守ろう、非戦平和への道(2015年8月11日中日新聞)

2015-08-12 08:03:15 | 桜ヶ丘9条の会
<こちら編集委員室> 守ろう、非戦平和への道 

2015/8/11 中日新聞夕刊
 一九四五年八月十五日の敗戦の日から、もうすぐ七十年。日中~太平洋戦争が日本に何を残し、戦後なぜ国民が憲法九条と平和にこだわり続けてきたのか。「もう絶対に戦争はだめだ」という思いが心に刻まれ、世代を超えて受け継がれてきたからに違いない。

 だからこそベトナム戦争で米軍の後方基地となったが、韓国の五千人など各国が戦死者を出すなか日本は出さなかった。イラク、アフガニスタンでも同じだ。

 平和へのこだわりは、日本が先の戦争でどんな戦いをしてきたかが、大きく影響しているからだろう。

 日本は軍人・軍属に二百三十万人の戦死者を出し、その約六割が餓死、病死との指摘もある。各国の軍隊に「決死隊」はあったが、「必死隊」の人間爆弾、特攻は日本だけ。「バンザイ攻撃の玉砕」もそうだ。

 生き残るのは「恥」で、戦闘はいつしか「死ぬ」ことが目的になった。広島、長崎への原爆投下。一晩で十万人が焼き殺された東京大空襲をはじめ、全国で何十万人もが犠牲となった無差別空襲。これだけでも、他国に類がない悲惨な戦争を経験したことが分かる。

 それだけに憲法九条、平和への思い入れは特別だ。それが閣議での解釈変更であっさりと変えられ、安全保障関連法案で、七十年にわたって守り続けた「世界の平和国家日本」の歴史が今、音をたてて崩れようとしている。これでいいわけがない。

(植木幹雄)