木戸に立ちかけせし衣食住ーどのように生きる１

商社に就職して、営業に配属された。

ボクは比較的無口で、家族からは営業には適していないと、

太鼓判を押されて居た。

（太鼓判はこんな時使う言葉では無い。）

しかし、配属されたものは仕方がない、

嫌ならやめるより手がなかった。

中学時代からの友人も同じ会社に入って居たので、

先に白旗をあげるわけに行かなかった。

第一ボクは沢山の人に会える仕事に着きたかったので、

希望通りであったから、辞める気は毛頭なかった。

何故沢山の人に会える仕事に着きたかったかは、

いずれ話すこととして、

先ずは、表題の「木戸に立ちかけせし衣食住」について、

営業マンの心得として、

会話の糸口作りが必要とのことで、

会話をする際の話題つくりに役立つ

「おまじない」みたいなものを教わった。

新入社員教育の一環としてである。

「木戸に立ちかけせし衣食住」の

一番が、「木戸」の

「き」＝季節について話をする。

　　　　良いお湿りですね、好い天気ですね。

　　　　暑いですね、寒いですね。など、

　　　　考えて見れば日ごろの挨拶みたいなもの。

「ど」＝道楽（趣味）について、これは幅広い。

　　　　スポーツ（ゴルフ、野球、弓道、柔道など）

　　　　教養（読書、書道、茶道、絵画、映画、漫画など）

　　　　他にも沢山ある。相手が持つ趣味の話題は尽きない。

「に」＝ニュースについて、

　　　　今なら東京オリンピック、コロナの感染などなど。

「た」＝旅について、ボクなんか今では世界の60か国について

　　　　話が出来るが、相手が旅行好きであれば会話は弾む。

「ち」＝知人について　会話する相手の顔の広さを持ちあげる。

　　　　大相撲の白鵬とか、将棋の藤井総太とか、

　　　　総理大臣から、文化賞、ノーベル賞受賞者などの知人が・・・

「か」＝家庭について、これは上手く話を持ていかないと、

　　　　都合の悪い人も居るが、奥様や子供のことなどキリが無い。

「け」＝健康について、糖尿病や、タバコ、酒が辞められない話など。

「せ」＝性・セックスについて、

立場上、話が出来ない場合がある。

「し」＝仕事について、独立されて居る人なら、

　　　　その苦労話など・・・

あとは『衣食住』についてだ。

　　　　　　　　「衣」装は、セリーヌ、クリスチャンディオールetc.

                              忘れてならないのは男物のブランド、

　　　　　　　　デパートなどで調べて置く必要がある。

　　　　　　　　「食」べ物の好き嫌いから、美味しいお店や

　　　　　　　　お酒、魚、肉など、フランス料理から、イタリアン、

　　　　　　　　中華、忘れてならない日本料理など尽きない。

　　　　　　　　「住」まいについては、古代建築の金閣寺や銀閣寺、

　　　　　　　　東大寺仏殿から法隆寺、

現代では、マンションの部屋の選び方などなど。

初対面の人やあまり親しくない人と会話する際の

話題づくりに役立つとされ、

記憶される「おまじない」の一種。

「気象」「道楽（趣味）」「ニュース」「旅」「知人」

「家庭」「健康」「性・セックス」「仕事」の頭文字を並べ、

「衣食住」を付け加えた言葉である。

「せ」を抜いた「木戸に立ちかけし衣食住」として

記憶されることもある。

営業の仕事は、応対している相手を知り、

相手に好感を持たれること。

軽く思われないこと、

なによりも信頼されることが重要になって来る。

何でも気軽に「ハイハイ」と引き受けられることと、

断らねばならぬことがあって、

この断わることが大切になる。

今になって思うが、初対面の人と五分も話せば、

およそこの人はどんな人、と解るようになる。

まして営業は、相手が購入できるお金があって、

お金を出す気があるかどうかを見極めることは、

絶対必要である。

又、ある時は、お金はないが、分割で物を買って、

きちんと滞りなく払いきれるか、

人柄を見極める必要がある。

日ごろの活動、将来性、言葉使い・・・

そんなことを考えながら、

初対面の人と接するので、

温厚か、几帳面か、責任感があるかなど、

人の腹の底を探って行かなければなら無い仕事が

営業の仕事だ。

早い話、

自分の娘を結婚させることが出来る相手かどうか、

見極める必要があるのだ。

何故、営業の仕事に着いたか、

少しづつ、お話して行きたいと思う。