尾上町をゆく(12) 今福(1) 好字「今福」
最初にお詫びです。というのは、「尾上町今福」は私の自宅のある地区です。
そのため、若干、多めの紹介になります。贔屓ですね。ご了解ください。
好字「今福」
『続日本記』(しょくにほんき)に、和銅6年(713)、「郡・郷名には好字を用いなさい・・・」という命令が出されたことが記されています。
また、延喜式にもよく似た命令「凡そ(およそ)、諸国郡内部・里等の名、ならびに二字を用い必ず嘉名をとれ・・・」とありあます。
「縁起のよい二文字で地名・郡名を記せ・・・」という命令なのです。
「好字を持つ土地は栄える」と信じられたようです。
これは遣唐使などにより、中国から持ち込まれたハイカラな新知識が採用されたためでしょう。
やがて、この習慣は一般化し定着します。
「今福」は、平安時代の末期、建久元年(1190)の、石清水八幡宮の文書の中に「播磨の国今福」として登場します。ですから、それ以前にも集落があったようです。
石清水八幡宮と今福の関係は、後に見ることにします。
い ま
今福の「いま」は「新しい」と言う意味で、今福は「新しく誕生した福(幸運)に恵まれた集落」と言う意味でしょう。
今福という好字を持つ地名は全国にたくさんあります。
兵庫県では尼崎市の今福がよく知られていますが、尼崎市の「今福」は、尾上の今福より新しく中世になり見られる地名です。