米軍、コロナ感染急増でも機密優先 いらだつ沖縄、個別交渉に限界 (2020年7月16日 中日新聞))

2020-07-14 22:32:11 | 桜ヶ丘9条の会
米軍、コロナ感染急増でも機密優先 いらだつ沖縄、個別交渉に限界 (2020年7月16日 中日新聞))
 
在日米軍で新型コロナウイルスの感染が拡大し、米側の情報開示の姿勢に不満が高まっている。米側が沖縄県に伝えた感染者数を公表されることを拒んだため、県は一時、詳細な情報を求める県民と米側の間で板挟みになった。県民への感染に懸念を強める玉城(たまき)デニー知事は、日本政府が米側に透明性の確保を働き掛けるよう求めるが、実現するかは見通せない。
 「県民は大きな不安に追い込まれているのが実情だ」。玉城氏は十五日午後、防衛省で河野太郎防衛相と会談し、基地外で活動した感染患者の行動情報の提供などを求める要請書を提出。河野氏は「米軍の対応をしっかり確認し、県と一緒に情報を共有しながら対応したい」と応じた。

「国がやること」

 在沖縄米軍では七日から十一日にかけ、計六十一人の米軍関係者の感染が確認された。同日、記者会見に臨んだ玉城氏は感染者数を「数十人」としか公表できない苦しい立場に追い込まれていた。米側が感染者数の公表を拒んだためだ。その後の在沖縄米軍トップとの電話会談で、詳細な感染者数を公表するとの要求は受け入れられたが、玉城氏は、透明性の確保は「国が一義的にやること」といら立っていた。

「運用上の懸念」

 米側が情報開示に後ろ向きになる背景には、米国防総省が「運用上の懸念」を理由に、三月に出した基地や部隊ごとの感染者数を明かさない指針がある。沖縄県には、米側の意向を無視して発表した場合「今後情報が得られなくなる」との危機感があった。
 情報開示に難色を示していた米側はなぜ、一転して玉城氏の要請を受け入れたのか。米軍関係筋は「(沖縄には陸海空の各軍、海兵隊の)約二万五千人の兵力がいる。即応性への信頼は揺るがない」と明かし、人数の公表で米軍の抑止力は低下しないとの判断があったことを示唆した。
 政府は米軍基地内での感染拡大を踏まえ、防衛省などが得た情報を関係自治体と可能な限り共有する考えだ。米軍のコロナ感染が原因となって住民らの不安が増幅すれば、日米安全保障体制の動揺にもつながりかねないとの思いがある。
 ただ、沖縄県だけでなく、関係自治体は「(市民に対して)日本人基地従業員への感染の可能性について踏み込んだ説明ができなかった」(青森県三沢市)などの窮状を訴える。
 そもそも「基地外に居住する米軍関係者は何人なのかという数すら伝えられていない」(玉城氏)との指摘もあり、基地を抱える自治体は、米側との個別の交渉に限界を感じている。

一転、二十数人の行動歴提供

 沖縄県は十五日、米軍キャンプ・ハンセン(金武町など)で、新たに三十六人の新型コロナウイルス感染を確認したと米側から連絡があったと明らかにした。県によると、同基地での感染者は計五十八人となり、在沖縄米軍全体で計百三十六人となった。県は米軍関係者を県内の感染者数に計上しない。
 県によると米軍は同日までに、感染者のうち把握できた二十数人の行動歴を提供。感染力のある発症二日前から、県民と接触した可能性のある基地外の立ち寄り先や日時が記されている。県は立ち寄った店舗の従業員から健康状態を聞き取るなど、濃厚接触者の有無を調べ、対象者がいれば検査を受けてもらう。
 県は同日、キャンプ瑞慶覧(北谷町など)の海軍病院で、米側の公衆衛生当局と海兵隊政務外交部と初会合を開いた。県側は、陽性者数だけでなく検査件数の提供を要望。米側からは、感染者の多くが軽症か無症状で、無症状でも積極的に検査しているとの説明があった。玉城デニー知事が十一日、米側に情報交換の場を求めていた。
 県内では他にも普天間飛行場(宜野湾市)七十一人、嘉手納基地(嘉手納町など)五人、キャンプ・マクトリアス(うるま市)と牧港補給地区(浦添市)で各一人の感染が確認されている。

 


陸自オスプレイ 住民の理解欠く配備だ (2020年7月14日 中日新聞))

2020-07-14 22:32:11 | 桜ヶ丘9条の会
陸自オスプレイ 住民の理解欠く配備だ (2020年7月14日 中日新聞))
 
防衛省が導入した垂直離着陸輸送機オスプレイの陸上自衛隊木更津駐屯地への配備が始まった。五年以内の暫定措置とされるが、周辺住民や地元自治体の理解を十分に得られているとは言い難い。
 オスプレイは開発段階から墜落事故を繰り返し、実戦配備後も安全性への懸念が指摘されてきた軍用機だ。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に二十四機配備された米海兵隊MV22オスプレイも、空中給油訓練中にプロペラが破損して海岸に不時着、大破したり、海外への遠征訓練中に海上に着水する事故を起こしている。
 陸自が二〇二一年度までに十七機を導入するオスプレイのうち一機が十日、陸自木更津駐屯地(千葉県木更津市)に飛来した。
 最終的には離島防衛の専門部隊「水陸機動団」がある長崎県に近い佐賀空港(佐賀市)に正式配備する計画だが、地権者との交渉が難航したため、米軍オスプレイの整備拠点がある同駐屯地に五年未満の期限付きで暫定配備された。
 とはいえ、周辺住民の理解が十分に得られているわけではない。
 木更津市の住民団体は、配備撤回を求める安倍晋三首相と河野太郎防衛相宛ての要請書を約二十四万人分の署名とともに防衛省に提出した。十日には住民団体の関係者らが抗議活動を行った。
 機体そのものの安全性に加え、整備のために飛来する米軍機に陸自機が加わり、騒音問題や安全性への懸念が高まるのは避けられまい。五年の暫定期間が守られるかどうかも不透明である。
 陸自機は、早ければ八月から東京湾上空などで飛行する予定で、駐屯地に十七機がそろった場合、離着陸回数は一日十五回、年四千五百回となる見通しだという。
 すでに海兵隊MV22の整備が始まり、米海軍用のCMV22の整備受け入れも検討されている。米空軍横田基地(東京都福生市など)に五機配備されているCV22も十機まで増強される計画だ。
 首都圏にオスプレイが集中し、飛行が恒常化する可能性は高い。首都圏周辺は住宅が密集し、事故が起きれば大惨事になりかねない。空軍オスプレイでは部品紛失も起きている。空域が入り組み、民航機への影響も心配だ。
 安全性に疑問がある軍用機が、人口が密集する首都圏を飛び交うのはとても尋常とは言えない。
 そもそも陸自に必要不可欠な装備なのか。米軍機の整備拠点を設置することの是非と合わせて、この際、検討し直すべきである。