俺流俳句 「いちらくいちらく」

俳句で遊ぼ。

あなたも、優しくなれます。
          
          千秀

初恋記念日

2008年10月31日 | 俳句

『忘られぬ 初恋記念日 そぞろ寒』
(わすられぬ はつこいきねんび そぞろさむ)

『秋旱 上から目線に 庶民なし』
(あきひでり うえからめせんに しょみんなし)

『朝寒や 押しくらまんじゅの 電車かな』
(あささむや おしくらまんじゅの でんしゃかな)

『いにしえの 明日香風吹く 暮の秋』
(いにしえの あすかかぜふく くれのあき)

『明日香には ロマンの芽あり 花白粉』
(あすかには ろまんのめあり はなおしろい)

『山の辺の 柿の木坂を 左折れ』
(やまのべの かきのきざかを ひだりおれ)

『夕映えの 春日の芒 銀に金』
(ゆうばえの かすがのすすき ぎんにきん)

『柿盗む 昔話に 渋き顔』
(かきぬすむ むかしはなしに しぶきかお)

『もみじ葉の 落ちて流れて 堰の上』
(もみじはの おちてながれて せきのうえ)

『保津下り 北山杉に 紅葉谷』
(ほづくだり きたやますぎに もみじだに)

『もみじ葉は 水に映りても 紅葉なり』
(もみじはは みずにうつりても もみじなり)

『深紅なり 水木の花の 赤い実は』
(しんくなり みずきのはなの あかいみは)

『秋澄むや 六分も四分も 消え失せて』
(あきすむや りくぶもしぶも きえうせて)

『穴惑い 風が溢れて 息詰り』
(あなまどい かぜがあふれて いきつまり)

『居酒屋の 定番の席 暮の秋』
(いざかやの ていばんのせき くれのあき)

『苔生せる 藁屋根の上 柿たわわ』
(こけむせる わらやねのうえ かきたわわ)

『秋の夢 父の飲む酒 水ばかり』
(あきのゆめ ちちののむさけ みずばかり)

『山の辺の 峠の茶屋の 柿旨し』
(やまのべの とうげのちゃやの かきうまし)


暮の秋

2008年10月30日 | 俳句

『カーテン越し 秋の夕陽の 十字光』
(かーてんごし あきのゆうひの じゅうじこう)

『月見酒 新月ならば なお旨し』
(つきみざけ しんげつならば なおうまし)

『草紅葉 歩けば道は 自ずから』
(くさもみじ あるけばみちは おのずから)

『底浅し 口耳四寸 秋の風』
(そこあさし こうじよんすん あきのかぜ)

『この道は いつか来た道 秋の色』
(このみちは いつかきたみち あきのいろ)

『我を追い 県を越したか 秋の鷺』
(われをおい けんをこしたか あきのさぎ)

『竜胆の 濃紫にぞ 意地がある』
(りんどうの こむらさきにぞ いじがある)

『学食の ラーメン定食 秋の昼』
(がくしょくの らーめんていしょく あきのひる)

『悪友も 俳句をやるや 竹の春』
(あくゆうも はいくをやるや たけのはる)

『皮一枚 命つなげる 熟柿かな』
(かわいちまい いのちつなげる じゅくしかな)

『藪から棒 烏飛び出す 秋の宵』
(やぶからぼう からすとびだす あきのよい)

『大学祭 山の名冠し 秋深む』
(だいがくさい やまのなかんし あきふかむ)

『人知らで 我のみ見ゆる 秋の鷺』
(ひとしらで われのみみゆる あきのさぎ)

『苔むして 野菊飾りし 墓のあり』
(こけむして のぎくかざりし はかのあり)

『何事も どうでもよろしく 暮の秋』
(なにごとも どうでもよろしく くれのあき)

『高速の 橋桁に絡む 蔦紅葉』
(こうそくの はしげたにからむ つたもみじ)


