矢野(五味)晴美の感染症ワールド・ブログ

五味晴美の感染症ワールドのブログ版
医学生、研修医、医療従事者を中心に感染症診療と教育に関する情報還元をしています。

講義は日本語でよいのか

2010-04-11 13:30:36 | グローバリゼーション関連
2010年4月3日付けの日経新聞朝刊で、母校のJohns Hopkins Univesityの、新しいビジネススクールの学長のインタビューが載っていました。以前にもこのBlogでご紹介しましたが、2月末にshort noticeでしたが、日本に在住のAlumniのメンバーに、お知らせが来ましたので、数名でお会いする機会がありました。

教育にはとても熱心で、刺激的なお話でした。

そのヤッシュ・グプタ学長が、日本のビジネススクールを視察し、教育の質を評価するお仕事をされていますが(相互に教育の質を確認する業務)、そのときのことだと思いますが、新聞記載があります。

「講義は日本語でよいのか」と日本の大学の関係者に質問したそうです。

欧米の大学は、学生はグローバルに集めることがほとんどです。言語も英語が大半になってきているため、彼にとっては、不思議に思えたのでしょう。母国語のみの講義しか提供していないと母国語を話す人だけが学生の対象になってしまい、とてももったいない状況です。
また、彼が主張するのは、考えが広がらない、という懸念です。

グローバル時代に生きるうえで、グローバルな思考、グローバルな交渉の仕方、表現の仕方、発想の仕方、いろいろなことを、多くの違う人たちと混ざることで、体で学ぶことが必要な時代ですね。

視野が国内だけでは、本当に対応不能だと身にしみて感じます。
目の前の問題に取り組み、足元を固めながら、しかし、グローバリゼーションへの対応は必須だと感じます。

米国内科学会 ACP Japan Chapter Meeting がありました。

2010-04-11 10:43:59 | 感染症関連
昨日は、1年に一回の米国内科学会ACP Japan Chapter Meetingがありました。

毎年、米国で臨床留学した仲間などに会えるので、とても貴重な機会です。
また3年前から、ACP Japan Chapter の女性委員会の委員をさせていただいており、ランチョンセッションに主催者のひとりとして参加しています。

ランチョンは、ラウンドテーブルディスカッションの形式で、70-80名ぐらいが集まり、日本の女性医師の働き方やライフ・ワークバランス、男女共同参画の課題などを話し合っています。

昨日、黒川清先生のご発言で学んだのですが、日本の女性の地位が国際的にみてもいかに低いかとの数字・現実は、驚きでした。

OECDのデータだったと思います(間違っていたらすみません)。

参加国100カ国のうち、

女性の教育機会 women development は、日本は10位。
女性の登用機会 women empowerment は、日本は75位。

だそうです。このあまりにも大きなギャップが根幹の問題でしょう、というディスカッションのポイントになりました。

さらに、ACP Japan Chapterとして、「女性医師」にフォーカスしていましたが、問題の根幹は、医療界のみならず、社会全体に横たわっており、終身雇用制、縦社会で、横への移動がない社会からくるひずみが、問題ではないか、と言及されました。男性の一生が、非常に不自由でひとつの会社にがんじがらめになる現実から、女性の登用も進まないのではないか、とも。人生の多様性、職業、就職の多様性が、他国に比べ、圧倒的に不足しています。

また、日本に7年近く住んで日本を暖かく見守りサポートしてくださっていた亀田総合病院のDavid Gremillion先生も、日本の女性の立場がとてもpoorであることを懸念されていらっしゃいました。とても効果的なメタファー(隠喩)を使って説明くださいましたが、

根幹にある問題から派生するさまざまな枝葉の問題は、発熱であったり、発疹であったりして、「見え方」は異なるが、根幹にある問題は、「感染症」なのであり、その根幹部分を改善しなければ、「表面的な症状を治療」しても、状況はよくならない、とコメントされました。本当に、鋭い洞察と深い愛情をもって見守ってくださったが故のコメントと深く感銘を受けました。

また、勇気付けられたのは、やる気満々の多くの医学生の方が参加していたことです。
将来を担う、若手として、このような会に参加する意気込みやネットワークを持つかたはとても頼もしいです。ぜひがんばってほしい、と強く思いました。