ウクライナ支援 日本らしさで応えたい (2022年3月25日 中日新聞)

2022-03-25 10:44:01 | 桜ヶ丘9条の会

ウクライナ支援 日本らしさで応えたい

2022年3月25日 中日新聞
 戦地からのメッセージを真摯(しんし)に受け止める。ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会で行ったオンライン演説=写真。停戦に向けた非軍事的貢献や戦後の民生安定に協力する。そんな日本らしいウクライナ支援で応えたい。
 軍事援助はできない日本の事情を分かっているのだろう。欧米での演説で、飛行禁止区域の設定や武器供与を求めたのとは違って、ゼレンスキー氏が日本に期待したのは、主に対ロシア制裁の継続と復興支援だった。
 「アジアで初めてロシアに圧力をかけ始めたのが日本だ。制裁の継続をお願いする」としたうえで、「侵略の津波を止めるため」にロシアへの経済的な締め付けを強めるよう訴えた。
 戦後復興については「避難した人々が古里に戻れるようにしなくては。住み慣れた古里に戻りたいという気持ちを日本の皆さんもきっとお分かりだろう」と語った。
 東日本大震災に直接言及することはなく、日本人の共感をさりげなく引き出す狙いだったのだろう。こんな意図が随所に見られる演説だった。
 ウクライナ政府の推計では、道路、橋など千二百億ドル(約一四・五兆円)相当のインフラがこれまでに破壊された。ゼレンスキー氏の要請に応えて、日本は戦災復興に協力を惜しんではならない。
 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、国外に逃れたウクライナ避難民は三百六十万人を超えた。日本は避難民受け入れの枠を拡大するとともに、多数の避難民を受け入れているポーランド、ルーマニアなどのウクライナ周辺国への支援を進めてほしい。
 国連開発計画(UNDP)は戦争が長期化した場合、向こう一年でウクライナ国民のほぼ三分の一が一日五・五ドル(約六百六十円)未満で生活する貧困層に陥るとの見通しを示している。国連を通じた生活支援も求められるだろう。
 ロシアの無差別攻撃は続き、民間人の死傷者は増える一方だ。国際社会が結束し、プーチン政権を停戦・撤退に追い込む必要がある。岸田政権はアジア諸国への働き掛けにも力を入れてほしい。
 

 


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