秋日和

2008年10月29日 | 俳句

『秋暁や 雲間に洩れる 陽の強さ』
(しゅうぎょうや くもまにもれる ひのつよさ)

『秋鷺の 鉾の真似して 屋根の上』
(あきさぎの ほこのまねして やねのうえ)

『陽を見つめ 目開き得るは 秋の陽か』
(ひをみつめ めひらきうるは あきのひか)

『風無くば 気の晴れ増す 秋日和』
(かぜなくば きのはれます あきびより)

『山の辺の 雲隠れつつ 山紅葉』
(やまのべの くもかくれつつ やまもみじ)

『茜舞う 秋の息吹きの 真中で』
(あかねまう あきのいぶきの まんなかで)

『秋風に 心も澄んで 微笑みを』
(あきかぜに こころもすんで ほほえみを)

『夕映えに 波収まりて 秋の凪』
(ゆうばえに なみおさまりて あきのなぎ)

『芒穂は 風に吹かれて ふらふらり』
(すすきほは かぜにふかれて ふらふらり)

『芒穂の 手招きするは どの世かな』
(すすきほの てまねきするは どのよかな)

『花水木 その葉のいのち 燃えるごと』
(はなみずき そのはのいのち もえるごと)

『いついつと 待ちにし人は 来ずの秋』
(いついつと まちにしひとは こずのあき)

『伝えてよ 露に濡れつつ 君待つと』
(つたえてよ つゆにぬれつつ きみまつと)

『イヤホンの 長さの違う 左右の秋』
(いやほんの ながさのちがう さゆのあき)


2008年10月28日 | 俳句

『秋晴れの 光の中の ひと眠り』
(あきばれの ひかりのなかの ひとねむり)

『秋晴れや 空さらに青く 天高し』
(あきばれや そらさらにあおく てんたかし)

『夏の空 戻りてももう 秋半ば』
(なつのそら もどりてももう あきなかば)

『女高生 秋のすずしろ 桜島』
(じょこうせい あきのすずしろ さくらじま)

『成行きに 任す他なし 秋の暮』
(なりゆきに まかすほかなし あきのくれ)

『秋の蠅 バス渋滞 五月蝿いぞ』
(あきのはえ ばすじゅうたい うるさいぞ)

『吹く風に 逆らわず立つ 芒あり』
(ふくかぜに さからわずたつ すすきあり)

『芒の穂 その立ち姿 我に似て』
(すすきのほ そのたちすがた われににて)

『コスモスは 風ありてこそ 花なりき』
(こすもすは かぜありてこそ はななりき)

『無人駅 コスモス咲く他 何もなし』
(むじんえき こすもすさくほか なにもなし)

『香漂い その先にある 金木犀』
(こうただよい そのさきにある きんもくせい)

『ものがなし 夕暮れに消ゆる 茜かな』
(ものがなし ゆうぐれにきゆる あかねかな)
                 茜=赤蜻蛉(あかとんぼ)

『春日なる 三笠に掛かる 秋の雲』
(かすがなる みかさにかかる あきのくも)


柿簾

2008年10月27日 | 俳句

『名も知らぬ 茸の生えし 下の階』
(なもしらぬ きのこのはえし したのかい)

『一片の 松茸も無き 夕餉かな』
(いっぺんの まつたけもなき ゆうげかな)

『吾亦紅 形よし色よし 匂い良し』
(われもこう かたよしいろよし においよし)

『曲がり角 軒に吊るせし 柿簾』
(まがりかど のきにつるせし かきすだれ)

『黄昏て 柿の色濃く 急ぎ足』
(たそがれて かきのいろこく いそぎあし)

『奈良名産 柿の葉ずしの なつかしき』
(ならめいさん かきのはずしの なつかしき)

『柿の渋 研究せよとや 口渋し』
(かきのしぶ けんきゅうせよとや くちしぶし)

