寡黙な死者からの、
たった一つのお願いが、
残された者たちの安否。
「あの世で、可成様に何と申し開き(言い訳)をしよう…?」
塩川「何か、後ろめたいことでも?」
帰蝶「あぁ…」