俺流俳句 「いちらくいちらく」

俳句で遊ぼ。

あなたも、優しくなれます。
          
          千秀

花菜雨

2007年03月31日 | 俳句

『その名前 みやこわすれと 憶えしが』
(そのなまえ みやこわすれと おぼえしが)

『ぽぽと咲く 蒲公英の絮 さあ飛ばそ』
(ぽぽとさく たんぽぽのわた さあとばそ)

『鳥は鳴き 花は咲けども 人は何故』
(とりはなき はなはさけども ひとはなぜ)

『涙溜め すももの花の 白く咲く』
(なみだため すもものはなの しろくさく)

『夢見月 心映して 鳥の啼く』
(ゆめみづき こころうつして とりのなく)

『佇めば 岸辺の花菜 近くあり』
(たたずめば きしべのはなな ちかくあり)

『待ち兼ねし 岸辺の桜 二分三分』
(まちかねし きしべのさくら にぶさんぶ)

『陽が射せば 満開の花 影を生む』
(ひがさせば まんかいのはな かげをうむ)

『見上げれば 何があるかや 鴉の巣』
(みあげれば なにがあるかや からすのす)

『嘴に 針金銜え 春鴉』
(くちばしに はりがねくわえ はるがらす)

『土手あたり 固まりて咲く 木瓜の花 』
(どてあたり かたまりてさく ぼけのはな)

『手水舎に 心洗いて 春社』
(てみずやに こころあらいて はるやしろ)

『春高く 空を仰げば 目眩する』
(はるたかく そらをあおげば めまいする)

『花菜雨 彩り軽く 足軽く』
(はななあめ いろどりかるく あしかるく)

春や春

2007年03月30日 | 俳句

『待ちわびて これでこれでと 春の宵』
(まちわびて これでこれでと はるのよい)

『春の夢 いまだ醒めずや 明日もある』
(はるのゆめ いまださめずや あすもある)

『逃げ水を 追って追いかけ 夢の中』
(にげみずを おっておいかけ ゆめのなか)

『戀すてふ 去年の桜や 今年また』
(こいすちょう こぞのさくらや ことしまた)

『まだまだよ 夢路のみ咲く 桜花』
(まだまだよ ゆめじのみさく さくらばな)

『春の宵 ただ何となく あえいおう』
(はるのよい ただなんとなく あえいおう)

『バス停の 花菜の色の 黄色くて』
(ばすていの はななのいろの きいろくて)

『桃の花 あるがまま咲き 色香あり』
(もものはな あるがままさき いろかあり)

『哀しみも 楽しみも今 春や春』
(かなしみも たのしみもいま はるやはる)
=3000


『ニニロッソ その昔の音 春愁い』
(ににろっそ そのむかしのね はるうれい)

『つばくらめ 川面すいすい 風に消え』
(つばくらめ かわもすいすい かぜにきえ)

『鯉の戀 ひごいにまごい 春の戀』
(こいのこい ひごいにまごい はるのこい)

『よく見れば 何で可愛や 蛙の子』
(よくみれば なんでかわいや かえるのこ)

『卵など 触りたくない 蛙の子』
(たまごなど さわりたくない かえるのこ)

『蛙の子 気にすな一生 そこにあり』
(かえるのこ きにすないっしょう そこにあり)

夢の花

2007年03月29日 | 俳句

『夢見草 膨らむ蕾 いつに咲く』
(ゆめみぐさ ふくらむつぼみ いつにさく)

『菜の花や 電信柱 囲み咲く』
(なのはなや でんしんばしら かこみさく)

『菜の花は 夢の中でも 黄一色』
(なのはなは ゆめのなかでも きいっしょく)

『夢うつつ 野辺の霞に 消えねども』
(ゆめうつつ のべのかすみに きえねども)

『虻の戀 花菜戀しと 泣き虫に』
(あぶのこい かなこいしと なきむしに)

『菜の花に 虻蜂取らず 教えられ』
(なのはなに あぶはちとらず おしえられ)

『若草や 奈良の大仏 微笑みし』
(わかくさや ならのだいぶつ ほほえみし)