『薄紅葉 これくらいが良し うすもみじ』
(うすもみじ これくらいがよし うすもみじ)

『さやけしや 吾子と別れて もう三日』
(さやけしや あことわかれて もうみっか)

『寝て居れば いつしか進む 秋の暮』
(ねておれば いつしかすすむ あきのくれ)

『この秋は 雀も掛かる メタボ症』
(このあきは すずめもかかる めたぼしょう)

『回り道 山近ければ 紅葉濃く』
(まわりみち やまちかければ もみじこく)

『名月や 月は出ずとも 酒はある』
(めいげつや つきはでずとも さけはある)

『むざんやな バブルはじけし きりぎりす』
(むざんやな ばぶるはじけし きりぎりす)

『塩秋刀魚 醤油は要らぬ おろしのみ』
(しおさんま しょうゆはいらぬ おろしのみ)

『桃の木を 一人泣かすな 秋の風』
(もものきを ひとりなかすな あきのかぜ)


竹の春

2008年10月26日 | 俳句

『秋澄むや 暑さ寒さも 消え失せて』
(あきすむや あつささむさも きえうせて)

『この秋は 運動会も 判らずに』
(このあきは うんどうかいも わからずに)

『居酒屋を 素通りしたる 秋の風』
(いざかやを すどおりしたる あきのかぜ)

『秋風の 落し物とて 桐一葉』
(あきかぜの おとしものとて きりひとは)

『秋薔薇 色気出しても 気にならず』
(あきそうび いろけだしても きにならず)

『団栗の 古きを好む 妹が居て』
(どんぐりの ふるきをこのむ いもがいて)

『高松の 笹の葉揺れて 竹の春』
(たかまつの ささのはゆれて たけのはる)

『山燃える 秋の夕陽に 照らされて』
(やまもえる あきのゆうひに てらされて)

『草の露 大小ともに 輝けり』
(くさのつゆ だいしょうともに かがやけり)

『竜胆の 陽浴びて立ちし 男振り』
(りんどうの ひあびてたちし おとこぶり)

『水茄子を 美味しと言いし 娘あり』
(みずなすを おいしといいし むすめあり)

『日一日 落葉溜まりの 色褪せて』
(ひいちにち おちばだまりの いろあせて)

『堰の上 鴨疲れしか 一羽二羽』
(せきのうえ かもつかれしか いちわにわ)

『くしゃみにも 寒さ感じる 昨日今日』
(くしゃみにも さむさかんじる きのうきょう)


毬栗

2008年10月25日 | 俳句

『メタボ汗 夜寒の床に 風邪を引く』
(めたぼあせ よさむのとこに かぜをひく)

『秋深し 砂上の楼閣 サブプライム』
(あきふかし さじょうのろうかく さぶぷらいむ)

『秋深し 台風上陸 何も無し』
(あきふかし たいふうじょうりく なにもなし)

『学び舎に 銀杏つきもの 散るばかり』
(まなびやに いちょうつきもの ちるばかり)

『物言えば 流暢なりや 秋の暮』
(ものいえば りゅうちょうなりや あきのくれ)

『吹く風の 日に日に強く 秋の暮』
(ふくかぜの ひにひにつよく あきのくれ)

『毬栗を 読めぬ生徒の 野球する』
(いがぐりを よめぬせいとの やきゅうする)

『塀の上 寂しき顔の 秋の犬』
(へいのうえ さびしきかおの あきのいぬ)

『猫じゃらし 何をじゃらすか 犬ばかり』
(ねこじゃらし なにをじゃらすか いぬばかり)

『一面に 背より高き 泡立草』
(いちめんに せなよりたかき あわだそう)

『この秋の とんぼじっとして 店仕舞い』
(このあきの とんぼじっとして みせじまい)

『松手入れ 一肌脱げて 寒さ増し』
(まつていれ ひとはだぬげて さむさまし)

『草の露 集めて飲めば 露ならず』
(くさのつゆ あつめてのめば つゆならず)

