俺流俳句 「いちらくいちらく」

俳句で遊ぼ。

あなたも、優しくなれます。
          
          千秀

赤とんぼ

2008年08月31日 | 俳句

『思い寝に 枕を濡らす 秋の夜』
(おもいねに まくらをぬらす あきのよる)

『団栗を 拾いし妹の いま遠く』
(どんぐりを ひろいしいもの いまとおく)

『カーテンの 膨らみに見る 秋の影』
(かーてんの ふくらみにみる あきのかげ)

『秋めくや 暮るるにつれて 寂と侘』
(あきめくや くるるにつれて さびとわび)

『室外機 静かになりて 蜩鳴く』
(しつがいき しずかになりて ひぐらしなく)

『赤とんぼ 街中ゆえか 色薄き』
(あかとんぼ まちなかゆえか いろうすき)

『苔むせる 地蔵の上に 赤とんぼ』
(こけむせる じぞうのうえに あかとんぼ)

『このごろは 濡れるしか無し 秋時雨』
(このごろは ぬれるしかなし あきしぐれ)

『女郎花 探して歩く 川の端』
(おみなえし さがしてあるく かわのはた)

『秋出水 ゲリラ豪雨と 変わりけり』
(あきでみず げりらごううと かわりけり)


秋出水

2008年08月30日 | 俳句

『秋出水 党の出入りの 薄情』
(あきでみず とうのでいりの うすなさけ)

『我が部屋は 涼しと涼しと 嫁の愚痴』
(わがへやは すずしとすずしと よめのぐち)
 
『新豆腐 夕餉の膳の 数の増え』
(しんとうふ ゆうげのぜんの かずのふえ)

『秋めくや 寝言の数の 減りにけり』
(あきめくや ねごとのかずの へりにけり)

『雲見れど 天気の読めぬ 夜の秋』
(くもみれど てんきのよめぬ よるのあき)

『秋暁の 奈良の都に 露の音』
(しゅうぎょうの ならのみやこに つゆのおと)

『寝て起きて 寝て起きている 夜長かな』
(ねておきて ねておきている よながかな)

『秋の蝉 声の掠れて 聞こえしが』
(あきのせみ こえのかすれて きこえしが)

『雨音の 激しく聞こゆ 秋の雨』
(あまおとの はげしくきこゆ あきのあめ)


流れ星

2008年08月29日 | 俳句

『しみじみと しみじみとして 秋の雨』
(しみじみと しみじみとして あきのあめ)

『身と心 どこかが欠けし 秋の宵』
(みとこころ どこかがかけし あきのよい)

『昼顔の かもし出す色 甘さあり』
(ひるがおの かもしだすいろ あまさあり)

『夕立に 洗濯物は お忙し』
(ゆうだちに せんたくものは おいそがし)

『立つ案山子 不細工が良し 鳥寄らず』
(たつかかし ぶさいくがよし とりよらず)

『蜩や 声の向こうに 新薬師』
(ひぐらしや こえのむこうに しんやくし)

『流れ星 幾万と降れ 願い有り』
(ながれぼし いくまんとふれ ねがいあり)

『まどろみや 秋の朝寝の 心地良さ』
(まどろみや あきのあさねの ここちよさ)

『秋雨の 雨と思わば 涼しけり』
(あきさめの あめとおもわば すずしけり)


2008年08月28日 | 俳句

『黄昏て 葉の緑濃き 百日紅』
(たそがれて はのみどりこき さるすべり)

『秋近し 雨雲に立つ 雷雲』
(あきちかし あまぐもにたつ かみなりぐも)

『鳴かんでも 落ちんで欲しい 秋の蝉』
(なかんでも おちんでほしい あきのせみ)

『草の露 集めて飲みし お茶の夢』
(くさのつゆ あつめてのみし おちゃのゆめ)

『溜息の 地下に洩れ来て 暑き秋』
(ためいきの ちかにもれくて あつきあき)

『飴袋 裂くことできず 秋旱』
(あめぶくろ さくことできず あきひでり)

『蜩の みな鳴き止みて 空を見る』
(ひぐらしの みななきやみて そらをみる)

『八月の からだ哀しや 我が身ならず』
(はちがつの からだかなしや わがみならず)

『話下手 手離しならぬ 秋扇』
(はなしべた てばなしならぬ あきおうぎ)
 
『蓑虫も ちゃんちゃんと泣き 首を出す』
(みのむしも ちゃんちゃんとなき くびをだす)

