ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

散華の如く~どうするか、濃?~

2012-10-15 | 散華の如く~天下出世の蝶~
信長「まぁ、待て。妻としての意見を聞こう。生駒をどう思う?」
帰蝶「妻としての意見…?」
手の平の二頭の駒が、ギリッ、と嘶いた。
「私は…、生駒を、何とも思っておりませぬ」
信長「これからの生駒を、話し合いに来たのであろう?軍議を妨害してまで」
帰蝶「そ、それは…」
生駒を同じ女として、妻として、哀れに思った。
腹を痛めた子を養子に出して、母としても、悲しかった。
だから、殿に生駒を救って戴きたいと思ったのも、事実。
信長「どうするかのう。腹の子…」
帰蝶「腹の…子?」
ふっと、彼女の姿が思い起こされた。
袂で、美しい顔を隠した生駒…あれは、つわり?
信長「三月か?」
帰蝶「…気が、付きませんでした…」
私は感情的になり、生駒に気が付いてやれなかった。
信長「いつもの、そなたらしくないのう?」
そう、私の顔を覗き込む殿が、小憎たらしい。
悔しいが、私は、完全に心理を読まれていた。
生駒の出現で感情的になり、己を見失った。
しかし、殿は冷静に、生駒と私と、そして、
お立場、現状情勢を静観しておいでだった。
帰蝶「生駒の、…やや、どうなさるおつもりですか?」
信長「ふ…む」
殿の癖が出た。
考える時の癖…頬杖付いて、面白くないのう、という顔で、視線を下に、地上を睨む。
彼女に与えられた、神の試練が、面白くない。そう、言っているかのようにも見える。
もしもの仮定で、彼女を側室に迎え入れるとするなら、生駒は…救われるのだろうか?
しかしという逆説で、生まれて来る子が男なら、戦の火種として、また、養子…。
それでは、生駒があまりに酷。