『愛らしき 言の葉尽くし 秋深し』
(あいらしき ことのはつくし あきふかし)

『今の風 明日も同じく 吹くかしら』
(いまのかぜ あすもおなじく ふくかしら)

『わがあさは なかなかならん さわやかさ』
(わがあさは なかなかならん さわやかさ)


秋の暮

2008年10月24日 | 俳句

『爽やかや 我を見つめる 吾子の目の』
(さわやかや われをみつめる あこのめの)

『吾子帰り 台風一過の 秋の宵』
(あこかえり たいふういっかの あきのよい)

『吾子去れば 深さ極まる 秋の暮』
(あこされば ふかさきわまる あきのくれ)

『秋の夜の 壊れた電話 砂時計』
(あきのよの こわれたでんわ すなどけい)

『秋雨や あいも変わらぬ 膝の音』
(あきさめや あいもかわらぬ ひざのおと)

『雨に濡る その肩越しに 萩の花』
(あめにぬる そのかたごしに はぎのはな)

『世の中は 冷たさ増して 秋の風』
(よのなかは つめたさまして あきのかぜ)

『石山に 白さ漂う 秋の風』
(いしやまに しろさただよう あきのかぜ)

『寝言にも 淋しさ溢る 秋の暮』
(ねごとにも さびしさあふる あきのくれ)

『この秋は 花鳥風月 遠くあり』
(このあきは かちょうふうげつ とおくあり)


秋深し

2008年10月23日 | 俳句

『予期せぬに 白も亦よし 吾亦紅』
(よきせぬに しろもまたよし われもこう)

『日経に 携帯広げ 秋の女』
(にっけいに けいたいひろげ あきのひと)

『欠伸とて 三度が限度 秋の女』
(あくびとて さんどがげんど あきのひと)

『秋深し 昨日の我と 思うなよ』
(あきふかし きのうのわれと おもうなよ)

『秋深し 苦悩の我と 思うなよ』
(あきふかし くのうのわれと おもうなよ)

『秋深し 左脳の我と 思うなよ』
(あきふかし さのうのわれと おもうなよ)

『秋深し 不能の我と 思うなよ』
(あきふかし さのうのわれと おもうなよ)

『車窓に 映る姿よ 愁思あり』
(しゃそうに うつるすがたよ しゅうしあり)

『秋雨に 煙れる街の 赤信号』
(あきさめに けむれるまちの あかしんごう)

『雨女 汚名返上 秋の空』
(あまおんな おめいへんじょう あきのそら)



もみじ

2008年10月22日 | 俳句

『残り香に 後ろ髪引く 秋の風』
(のこりがに うしろがみひく あきのかぜ)

『秋風の 我より早く 吹き抜けぬ』
(あきかぜの われよりはやく ふきぬけぬ)

『影踏みし 妹の背高く 天高し』
(かげふみし いものせたかく てんたかし)

『濃く淡く 裏に表と もみじ舞う』
(こくあわく うらにおもてと もみじまう)

『帰ろかな 帰るのよそう 夜半の秋』
(かえろかな かえるのよそう よわのあき)

『長き夜や 酒で紛らす 古き傷』
(ながきよや さけでまぎらす ふるききず)

『娘来る この一報に 秋さやか』
(むすめくる このいっぽうに あきさやか)

『そぞろ寒 目はうす笑い 口斜め』
(そぞろさむ めはうすわらい くちななめ)

『秋風に 両手広げて 深呼吸』
(あきかぜに りょうてひろげて しんこきゅう)

『一夜にて 三度の誰何 秋月夜』
(いちやにて さんどのすいか あきづきよ)


草の絮

2008年10月21日 | 俳句

『草の絮 風にふらふら どこへ行く』
(くさのわた かぜにふらふら どこへゆく)

『風と風邪 変換間違い 秋の空』
(かぜとかぜ へんかんまちがい あきのそら)

