ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~乳まんまぁ、乳まんまぁ~

2013-11-13 | 散華の如く~天下出世の蝶~
利治「懐かしい味にございました」
帰蝶「ふむ、むぐむぐ…」
利治「もうすぐにございますな」
最後の一口を、あ~んと食べて、
帰蝶「そうじゃったな」
忘れるはずがない。
父の、金華乳祭り。
末子利治が産まれた時、
母は母乳が出なかった。
乳母が乳を与える姿を見て、
母は、仏の前で泣いていた。
父は、母の姿を陰から見ていて、
仏に兵糧饅頭を供えて祈祷した。
傍から見たら戦勝祈願だが、
父の本心は母乳祈願だった。
結局、
マムシの祈祷は天に通じず、
母の乳が出る事は無かった。
しかし、マムシの入道は妻を愛している、
そういう事実が、我ら兄弟姉妹に残った。
その後、
父は母のために、祭りした。
女たちが乳饅頭をこさえて、
男たちが乳を両手に踊って、
日頃の女たちを敬い労った。
男たちは、でかい乳を、
“乳まんまぁ、乳まんまぁ”
乳間間を作って祀った。
いつしか戦で祭りは流れ、
父の逝去で完全に消えた。