『若草は 奈良の仏の 上にあり』
(わかくさは ならのほとけの うえにあり)

『春霞 淡路の島が 消えてゆく』
(はるがすみ あわじのしまが きえてゆく)

『春暁や 闇夜の鴉 ぬっと出て』
(しゅんぎょうや やみよのからす ぬっとでて)

『紅椿 時は流れて 落椿』
(べにつばき ときはながれて おちつばき)

『哀しみも 春は巡りて 彼方へと』
(かなしみも はるはめぐりて かなたへと)

『春の夜の はかなき夢よ 花と蝶』
(はるのよの はかなきゆめよ はなとちょう)

『愛情と 言う酎ハイ 春の夜』
(あいじょうと いうちゅうはい はるのよる)

春の夢

2007年03月28日 | 俳句

『春雷の 遠く千切れて 空煙る』
(しゅんらいの とおくちぎれて そらけぶる)

『うたた寝の 夢の世界や 春うらら』
(うたたねの ゆめのせかいや はるうらら)

『春の夢 三度も見たら 叶うかな』
(はるのゆめ さんどもみたら かなうかな)

『春の戀 せめて夢の間 醒めやらで』
(はるのこい せめてゆめのま さめやらで)

『春なのさ どうせ俺いらは 夢の人』
(はるなのさ どうせおいらは ゆめのひと)

『春の海 戀の破れて 潮境』
(はるのうみ こいのやぶれて しおざかい)

『いつの間の 雀隠れや 鬼の居て』
(いつのまの すずめがくれや おにのいて)

『陽と草と 汗の匂いの 春の戀』
(ひとくさと あせのにおいの はるのこい)

『頬を染め 口ほころぶや 妹の春』
(ほおをそめ くちほころぶや いものはる)

『花が欲し 朝の陽が欲し 愛が欲し』
(はながほし あさのひがほし あいがほし)

『蝌蚪という 名前に反し グロテスク』
(かとという なまえにはんし ぐろてすく)

『春の波 黒潮なれど 色白し』
(はるのなみ くろしおなれど いろしろし)

『波しぶき 酸素補給や 春の海』
(なみしぶき さんそほきゅうや はるのうみ)

『引鴨や 朝空なれば なお寂し』
(ひきがもや あさぞらなれば なおさびし)

『これも春 鳶も輪を描きゃあ 虹も出る』
(これもはる とびもわをかきゃあ にじもでる)

『囀りや 姿を見せて 鳴いとくれ』
(さえずりや すがたをみせて ないとくれ)

『庄下川 桜が咲いたと 嫁自慢』
(しょうげがわ さくらがさいたと よめじまん)

『春陰や 低、高気圧 変わり番』
(しゅんいんや てい、こうきあつ かわりばん)

『高松の 古墳裸に 竹の秋』
(たかまつの こふんはだかに たけのあき)

『これが戀 耐え難く候 春朧』
(これがこい たえがたくそろ はるおぼろ)

『春休み 席暖まる 暇も無く』
(はるやすみ せきあたたまる ひまもなく)

『風そよぐ ふらここ揺れて 君の影』
(かぜそよぐ ふらここゆれて きみのかげ)

『春風は 誰にも優しと 人の言い』
(はるかぜは だれにもやさしと ひとのいい)

『澄みし空 囀り高く 空青く』
(すみしそら さえずりたかく そらあおく)

『春の街 喧騒の中 空白む』
(はるのまち けんそうのなか そらしらむ)

『春を詠む はてなはてなの 多きこと』
(はるをよむ はてなはてなの おおきこと)

『今知れり 本音の聞こゆ 春の闇』
(いましれり ほんねのきこゆ はるのやみ)

春愁

2007年03月27日 | 俳句

『春の月 上弦の月 身に近く』
(はるのつき じょうげんのつき みにちかく)

『春の月 おぼろ月なり 身半分』
(はるのつき おぼろづきなり みはんぶん)

『北の国 雛の桜は まだ七つ』
(きたのくに ひなのさくらは まだななつ)

