(二日目:乗船手続き=英語ではチェックインという.)
フロリダのホテルを出てフリーウエイを港まで行く。
道路の左右は湿地帯だそうで、
道路に沿って川?というか水溜りがつながっている。
(その水たまり?を行くモーターボートとバスは並走)
ガイドさんの話では、時々ワニが寝そべっているというので、
退屈しのぎに目を凝らしていると
ところどころに鰐が寝そべっている。
一つ二つと勘定をしているうちに左側が開けてきて、
水平線が見える海になり半島が突き出ているような先に、
小さな四角の白い建物が見えてくる。
(ポツンと見える白い建物)
(NASAの文字が微かに見える)
それが最終日にたずねる
「ポートカナベラルのNASA航空宇宙研究所」と説明がある。
少し走ると乗船予定の白い船が停泊しているのが見える。
(Mariner of the seas)
全長338m、全幅48m、乗客定員3114名、乗組員1180名、
ボクの予想を覆す豪華客船である。
乗組員1180名に驚いた。
乗組員はすでに乗り組んでいるが、
乗客は3千人を越す人がチェックインをする。
当然受付場所も学校の体育館のような大きさで、
入り口には4列ほどでお客の長い行列ができている。
パスポートのチェックはもちろんのこと、
一艘の船に一人でも伝染病を持った人が、
インフルエンザに罹っている人が、
いや保菌者が居ると瞬く間に3千人に感染してしまう。
そのチェックで時間がかかって仕方が無い。
しかも英語圏の人だけならともかく、
ボクたち夫婦のように英語なんてさっぱり解からないことを
自慢にしている人もたくさん居る。
英語圏の方はそれでも2600名ほど居ることが後でわかったが、
それにしても2600名のチェックインを
朝から始めても相当な時間を要する。
英文のチェックシートのほとんど「NO」の欄にチェックを入れて、
無事チェックは通過する。
船内での買い物、途中の乗下船の身分証明を兼ね備えた
「シーパスカード」を貰って終わり。
(シーパスカード)
いよいよ乗船するに当たり、今度は船側の儲け主義が顔を出して、
一組ずつ記念写真を撮る。
二人なら二人に、四人なら四人に、
写真の構図が好いようにポーズを取らせる。
日本人夫婦はこんなときポーズのとり方を知らない。
ご主人は直立不動の姿勢で立ち、
奥様は一歩下がり気味でつつましく亭主に寄り添う。
これが典型的な日本人の写真ポーズ。
カメラマンが、ああしろこうしろと言うのだが、
聞くほうは、なにぶん英語に不慣れな方たちが多く、
なかなか写真も上手く撮れない。
カメラマンは後で買ってもらう都合があるから良い写真を撮りたい。
ところがお客は言うことが解からず,
上手くポーズをとってくれない。
ただただ時間がかかるだけだ。
こんなときは旅慣れたものの勝ちだ。
ボクたちの番が回ってきて、ボクがカミサンの肩に手を回し、
ぐっと抱き寄せればそれで事足りる。
老いぼれ爺さんのボクと少し若いカミサンが二人で照れ笑いして
「ハイ!ポーズ!」でシャッターが押されて終わる。
コロンブスの卵(*)もこんなものであったに違いない。
な~んだ簡単なことだと
次からのご夫婦はさっさと写真を撮ってもらい
船内へ消えて行く。
(肩に手を回して ハイ! ポーズ!)
「な~んだ簡単!」と言うが、前の二組は散々てこずって、
ポーズを取っていたなんてことは、皆さん忘れている。
(*)コロンブスがアメリカ大陸を発見し、其の報告をしたとき、
「なーんだ、そんなの簡単だ、誰にもできる」と皆に笑われた。
コロンブスは目の前にあったゆで卵を「これを立ててみてください」と訊く。
その場の皆さんが挑戦するも誰も卵を立てることが出来ない。
コロンブスはやおら卵を手にして、ゆで玉子の尻をテーブルに叩き付けて、
玉子を立てて見せた。結果を知ってしまえば、誰でも出来ることでも、
最初に実行した人の偉大さを教えた良い例。
(レストラン入り口、青いのは氷柱、顔は果実の彫刻)
(レストラン入り口の冬瓜?「乗船歓迎」の彫刻)
船は広い。それでもレストランはどこにあるくらいは分かる。
半日も掛けて、チェックインしたので、
まず腹造りとばかりレストランに直行。
食べ物は何がどこにあるか分からず、
そうかといってお腹が空いているのは三千人の乗客全てで、
混雑極まりない。
やっと席を探して、料理を取りに行こうとするが、
せっかく確保した席を空ければ、
また誰かに席を取られてしまう。
仕方なくカミサンに料理を先に取りに行くようにして、
ボクは席を確保して待つことにした。
以前にも書いたが、カミサンは一人娘で育って、
成人するまで総て母親におんぶに抱っこの生活だったので、
沢山の人を掻き分けて、
要領よく料理を取るのが下手である。
皆さんが終わるのを待って、
それからやおら手を出すころには、
品物は大体なくなっていることが多い。
その点ボクは、六人兄弟の真ん中に生まれ、
早い者勝ちの生活に慣れているので、何をしても素早い。
それに考えが人とすこし違って、
順当な筋道と逆方向からの筋道からの
両方から物事を考える癖が付いているので、
例えば、皆さんが食べ物を順番に取って行くようなところに、
じっと並ぶことはしない。
まず最初に、並んでいる料理のテーブルをぐるりと見て歩き、
どこに何があるかを頭に入れ、皿だけ先に頂戴して、
料理を皆さんが取る逆の方向から
ほしい料理を頂戴して行くと言うようなことは出来る。
ビュッフェ・スタイル(日本ではバイキングスタイルという)の料理では、
自分の好きな料理だけを好きなだけ、
何回でも取ることが出来るので、
必ずしも順番に品物を取る必要は無いのである。
のんびり屋のカミサンが必要なものを
お盆に載せて食事をはじめてから、
ボクはスタートしたが、何がどこにあるかをカミサンに聞いてから、
さっと料理を皿に盛り、ゆっくり食事にありついた。
(レストランの中はアルコール以外は無料)
船内案内は比較的判りやすい。
添乗員から迷子になる人が結構いると話しがあったが、
とても迷子にはなりにくいと思った。
十三万八千トンの客船の構造は、
十五階建てのホテル兼
スポーツジム兼
結婚式場兼
劇場兼
バー兼
ダンスホール兼
図書館兼
コンビニ兼
ゴルフ場兼
喫茶店兼
土産物屋兼
衣料品店兼
何でも屋。
この船内の探検を午後からすることにした。
つづく