志方町をゆく(169) 法道仙人(1)・米田(高砂市)の伝説
志方町に伝わる「法道仙人」(写真)の足跡を訪ねてみますが、今回は、志方町の伝承ではありません。
米田(高砂市米田町)の法道仙人伝説です。
米田(よねだ)の伝説
大化元年(645)、藤井という人が、年貢の米を船に積んで海を通っていました。
その時、法華山一乗寺(いちじょうじ)にいた法道仙人(ほうどうせんにん)が、鉢を飛ばせて供米を申し入れました。
藤井は、自分だけの了見で米を渡すことができないとことわったところ、鉢はふたたび空中に舞いあがり、それに続いて、積み荷の米は志方の上空を法華山へとつらなって飛んでいってしまいました。
藤井は、驚いてあやまりに行きました。
法道仙人が笑って許すと、米はもとのように連なって船へ飛んでもどされました。
その米俵のうち一俵がこの地に落ちたことから米墮(よねだ)といい、後に「米田」と呼ばれるようになりました。
一俵だけ、この地に落ちたのは、法道仙人が信仰している薬師如来がまつってあったので、供物であったということです。
その後、米田の村は米がよく実り、おおいに栄えたということです。
*絵:一乗寺開山上人像(一乗寺蔵)