『いつするか 花見の季節 蕾見る』
(いつするか はなみのきせつ つぼみみる)

『春の風 小川の水は とろとろと』
(はるのかぜ おがわのみずは とろとろと)

『百千鳥 集う小川に 風通る』
(ももちどり つどうおがわに かぜとおる)

『岸辺沿い 蒲公英の絮 風に乗る』
(きしべぞい たんぽぽのわた かぜにのる)

『春や春 遠き昔と 言う勿れ』
(はるやはる とおきむかしと いうなかれ)

『勿忘草 忘れたくない 戀もあり』
(わすれなぐさ わすれたくない こいもあり)

『妹居ずば 姥の桜の 花見かな』
(いもいずば うばのさくらの はなみかな)

『誰とする この世の花見 朋の減り』
(だれとする このよのはなみ とものへり)

『枝垂れ寄る 桜の花に 色香あり』
(しだれよる さくらのはなに いろかあり)

『見返れば 桜並木に 護美の山』
(みかえれば さくらなみきに ごみのやま)

『春服が 着服に見えし 年となり』
(はるふくが ちゃくふくにみえし としとなり)

『春眠 一刻辺り 真っ暗暗』
(しゅんみん いっこくあたり まっくらくら)

『菜の花や 苦りを感じ 唾を呑む』
(なのはなや にがりをかんじ つばをのむ)

『いつ開く 桜三月 夢四月』
(いつひらく さくらさんがつ ゆめしがつ)

『天災は 勿忘草と 世も微塵』
(てんさいは わすれなぐさと よもみじん)

『桃咲くや 太宰の都 花盛り』
(ももさくや だざいのみやこ はなざかり)

『桃咲けど 近くて遠き 太宰なり』
(ももさけど ちかくてとおき だざいなり)

『春泥や 好んで入る 人も居て』
(しゅんでいや このんではいる ひともいて)

『春愁や 秋を外せば 春心』
(しゅんしゅうや あきをはずせば はるごころ)

伊東 美咲

2007年03月26日 | 俳句

『神知るや 木蓮の花 上を向く』
(かみしるや もくれんのはな かみをむく)

『咲き遅る 桜木の下 凍え居り』
(さきおくる さくらぎのもと こごえおり)

『散髪を すれば若さが 今や春』
(さんぱつを すればわかさが いまやはる)

『春の日に 何するでなく 昼下がり』
(はるのひに なにするでなく ひるさがり)

『春の昼 真昼の昼寝 我が得意』
(はるのひる まひるのひるね わがとくい)

『紫雲英畑 そっとそっとそうっと 寝転がり』
(れんげばた そっとそっとそうっと ねころがり)

『若緑 老い道楽に 不相応』
(わかみどり おいどうらくに ふそうおう)

『卒業と 聞かば胃液の 充満す』
(そつぎょうと きかばいえきの じゅうまんす)

『デジカメで 有っても無くても 春は春』
(でじかめで あってもなくても はるははる)

『華となる 花は莟よ 文字通り』
(はなとなる はなはつぼみよ もじどおり)

『三月は 別れの季節 ああ涙』
(さんがつは わかれのきせつ ああなみだ)

『紫雲英畑 土俵を作り 八卦良い』
(れんげばた どひょうをつくり はっけよい)

『春や春 伊東の岬 恋しかり』
(はるやはる いとうのみさき こいしかり)

『パソコンの ウォールペーパー 春岬』
(ぱそこんの うぉーるぺーぱー はるみさき)

『眺めては 顔を赤らめ 春岬』
(ながめては かおをあからめ はるみさき)

『春の宵 濡れた唇 艶めかし』
(はるのよい ぬれたくちびる なまめかし)

『君戀し ひとり更け行く 春の夜や』
(きみこいし ひとりふけゆく はるのよや)

『古都風情 桜柳の 色付きは』
(ことふぜい さくらやなぎの いろづきは)

『雪柳 静かに閑に 君想う』
(ゆきやなぎ しずかにしずかに きみおもう)