『夜長ふと 気に成り出して 鼻毛抜く』
(よながふと きになりだして はなげぬく)

『秋の海 鳶の落下 風誘う』
(あきのうみ とんびのらっか かぜさそう)

『秋日和 子守唄など 口ずさみ』
(あきびより こもりうたなど くちずさみ)

『鶴亀の 姿遠のき 秋の夕』
(つるかめの すがたとおのき あきのゆう)

『秋風や 強さの程の 乱れ髪』
(あきかぜや つよさのほどの みだれがみ)

『夕暮れて 鐘の音聞こゆ 秋の山』
(ゆうぐれて かねのねきこゆ あきのやま)

『そぞろ寒 鏡の中の 我が姿』
(そぞろさむ かがみのなかの わがすがた)

『秋深し 虫の鳴く音の 喧し』
(あきふかし むしのなくねの かまびすし)

『鈴虫の 寝るな寝るなと 啼きにけり』
(すずむしの ねるなねるなと なきにけり)


色なき風

2008年10月20日 | 俳句

『孫の日や 相手されるは いつまでか』
(まごのひや あいてされるは いつまでか)

『この秋は 孫らしき人 増えに増え』
(このあきは まごらしきひと ふえにふえ)

『秋深し 一期一会の 邂逅よ』
(あきふかし いちごいちえの かいこうよ)

『爽やかや いつも母娘の ペアルック』
(さわやかや いつもおやこの ぺあるっく)

『木の実独楽 回って弾けて 横になり』
(このみごま まわってはじけて よこになり)

『うすもみじ 赤味を増して 夕紅葉』
(うすもみじ あかみをまして ゆうもみじ)

『山積みの 案山子の顔の 煤けおり』
(やまづみの かかしのかおの すすけおり)

『学び舎に 色なき風の 忍び寄る』
(まなびやに いろなきかぜの しのびよる)
                色なき風=秋風

『月明かり 半月ならば こんなもの』
(つきあかり はんげつならば こんなもの)

『里芋の 穴から覗く 月世界』
(さといもの あなからのぞく げっせかい)

『秋旨し 膨れし腹を 撫で食べる』
(あきうまし ふくれしはらを なでたべる)

『気に掛かる 夜寒の床の 荒れ姿』
(きにかかる よさむのとこの あれすがた)

『鳥渡る 今日の寝ぐらは どこぞやら』
(とりわたる きょうのねぐらは どこぞやら)

『はぐれ者 渡り鳥に見る 己が身を』
(はぐれもの わたりどりにみる おのがみを)

『残る虫 静寂を破り 啼くことよ』
(のこるむし しじまをやぶり なくことよ)
                残る虫=蟋蟀(こおろぎ)

『残る虫 所詮蟻には 勝てぬもの』
(のこるむし しょせんありには かてぬもの)

『身に沁むは 風にはあらで 心なり』
(みにしむは かぜにはあらで こころなり)



銀杏

2008年10月19日 | 俳句

『落語家の 銀杏好み 臭さあり』
(らくごかの ぎんなんごのみ くささあり)

『銀杏を 踏みしだいては 靴悲惨』
(ぎんなんを ふみしだいては くつひさん)

『銀杏を 食ぶればこれが 癖になり』
(ぎんなんを たぶればこれが くせになり)

『学び舎に 銀杏の匂い 三日ほど』
(まなびやに ぎんなんのにおい みっかほど)

『乱高下 株持たざるに 秋日和』
(らんこうか かぶもたざるに あきびより)

『竹を伐り 小刀細工 やじろべえ』
(たけをかり こがたなざいく やじろべえ)

『鍋底の 芋美味なりと 無くなりぬ』
(なべそこの いもびみなりと なくなりぬ)

『紅葉も 枯葉落葉の 一里塚』
(こうようも かれはおちばの いちりづか)

『一葉落ち 一葉掃きたる 竹箒』
(ひとはおち ひとははきたる たけぼうき)

