海外旅行の行き先と日程は決まった。
出かけるのはカミサンとボクだけ。
頼りになるのはボク以外に誰もいない。
カミサンにいたっては外国語はもちろん、
自慢にはならないが日本語も余り得意ではない。
ボクはそれこそ40年前に習った英語とスペイン語、
日本人だから日本語が話せる、
トライリンガル(三ヶ国語話せる人)だとうそぶいていていたが、
日本語以外はこれまでの40年間使ったことがない。
なんだかんだ言っても、ボクは生粋の日本人。
日本語を使うのが当たり前で、
間違った日本語を使わないよう毎日心がけている。
最近の若い人が、
「その映画館までのアクセス教えて」なんて使うと、
「アクセスじゃない、行き方を教えて でしょう」と言うくらい。
まず手始めにデパートへ行って旅行用鞄を購入する。
とりあえずスーツケース一つと手荷物になるバッグを手に入れる。
カミサンはどのように着飾ったらよいか、服装の心配をしている。
嫁いだ娘を呼び出して、
一緒にデパートであれこれ見繕っているようであった。
あわただしい毎日が過ぎ、旅行の一週間前になり、
旅行社から「旅のしおり」が届いた。
それによると
出発日 〇月〇日、帰着日〇月〇日。
成田国際空港 第1ターミナルビル 北ウイング
「××」カウンター〇〇時集合とある。
一つのスーツケースに二人分の着替えを入れて、
洗面用具、簡単な医薬品
(風薬、胃腸薬、外傷塗布薬、などなど、)もいれて、
空港で航空会社に預ける。
手荷物には両替したお金、クレジットカード、カメラ、
搭乗券などなど入れる。
この時、航空会社の方から、
「飛行機は何番ゲートより何時に搭乗が始まりますので、
その時間までには搭乗ゲートにお越しください」といわれていた。
早速、空港内にチェックイン。
まず手荷物検査、次に身体検査。
前回、会社負担で旅行した時は添乗員の方から、
金属が付いたものはお金からベルトなどを出しておいて、
別に通過させてくださいと多分言われていたに違いない。
十年近くも前のことで、
そんなことすっかり忘れて赤外線ゲートを通過すると、
ピッと音がしてやり直し。
そんなことを何回か繰り返し、やっとゲートを通過する。
このとき靴まで脱がされた。
靴の中に金属が入っているとは、初めて知った。
搭乗口を確認して、時間が余っているから、
飛行場内の免税店を見学して歩く。
珍しいもの、世間で買うより安いものが、
たくさん並んでいる。
別世界なのだ。
つまり、もう外国なのだと予感する。
外国なのだから、珍しいものがあってもおかしくない。
目の保養にはもってこいの時間つぶしが出来る。
カミサンは旅行前にいろいろ世話になった娘にと、
ペンダントヘッドのロボットの形をした時計を購入していた。
しばらくして搭乗口へ行ってみると、
予定の飛行機の発着予定がなくなっている。
この時は本当にあせった。
どこへどのように聞いたら、
自分が乗るべき飛行機の搭乗口がわかるのか、
飛行場へ入ってきた場所へ急いで戻る。
途中の通路にInformationがあり、
素敵な案内嬢がいる。
そこで搭乗券を見せて、どこから乗るのか聞くと、
飛行機の搭乗口が変わって、Eの〇番ゲートへ行けと言う。
どうやって行くのか聞くと、
入ってきた場所を出て別の棟に行き・・・・、
可愛いお嬢さんにしては、取り付く島もないご返事で、
Eの〇番ゲートへ行ってくださいと言う。
可愛いい素敵なお嬢さんだったのが、
急に(知ったかぶりして、もっと親切に教えろ)と不親切な応対に感じた。
飛行場と言うのは、入るのも面倒だが、
逆行するのはなお難しい。
搭乗口までは一方通行にできている。
普段は出入りがないような通路を、
何人かのガードマンにとがめられながら行くことになる。
離陸まで10分程しかないないのに、
何人かのガードマンにとがめられ、
目的搭乗口にやっと着く。
何のことは無い飛行機は遅れて離陸すると言う。
旅行社から離陸するまでに変わったことが起こったら、
連絡してくれと言われていたことを思い出し、
電話連絡をすると、
「あなたはどちらに電話されているのですか?
こちらは第二ターミナルですよ。
あなたは第一ターミナルから電話しているので間違いです。」
と木で鼻をくくった様なにべもない返事。
(ふざけやがって、どこのターミナルだろうと離陸搭乗口が変わって、
離陸時間が遅れるから、電話したのに、
変わったことがあったら電話くださいなんて、
言わなければ電話もしないものを)と、
このときばかりは本当に憤慨した。
初めての海外旅行を楽しみにしていたのに、
いろいろ不都合があって、
問題があったから電話してやったのに・・・
もっとも旅行慣れした人には、
(良くあることだよ)で済んでしまいそうなことであるが・・・。
(もちろん旅行から帰って、
旅行社へ文句を言ったのは言うまでもない。
旅行社というのは、
こうした苦情を上手に処理する会社だと言うことが分かった。)
(海外旅行には良いガイドが必要)ということを
[旅立ち(4)]で書いたが、
それを痛感させられた出来事であった。。