『初花や 地は大揺れに 北の国』
(はつはなや ちはおおゆれに きたのくに)

銀盤の女王

2007年03月25日 | 俳句

『百千鳥 名は知らねども 良き音色』
(ももちどり なはしらねども よきねいろ)

『草若葉 さあ寝転んで 空を見て』
(くさわかば さあねころんで そらをみて)

『近寄れば 羽の小さき 虻なりし』
(ちかよれば はねのちいさき あぶなりし)

『豆の花 天まで登って 咲くかしら』
(まめのはな てんまでのぼって さくかしら)

『菜の花や まずは見て良し 食べて良し』
(なのはなや まずはみてよし たべてよし)

『雀の子 惚れてくれるな 血が騒ぐ』
(すずめのこ ほれてくれるな ちがさわぐ)

『桃咲いて 梅は散りごろ 桜まだ』
(ももさいて うめはちりごろ さくらまだ)

『人はみな 梅に柳に しな垂れて』
(ひとはみな うめにやなぎに しなだれて)

『煙草屋の みどりという娘 柳の芽』
(たばこやの みどりというこ やなぎのめ)

『菜の花や 思い出したり 彼岸過ぎ』
(なのはなや おもいだしたり ひがんすぎ)

『六甲より 淡路に流る 春霞』
(ろっこうより あわじにながる はるがすみ)

『堰の音に 負けずに鳴けり 揚雲雀』
(せきのねに まけずになけり あげひばり)

『黄水仙 朝日に光る 露雫』
(きずいせん あさひにひかる つゆしずく)

『雪柳 ああ雪女の 柳腰』
(ゆきやなぎ ああゆきおんなの やなぎごし)

『春の夜は 朧なりしか 寝の浅き』
(はるのよは おぼろなりしか ねのあさき)

『野に遊び 帰りの時を 忘れてる』
(のにあそび かえりのときを わすれてる)

『球春の 到来暗き この巨悪』
(きゅうしゅんの とうらいくらき このきょあく)

『春の雨 雨跡ありて 降るを知る』
(はるのあめ あまあとありて ふるをしる)

『逃げ水や 追いて逃げられ 戀の如』
(にげみずや おいてにげられ こいのごと)

『銀盤に 舞いにし花に 涙して』
(ぎんばんに まいにしはなに なみだして)

春の夢

2007年03月24日 | 俳句

『春うらら 遊子の心 雲ととも』
(はるうらら ゆうしのこころ くもととも)

『この青き 春の色だよ 永遠の色』
(このあおき はるのいろだよ とわのいろ)

『春の空 見上げる空に 雲があり』
(はるのそら みあげるそらに くもがあり)

『空青く この地も青く 春彼岸』
(そらあおく このちもあおく はるひがん)

『流れ行く 雲を映して 水温む』
(ながれゆく くもをうつして みずぬるむ)

『行く末に 首を傾げて 水温む』
(ゆくすえに くびをかしげて みずぬるむ)

『光浴び 春の野花の 微笑めり』
(ひかりあび はるののばなの ほほえめり)

『うとうとと 春の眠りや 夢うつつ』
(うとうとと はるのねむりや ゆめうつつ)

『春の夢 夢かうつつか まぼろしか』
(はるのゆめ ゆめかうつつか まぼろしか)

『海キラリ 淡き匂いの 花菜畑』
(うみきらり あわきにおいの はななばた)

『木の芽風 吹き抜け通る お堀端』
(このめかぜ ふきぬけとおる おほりばた)

『春彼岸 開花の便り 明日にでも』
(はるひがん かいかのたより あすにでも)

『紫の 似合いたる人 春匂う』
(むらさきの にあいたるひと はるにおう)

『春日傘 駅のホームで 人待ちぬ』
(はるひがさ えきのほーむで ひとまちぬ)

『ぶらんこを 漕げば天地の 近くなり』
(ぶらんこを こげばてんちの ちかくなり)

『校庭の 靜かになりし 春休み』
(こうていの しずかになりし はるやすみ)