『酔座して 酔臥してなお 秋暑し』
(すいざして すいがしてなお あきあつし)

『曇り空 心で見たり 星月夜』
(くもりぞら こころでみたり ほしづきよ)


秋の道

2008年08月27日 | 俳句

『露涼し 風にゆらゆら きらめいて』
(つゆすずし かぜにゆらゆら きらめいて)

『涼しさは 露の雫の 乾く間に』
(すずしさは つゆのしずくの かわくまに)

『足元に 椋鳥三羽 秋の道』
(あしもとに むくどりさんば あきのみち)

『蝉時雨 元気出しなよ 明日もある』
(せみしぐれ げんきだしなよ あすもある)

『蝉時雨 つくつく二三 聞き取られ』
(せみしぐれ つくつくにさん ききとられ)

『落蝉は 仰向けに寝て 羽根もなし』
(おちせみは あおむけにねて はねもなし)

『薄紅を 夜空に向けて 百日紅』
(うすべにを よぞらにむけて さるすべり)


露草

2008年08月26日 | 俳句

『露草の 露煌めきて 色めきて』
(つゆくさの つゆきらめきて いろめきて)

『猫じゃらし 空き地一面 風に揺れ』
(ねこじゃらし あきちいちめん かぜにゆれ)

『稲の穂も 頭を垂れて 実り待つ』
(いねのほも こうべをたれて みのりまつ)

『鰯雲 手足届かず 音をあげて』
(いわしぐも てあしとどかず ねをあげて)

『ふるさとの たよりとだえて 長き夜』
(ふるさとの たよりとだえて ながきよる)

『山の神 桃の香りに 乱れけり』
(やまのかみ もものかおりに みだれけり)

『そんなにも 枝豆食っちゃあ いけません』
(そんなにも えだまめくっちゃあ いけません)

『百均の メモ帳にも 夜の秋』
(ひゃくきんの めもちょうにも よるのあき)

『川端の 土手に顔出す 薬師草』
(かわばたの どてにかおだす やくしそう)
                 薬師草=弟切草

『睡蓮や 水面に映えて 色淡く』
(すいれんや みなもにはえて いろあわく)

『我が身をば 附かず離れず 秋の蝶』
(わがみをば つかずはなれず あきのちょう)


秋茄子

2008年08月25日 | 俳句

『夕焼けに 虫の音加え 秋めきぬ』
(ゆうやけに むしのねくわえ あきめきぬ)

『ちりちりと 虫の声して 宵せまる』
(ちりちりと むしのこえして よいせまる)

『雲隠れ 良い下弦なり 秋の月』
(くもがくれ いいかげんなり あきのつき)

『秋茄子の 切り身厚くば しょうがない』
(あきなすの きりみあつくば しょうがない)

『遠花火 音のみ聞こえ いと侘し』
(とおはなび おとのみきこえ いとわびし)


そぞろ寒

2008年08月24日 | 俳句

『秋めくも 木の葉も知らぬ 戀もある』
(あきめくも このはもしらぬ こいもある)

『漫ろ寒 星の出ぬ夜の 泪雨』
(そぞろさむ ほしのでぬよの なみだあめ)

『朝顔や 昼夕もあり 明日もあり』
(あさがおや ひるゆうもあり あすもあり)

『三輪の山 秋風白く 雲白く』
(みわのやま あきかぜしろく くもしろく)

『灯消え お隣どこぞ 夜の秋』
(あかりきえ おとなりどこぞ よるのあき)

『酔芙蓉 淡き色なり 初恋の』
(すいふよう あわきいろなり はつこいの)

『涼風の 風の流れに 身を向けて』
(すずかぜの かぜのながれに みをむけて)

『涼しさは 心配りの 冷やしコップ』
(すずしさは こころくばりの ひやしこっぷ)

『ツクヅクと 日に日が早く 法師啼く』
(つくづくと ひにひがはやく ほうしなく)

『露けきは 人の心に 欲しきもの』
(つゆけきは ひとのこころに ほしきもの)

『秋近し 心の闇の 三年半』
(あきちかし こころのやみの みとせはん)
                 =7012

酔芙蓉

2008年08月23日 | 俳句

『用済みの タオルハンカチ 忘れけり』
(ようずみの たおるはんかち わすれけり)
                =6999

『撫子の 頑張りばかり 目立ちたる』
(なでしこの がんばりばかり めだちたる)
                =7000

『黄昏て 顔赤らめて 酔芙蓉』
(たそがれて かおあからめて すいふよう)
                =7001

残暑

2008年08月22日 | 俳句

『夕立も スコールなみの 秋の雨』
(ゆうだちも すこーるなみの あきのあめ)

