志方町をゆく(115) 細工所(15) 安楽絵の十王像と地獄絵
安楽寺(細工所)の西の門から入ると鐘つき堂があり、その傍に「十王堂」があります。
十王堂には、「地獄極楽絵」が描かれ、「十王像」が安置されています。
この十王堂は、天明四年(1784)岡村に生まれた学者であり、経世家の上野虎山の寄進によるものです。
彼は法華山谷川を改修した人物としても知られています。
地獄絵図は、右から地獄で苦しめられている人々で、中ほどに救いの手を差しのべている地蔵菩薩、そして、帳簿を見ながら判決を言い渡している「閻魔(えんま)さん」、そしてその左に極楽の絵と続きます。
十王信仰について
十王とは、死者の生前の罪を裁くために姿を変えている仏たちです。
仏教では死者の生前の行いを裁く仏は「閻魔さん」だけではありません。
死者の前に十人の仏様が現れて、各仏様の前で審判を受けます。
その裁判の日は、初七日にはじまって、二十七日、三十七日、四十七日、五十七日、六十七日、七十七日、百ヵ日、一周年、三周年の十回といいます。
そのうち、五十七日目の裁判官が「閻魔さん」です。
近世の仏教観を知ることのできる貴重な仏たちと絵画です。お参りの時はお寺にお願いして、十王堂へお寄りしてはいかがでしょう。
*写真:十王堂内の十王と地獄絵