リニア中央新幹線と可児市 (2013年12月2日 可児市ホームページ)

2014-09-11 07:44:54 | 桜ヶ丘リニア問題を考える会
可児市久々利大萱地区のリニア高架橋部分の地下トンネル化を要求していた当時の市長、その後、この地下化要求を撤回してしまった。この文章に書かれた大萱地区への影響が、なくなったとは考えられないところから、別の要因があったと思われるが、岐阜県知事の環境影響評価準備書への意見書に、この可児市の要求が無視された直後から、記者会見で、要求を撤回してしまった。この地下化要求は、可児市議会も決議していて、大萱地区住民だけでなく、可児市民共通の要求だったから、市長もまた、可児市民の要求を無視したのである。市長の行政権限は、市民の要求を実現するよう努力することから発生するもので、勝手に市民の意思を変更してしまうことは、行政の長として許されない行為である。漏れ聞くところによれば、重圧が加えられたらしいが、そのような不当な市民無視の圧力は、反民主主義の最たるものである。


更新日:2013年12月2日
「リニア中央新幹線と可児市」

 リニア中央新幹線のルートが公表されました。可児市内では、御嵩町から久々利へ入り、皐ケ丘と桂ケ丘の間を通過、大森奥山から多治見市へ抜けるコースとなっています。市内の距離は約8kmで、その殆どが地下通過ですが、唯一、久々利大萱地区が地上高架式となります。
 2027年に東京~名古屋間が開通、中津川市に岐阜県駅が設置されます。可児市にとって便利な駅となるには、岐阜県駅への高速道路の直結と駐車場の整備が不可欠です。そうなれば、可児御嵩ICから約30分で新駅、そこから約40分で東京です。名古屋経由に加え、東京との新しい交流動線が充実するでしょう。
 一方で、地下50mから100mを通過する大森地区~桜ケ丘地区では影響はないと思われますが、大森地区にできる高さ25mのトンネル換気施設については、日照などの心配があります。さらに、掘割と高架橋で約1・2kmを通過する久々利大萱地区においては、景観に加え、騒音や振動、そして、山を切り崩すことなどによる影響が心配されます。
 列車の運行本数は毎時5本(往復10本)程度の予定ですので、時速500kmを超すリニアが、概ね5分に1度通過します。地下鉄の車内並みの騒音などで、大萱の里は一変することになります。
 大萱の里は、約400年前に国宝「卯花墻」を生むなど、日本の陶器芸術の歴史を塗り替えた、世界に誇る美濃桃山陶の聖地です。大萱の光、土、水、香り、風、音、山なみ、静寂、そして、自然と人との共生が、偉大な芸術を生み出した源泉です。そして、何よりの価値は、その大萱の里という空間が、400年以上に亘って、本質的な変容を受けることなく、現代に息づいていることです。日本独自の自然と人とが織り成す歴史と芸術を、今なお肌で感じることのできる希少な空間、それが大萱の里なのです。この空間が、今、本質的な変容を受けようとしているのです。
 構造的にみれば、大萱地区も地下式にすることは不自然とは思われません。膨大な量の土砂を経済的に処理する必要性など、ここで地上に出る理由はあると思われますが、それによる犠牲は大き過ぎます。
 日本が世界に誇る技術の粋を集めた、国家的な夢のプロジェクトだからこそ、我が国の誇りを守って欲しいと心から願っています。

可児市長 冨田成輝