志方町をゆく(139) 横大路(14)
太鼓堂のある寺(妙正寺)
山門横(東)の建物は「鐘楼かな」と思いました。でも、鐘楼は、山門の西側にあります。住職に確かめてみると、太鼓堂(写真)であるとのことです。
近辺で太鼓堂のある寺は珍しい例です。
この太鼓堂について、礒野道子さん(故人)が『志方郷(13)』に書かれているのでお借りします。(一部省略:文体は変えています)
太鼓堂のある寺
瓦屋根の上に、太鼓を納めたやぐらが聳えています。
一階の入り口から入ると、右側の壁に沿うて、六段程30センチおきに段が打ち付けてあります。これを足がかりにして二階へよじのぼると、思ったより明るい。
「秀吉公ゆかり?」の品と伝えられる太鼓は、その中央に吊り下げています。る。
太鼓の丸い皮の直径は70センチ、胴の丈は85センチもあって堂々としています。
・・・ この太鼓について『印南郡誌』は三通りの説を伝えています。
*『印南郡誌』にあるこれらの説は、どれも怪しいので省かせていただきます。(*は飯沼の注です)
お寺で、お経がはじまるぞ・・・
太鼓堂および鐘の伝承はともかく、太鼓は、戦前まで、次のように用いられていました。
寺の行事、報恩講や永代経が始まる30分前に、先ず太鼓が打ち鳴らされました。
村人は、太鼓の合図で着衣を改め、寺参りの準備をしました。
次に鐘が鳴るとお経が姶まるので、人々は寺へ参ったといいます。
寺の太鼓や鐘の音は時を告げる大切な手段でした。
*写真:妙正寺の太鼓堂