春の戀

2007年03月23日 | 俳句

『今日こそ 夢で語らん 春の戀』
(きょうこそ ゆめでかたらん はるのこい)

『春の戀 過ぎし日遠く 今は夢』
(はるのこい すぎしひとおく いまはゆめ)

『君去りて 一年過ぎて 春愁い』
(きみさりて ひととせすぎて はるうれい)

『春の国 君と咲かせし 夢の国』
(はるのくに きみとさかせし ゆめのくに)

『紅椿 色濃くなりて 落つばかり』
(べにつばき いろこくなりて おつばかり)

『幽かなり 連鈴の音や 花馬酔木』
(かすかなり れんりんのねや はなあしび)

『春なれど 鯉は動かず 水の底』
(はるなれど こいはうごかず みずのそこ)

『雪柳 心和ます 白き揺れ』
(ゆきやなぎ こころなごます しろきゆれ)

『ふと見れば 玄関脇に 黄水仙』
(ふとみれば げんかんわきに きすいせん)

『黄水仙 見れば二三本 喇叭あり』
(きすいせん みればにさんぼん らっぱあり)

『暁に 鶯見るに からす色』
(あかつきに うぐいすみるに からすいろ)

『春光の 当たる背中の 心地よさ』
(しゅんこうの あたるせなかの ここちよさ)

『妹の放す 風船ふわり 空泳ぐ』
(このはなす ふうせんふわり そらおよぐ)

『田の水の 濁りしところ 蛙の子』
(たのみずの にごりしところ かわずのこ)

『いかなごの 佃煮作り 嫁威張る』
(いかなごの つくだにつくり よめいばる)

『春霜や 足跡辿る 散歩道』
(はるじもや あしあとたどる さんぽみち)

『亀鳴くや 足跡付けて 岩の上』
(かめなくや あしあとつけて いわのうえ)

『春暁や 太陽浴びて 夢無限』
(しゅんぎょうや たいようあびて ゆめむげん)

百千鳥

2007年03月22日 | 俳句

『春暁や 朝日を浴びて 気の満つる』
(しゅんぎょうや あさひをあびて きのみつる)

『見上げれば 梢の先に 鴉の巣』
(みあげれば こずえのさきに からすのす)

『近頃は 飛び散り行かぬ 百千鳥』
(ちかごろは とびちりゆかぬ ももちどり)

『百千鳥 餌はあげずも 元気良し』
(ももちどり えさはあげずも げんきよし)

『誰が為か 青竹で垣 繕いぬ』
(だれがためか あおたけでかき つくろいぬ)

『彼岸なり 鶯餅から 桜餅』
(ひがんなり うぐいすもちから さくらもち)

『畑打つや 何を植えるか 何咲くか』
(はたうつや なにをうえるか なにさくか)

『軒燕 遠慮しいしい 巣を作り』
(のきつばめ えんりょしいしい すをつくり)

『花の種 嫁は密かに 蒔きにけり』
(はなのたね よめはひそかに まきにけり)

『せせらぎに 影を作りて 蝌蚪探す』
(せせらぎに かげをつくりて かとさがす)

『木々の間に 囀り聞くも 聞き分けで』
(きぎのまに さえずりきくも ききわけで)

『ともしびや 君の心に 花一華』
(ともしびや きみのこころに はないっか)

『初花や 小学校の 門に咲く』
(はつはなや しょうがっこうの もんにさく)

『妹の春 泣いてもいいよ 笑っても』
(いものはる ないてもいいよ わらっても)

『蝋梅の 枯れ咲き乱れ 名残惜し』
(ろうばいの かれさきみだれ なごりおし)

『誰が見る 枝垂桜や 塀の外』
(だれがみる しだれざくらや へいのそと)

菜の花

2007年03月21日 | 俳句

『鉢植えの 花菜の細く 二、三本』
(はちうえの はななのほそく に、さんぼん)

『うぐいすや 鳴き声立てず 渡り来る』
(うぐいすや なきごえたてず わたりくる)

『春暁や 日向求めて 散歩道』
(しゅんぎょうや ひなたもとめて さんぽみち)