『掃きぬれど 寄せては散りぬ 落葉かな』
(はきぬれど よせてはちりぬ おちばかな)

『秋日和 景色見えずも 陽は射して』
(あきびより けしきみえずも ひはさして)

『気が付けば 半身不随 秋の虎』
(きがつけば はんしんふずい あきのとら)

『門前の 懸崖の菊 賞外れ』
(もんぜんの けんがいのきく しょうはずれ)

『秋風や 行列できてる カレー屋さん』
(あきかぜや ぎょうれつできてる かれーやさん)

『縄電車 今秋のメタボ エクササイズ』
(なわでんしゃ いまあきのめたぼ えくささいず)

『トンネルを 抜ければ白き 十三夜』
(とんねるを ぬければしろき じゅうさんや)


秋深し

2008年10月18日 | 俳句

『眠れぬ夜 もう肌寒く 毛布巻く』
(ねむれぬよ もうはださむく もうふまく)

『見上げれば 雲間の月の 微笑みぬ』
(みあげれば くもまのつきの ほほえみぬ)

『秋一語 寂しと言えば 淋しかり』
(あきいちご さびしといえば さみしかり)

『過ぎし日を 忘れ得ずして 長い夜』
(すぎしひを わすれえずして ながいよる)

『秋に見る 鉢に一輪 仏桑花』
(あきにみる はちにいちりん ぶっそうげ)
                 仏桑花=ハイビスカス

『渡り鳥 見つれば我も 空を飛ぶ』
(わたりどり みつればわれも そらをとぶ)

『野晒しの 苔生す石碑 秋の風』
(のざらしの こけむすせきひ あきのかぜ)

『咳堪え 息を呑みこむ 夜寒かな』
(せきこらえ いきをのみこむ よさむかな)

『秋深し 日毎夜毎に 名残あり』
(あきふかし ひごとよごとに なごりあり)

『銀杏の木 黄葉せずに 散るなかれ』
(いちょうのき こうようせずに ちるなかれ)

『物言えば ぐぁん公案と 秋の風』
(ものいえば ぐぁんぐあんと あきのかぜ)

『あの道に 我を招くや 秋の暮』
(あのみちに われをまねくや あきのくれ)

『昔なら 決闘舞台 芒原』
(むかしなら けっとうぶたい すすきはら)

『芋の露 露に変わりが あるじゃなし』
(いものつゆ つゆにかわりが あるじゃなし)

『日と月と 日と音ならば 明暗じゃ』
(ひとつきと ひとおとならば めいあんじゃ)

『明暗を 分けて月夜の 淀の川』
(めいあんを わけてつきよの よどのかわ)

『総選挙 立つも立たぬも 爽やかに』
(そうせんきょ たつもたたぬも さわやかに)

『脳衰に 小首傾げる 案山子かな』
(のうすいに こくびかしげる かかしかな)

『藁塚を 数えて歩く 明日香道』
(わらづかを かぞえてあるく あすかみち)

『海底に 身沈めて見る 秋の空』
(かいていに みしずめてみる あきのそら)


十三夜

2008年10月17日 | 俳句

『知らぬ間に 二夜も過ぎて 十三夜』
(しらぬまに ふたやもすぎて じゅうさんや)

『坂の上 はるかに白き 十三夜』
(さかのうえ はるかにしろき じゅうさんや)

『この世には 何は無くとも 後の月』
(このよには なにはなくとも のちのつき)

『十五より 欠けたるが良し 十三夜』
(じゅうごより かけたるがよし じゅうさんや)

『後の月 明日香の月よ 名月よ』
(のちのつき あすかのつきよ めいげつよ)

『秋日和 カーテン越しの 陽の強さ』
(あきびより かーてんごしの ひのつよさ)

『秋の夜に 語るべき妹 今遠し』
(あきのよに かたるべきいも いまとおし)