ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~笑って、泣いた~

2013-11-15 | 散華の如く~天下出世の蝶~
信雄は織田一族の中で最も芸に秀でてはいるが、
天下取りからは遠く、殿が呆れるほど戦が下手。
与えられる騎数は長子信忠の半分以下であった。
幼い頃から、ぼんやりとした子で、
雲を眺めては、天上天女を夢想し、
母様を思って、風のように舞って、
戦国の世に産み落とされた戦人は、
兎角血生臭いことが嫌いであった。
殿は、お怒り遊ばしたが、
「信雄は戦に不向き…それで、宜しいではありませんか?」
男が美しく、何が悪い?
男は武と、誰が決めた?
宴では、
天女が舞い降りるかの如く、
くるりくるり、美しかった。
生きるに不器用な天女の舞。
くるりくるり、
“伯母上、見ていて下さいませ”
私は、生駒の、母代りにはなれないけど、
私は、生駒の、目の代わりとなっていた。
「ちぃち、まんま、ちち、まんま…ちぃち…間間…乳観音…様の乳まんま…」
睡魔に襲われ、また、
あの頃の、夢を見た。
かくれんぼ
やはり、観音様は微笑んでいた。
今日の観音様は赤子を抱いて…、
すらり美しい生駒の姿になって、
私の…あの時の、
殿の娘を抱いて、
今度は、泣いた。