愛知ゆかりの市民による平和アピール~安保法案に反対します(2015年8月25日発表)

2015-08-26 07:58:42 | 桜ヶ丘9条の会
愛知ゆかりの市民による平和アピール ~安保法案に反対します~

 
 戦後70年の暑い夏を迎えました。

 先の大戦では、名古屋は軍都として日本の戦争を支え、また、名古屋を中心にたびたび激しい空襲を受け、多くの市民が犠牲となりました。
 
 70年前の戦争を終えた後、「再び過ちを繰り返さない」、私たちはそう誓いました。
 私たちは戦後、様々な矛盾を抱えながらも、「海外で一発の銃も撃たない」ことを誇りに、平和国家としての道を歩んできました。
 
 ところが、安倍政権は、国民の多くの反対に耳を傾けることなく、集団的自衛権の行使を容認することを含む安保法案を、衆議院で強行採決し、この通常国会で成立させようとしています。
 
 集団的自衛権とは、「自国への攻撃がないにもかかわらず、他国の戦争に参戦すること」を本質としています。そして、実質的には、日本がアメリカの戦争に深く加担し、他国で戦争をする国へと大きく変わろうとしていると言わざるを得ません。
 
 日本は、先のイラク戦争においても、既にアメリカの求めに応じて、イラク戦争に自衛隊を派遣しました。

 これに対し、2008年4月17日、名古屋高等裁判所は、「航空自衛隊が武装兵員をバクダットへ空輸することは、他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったもの」であるとして、航空自衛隊の空輸活動は、憲法9条1項が禁止した武力行使にあたり、憲法違反であると判断しました。

 名古屋高裁が「憲法違反だ」と厳しく指摘した「輸送活動」を担ったのは、愛知県の小牧基地から送られたC130H輸送機です。これにより、私たちはイラク戦争の加害者の立場に立ったと言わざるを得ません。

 それでも、自衛隊は直接イラクの市民に銃口は向けませんでした。 
 しかし、「集団的自衛権行使」となれば、他国の市民に直接銃口を向けることになります。戦争の直接の加害者となり、被害者にもなるでしょう。
 そして、この愛知県が自衛隊を海外に送り出す、戦争の加害の拠点となります。

 私たちは、戦争の加害者にも被害者にもなりたくありません。
 安保法案が成立すれば、日本が他国から軍事的な攻撃にさらされていなくとも、政府が「日本の存立危機事態だ」と認定してしまえば、容易に海外で戦争が出来てしまいます。

 そしてひとたび戦争が始まれば、簡単に戦争を終えることはできません。
 他国からの「反撃」として、日本全土も、特に愛知県は攻撃に晒され、多くの市民、子どもたちも犠牲になるでしょう。
 そして、戦争は、命を奪うと同時に、人々から人間性をも奪います。
 戦争をする国の下で、私たちの自由な表現は弾圧され、人間としての尊厳も奪われていくでしょう。

 この夏、私たちの国は岐路に立っています。
 私たちは、人間の尊厳を踏みにじり、人を、若者を、子どもたちを、戦争の駒にする国にしたくありません。

 日本を「戦争をする国」へと変えさせないために、私たちは、一人の主権者として、また、愛知県にゆかりのあるものとして、この安保法案に強く反対します。

 2015年8月25日

 愛敬浩二(憲法学者・名古屋大学教授)
 天野鎮雄(俳優)
 池住義憲(元立教大学大学院教授)
 石坂啓(漫画家)
 内河惠一(弁護士)
 梅原猛(哲学者)
 澤田昭二(物理学者・名古屋大学名誉教授)
 竹下景子(女優)
 茶畑和也(イラストレーター)
 つボイノリオ(シンガーソングライター)
 平野啓一郎(小説家・芥川賞受賞)
 益川敏英(名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構長)
 水田洋(名古屋大学名誉教授・日本学士院会員)
 水田珠枝(名古屋経済大学名誉教授)
 矢野きよ実(パーソナリティー・書家)
 山田昌(女優)