ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~さぁ…知らんな~

2013-11-22 | 散華の如く~天下出世の蝶~
信長「よう踊ってくれた、濃」
そう言って、笑っていた。
腹の中では、何を思っているのか…。
ただ…薄らと、不気味に笑っていた。
実際、小牧より犬山が欲しかったはず…。
本来、不本意、煮え繰り返っておろうが、
笑っていた。あの時から、ずっとずっと。
可成様との、あの夜から、犬山城だった。
なのに、犬山を断念し、小牧に拠点を移した。
犬山が、そう易くないと分かったからである。
戦の砦を設けるとなれば、
地元衆が黙ってはいない。
新たに拠点を築くともなれば、
地元民を追い出すことになる。
戦の前に、一揆制圧。
血と命が無駄に流れ、
始末が悪い。だから、
帰蝶「私を観音に仕立て上げるなど、なんという罰当たりな」
信長「知らんな」と、とぼけて、
帰蝶「こんな大掛かりな芝居(狂言)、誰が信じましょう?」
信長「すでに、ここの女らは、そなたに帰依、祀っておる」
帰蝶「一夜限りの観音菩薩、人は仏に何を求めましょう?」
信長「さぁ…」
何が起こるか、楽しみなのか?
気味が悪い。ただ笑っていた。
帰蝶「…殿」
信長「ん?」
帰蝶「あづちの御方…とは、如何なる方にございますか?」
夢で呼ばれた私の名を…訊ねてみたが、
信長「あづち?さぁ…知らんな」