海外武器企業買収を解禁 政府が関連法解釈変更へ(2015年8月2日中日新聞)

2015-08-02 09:57:33 | 桜ヶ丘9条の会
海外武器企業買収を解禁 政府が関連法解釈変更へ 

2015/8/2 朝刊
 政府は、日本企業に課している海外の武器製造企業の買収規制を見直す方針を決めた。関連法の運用指針を現在の「厳に抑制」から「状況に応じ適切に判断」などと変更。法律改正はせず、解釈を変えることで、現在の原則禁止規制を改める。武器輸出を原則認める防衛装備移転三原則を決定したことに伴うもので、見直しにより日本の防衛関連企業の海外進出を後押しする。

 武器を製造する海外企業を対象に日本企業が出資や買収をする場合、外為法などに基づき、政府への事前届け出が必要とされる。政府が審査で「国際的な平和、安全を損なう」と判断すれば、計画の変更や中止を勧告できる。

 政府がこうした法律を運用する際、指針とするのが一九七七年の福田赳夫首相(当時)の国会答弁だ。福田氏は「投資先企業が武器を生産するのが目的であれば許可しない」「(武器輸出を原則禁じた従来の)武器輸出三原則の精神にもとるような投資は厳に抑制する」などと指摘。この答弁を、政府は従来の三原則の下で「三原則に準ずるもの」と、堅持してきた。

 しかし、新三原則決定を受け、武器輸出支援策を議論する防衛省の検討会で防衛関連企業が「武器を製造する会社を海外で設立できない」と指針の見直しを要求。防衛省も「武器輸出を進めるには現地企業との資本提携は不可欠。これを阻む方針の変更は必須」と判断した。今後、安全保障会議の議論を経て新指針を打ち出す。

 武器輸出規制に関連する指針は、このほか武器技術や武器製造関連設備の輸出、軍事施設の建設にもある。現在は原則禁止としている。外為法などで同じく規制している、こうした指針についても政府は併せて見直していく。


 運用指針見直しで、外為法の「国際的な平和、安全を損なう」などの解釈は変更される。これにより、日本の防衛関連産業は、これまで事実上閉ざされていた海外進出への門戸が開かれる。