『窓開けて ちと肌寒き 秋の宵』
(まどあけて ちとはださむき あきのよい)

『酔芙蓉 その紅色に 酔いしれて』
(すいふよう そのべにいろに よいしれて)

『百日紅 色彩やかに 移ろいぬ』
(さるすべり いろさややかに うつろいぬ)

『炎帝の 衰え見せぬ 青き空』
(えんていの おとろえみせぬ あおきそら)
                炎帝=夏の太陽

『高々に 残暑身にしむ 歩道橋』
(たかだかに ざんしょみにしむ ほどうきょう)

『秋暑し 降りそで降らぬ 名残雨』
(あきあつし ふりそでふらぬ なごりあめ)

『八月や 事故して止まる 内回り』
(はちがつや じこしてとまる うちまわり)
                   =6998


秋の風

2008年08月21日 | 俳句

『冷し酒 たった四杯で 熟睡す』
(ひやしざけ たった4はいで じゅくすいす)

『昼下がり 似ても似つかぬ 母娘百合』
(ひるさがり にてもにつかぬ おやこゆり)

『市役所の ワシワシのまだ 我をはりて』
(しやくしょの わしわしのまだ がをはりて)

『堰の音に さびしさ増して 秋の風』
(せきのねに さびしさまして あきのかぜ)
                 =6990
 

女郎花

2008年08月20日 | 俳句

『露の世と 知りて夢見る 秋もある』
(つゆのよと しりてゆめみる あきもある)

『野を行けば さびしく咲けり 女郎花』
(のをいけば さびしくさけり おみなえし)

『学び舎は 学生散って 木槿咲く』
(まなびやは がくせいちって むくげさく)

『山の辺の 道の傍ら 秋の蝶』
(やまのべの みちのかたわら あきのちょう)

『猫じゃらし 見かけるほどに 秋と知る』
(ねこじゃらし みかけるほどに あきとしる)

『後金 前は銅かな 夏の女』
(うしろきん まえはどうかな なつのひと)

『前歩く 黒い日傘の 艶めかし』
(まえあるく くろいひがさの なまめかし)

『エスエルの 並走なつかし 夏の夢』
(えすえるの へいそうなつかし なつのゆめ)

高校の2年間、汽車(SL)通学をしていました。博多駅の一つ手前の吉塚駅に、
鹿児島本線からの支線、勝田線と篠栗線があり、吉塚駅への到着、駅からの
発車の際、毎日、この2線でSLの競争をしていました。
久しぶりに、その夢を見ました。


落蝉

2008年08月19日 | 俳句

『落蝉の 体焦がして 道標』
(おちせみの からだこがして みちしるべ)

『耳澄まし 聞き分けんとす 蝉時雨』
(みみすまし ききわけんとす せみしぐれ)

『香を焚き 茶をいただきて 秋愁う』
(こうをたき ちゃをいただきて あきおもう)

『秋の虫 ちちよちちよと 聞こえ来る』
(あきのむし ちちよちちよと きこえくる)


空蝉

2008年08月18日 | 俳句

『過ぎゆきし 夏の名残りの 入道雲』
(すぎゆきし なつのなごりの にゅうどうぐも)

『空蝉の 空っぽの殻に 大きな目』
(うつせみの からっぽのからに おおきなめ)

『雲隠れ 望もなき夜の 星月夜』
(くもがくれ もちもなきよの ほしづきよ)


暑気中り

2008年08月17日 | 俳句

『遠雷に 涼を期待の 嫁が居て』
(えんらいに りょうをきたいの よめがいて)

『老いらくに 頼れるものは 冷し酒』
(おいらくに たよれるものは ひやしざけ)

『長かりし 夏休みもう 終わりけり』
(ながかりし なつやすみもう おわりけり)

『酔臥の 心に咲きし 桔梗かな』
(よいぶせの こころにさきし ききょうかな)

『まろび寝に 遠雷の音 かすかなり』
(まろびねに えんらいのおと かすかなり)

『暑気中り 他人に判らぬ この不快感』
(しょきあたり ひとにわからぬ このふかい)