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(小説「夜明け前」を読んで)
前回、下諏訪宿の本陣について記述しましたが、
「夜明け前」の主人公青山半蔵が父吉佐衛門から家業を受け継ぐ時に、
本陣の必要事項について述べている。(「夜明け前」第一部第八章参照)
(その要件は、
1.諸大名の乗り物をかつぎ入れる広い玄関
2.長い槍を架けるところ
3.厩(うまや)
4.消防用の水桶
5.夜間警備の高張りの用意
6.いざというとき裏口へ逃げられる厳重な後方の設備
などなどである。)「夜明け前」より
最後の6番は、要件としては滑稽に見えるが、
重大事であったに違いない。
たとえば、寺田屋事件(これは本陣での出来事で無いが)など、
裏口にスムースに逃れる設備があったら、
見事に裏口から逃げおおせたかもしれない。
(「本陣」とは、その言葉が示すとおり、戦時における「陣屋」の意匠である。
諸大名は、食器から寝具まで携帯する大名はむかしの武人の行軍を意味する。
したがって宿には、必ず陣中の幕が張りまわされる。
大名以外には、公家、公役、武士のみが宿泊できる。
畳を新しくする、障子を張り替える、
時には壁も塗り替えるなどして、権威ある人を迎え入れる。
さらに屏風何双、手燭何艇、火鉢何個、タバコ盆何個、幕何張り、
それに供衆何十人前の膳飯の用意をする。)「夜明け前」より。
参勤交代などあるときは、おおわらわの忙しさであったろう。
時には、畳表も替える必要があったようだ。
現に、皇女和宮がご休憩のあった小田井宿では、小用所、大用所の
畳を取り替えたと記録されている。
《本陣家の厠(かわや)(旧中山道を歩く 117)参照
http://hide-san.blog.ocn.ne.jp/bach/2007/09/post_ff12.html 》
なんだか忠臣蔵の浅野匠頭が吉良上野介に意地悪されて、
畳表100畳分を一晩で換える場面が思い出される。
高貴な人が来ると畳どころか壁まで塗り替えなければならないとは・・・
これが宿泊する宿場の本陣全てに当てはまることなるのだから、
その費用の額は窺い知る事が出来ないほどであろう。
自分より前に宿泊した大名と同じ畳に寝させるわけには行かないと
家臣が考え畳を取り替えさせるのであろうか?
もっとも、現代でもすぐに替わる総理大臣の車も総理が代わるたびに、
新しい車と替えなければならないのに良く似ている。
ガラスはもちろんの事、周りの鉄板をも銃弾が通り抜けないように、
加工してあるから、優に数千万円は掛かると言う。
前の総理が短命内閣だったからとか、
主義主張が違う総理だったからとか、
理由はいくらでもあるらしいが、
同じ車には乗りたくないらしい。
自動車を納入するお店はホクホクモノだし、
総理の気持ちは解らないではないが、なんか無駄で、
もったいないと思うのはボクだけだろうか?