『悲喜ありぬ 開花予報の 乱れよう』
(ひきありぬ かいかよほうの みだれよう)

『春半ば 妹の真似する 嫁の居て』
(はるなかば いものまねする よめのいて)

『春分や 日長くなれり 今日から』
(しゅんぶんや ひながくなれり きょうから)

『我が悩み 春の憂いと 言うなかれ』
(わがなやみ はるのうれいと いうなかれ)

『菜の花や 風に光に 惑い揺れ』
(なのはなや かぜにひかりに まどいゆれ)

『春愁や 時の流れの 切なさよ』
(しゅんしゅうや ときのながれの せつなさよ)

『春の夢 もういいかい もういいよ』
(はるのゆめ もういいかい もういいよ)

『落椿 踏まず触らず 溜息す』
(おちつばき ふまずさわらず ためいきす)

『春うらら 人様見れば 傾き者』
(はるうらら ひとさまみれば かぶきもの)

『春暁や 朝日に負けし 屋外灯』
(しゅんぎょうや あさひにまけし やがいとう)

『西方も 寒さ戻りて 春彼岸』
(さいほうも さむさもどりて はるひがん)

『花咲けど また一段と 冴え返り』
(はなさけど またいちだんと さえかえり)

『春の宵 雲海下に 陽は暮れず』
(はるのよい うんかいしたに ひはくれず)

椿、椿、椿

2007年03月20日 | 俳句

『朽ちかけし 椿一輪 色のあり』
(くちかけし つばきいちりん いろのあり)

『春暁や 雲の峰破り 朝日燃ゆ』
(しゅんぎょうや くものみねやぶり あさひもゆ)

『忙しや 春の川鵜の 離着水』
(いそがしや はるのかわうの りちゃくすい)

『若杉か 宝満やろか 山笑う』
(わかすぎか ほうまんやろか やまわらう)

『春の虹 低く短く 色薄く』
(はるのにじ ひくくみじかく いろうすく)

『白木蓮は 背より高く 上を見て』
(はくれんは せなよりたかく うえをみて)

『紅梅や 紅色濃ゆく 塀の上』
(こうばいや べにいろこゆく へいのうえ)

『石仏 椿の散華 顔赤く』
(いしぼとけ つばきのさんげ かおあかく)

『姿無く 鳥の声する 花菜畑』
(すがたなく とりのこえする はななばた)

『春の午後 まま事遊び 板に付き』
(はるのごご ままごとあそび いたにつき)

『軒下に 燕飛び交う 牛乳屋』
(のきしたに つばめとびかう ぎゅうにゅうや)

『愛で楽し 椿の蕾の 膨らみは』
(めでたのし つばきのつぼみの ふくらみは)

『春の川 水柔らかく 光満つ』
(はるのかわ みずやわらかく ひかりみつ)

『沈丁花 風の道より 匂い来る』
(じんちょうげ かぜのみちより においくる)

『見とれしや 椿一輪 紅乙女』
(みとれしや つばきいちりん こうおとめ)

春服

2007年03月19日 | 俳句

『粉雪に わた雪舞いて 春異変』
(こなゆきに わたゆきまいて はるいへん)

『春の雪 どうかしてるぜ この地球』
(はるのゆき どうかしてるぜ このちきゅう)

『世も末か 彼岸の入りに 雪の降る』
(よもすえか ひがんのいりに ゆきのふる)

『冴え返り 泡雪溶けて 道濡れり』
(さえかえり あわゆきとけて みちぬれり)

『雪柳 剪定されて 雪の舞う』
(ゆきやなぎ せんていされて ゆきのまう)

『雪柳 風に吹かれて 雪枝垂れ』
(ゆきやなぎ かぜにふかれて ゆきしだれ)

『陽を浴びて 春の川鵜の 大あくび』
(ひをあびて はるのかわうの おおあくび)

『桜木は 蕾もみんな 膨らんで』
(さくらぎは つぼみもみんな ふくらんで)

『シャボン玉 飛んで壊れて 足濡れて』
(しゃぼんだま とんでこわれて あしぬれて)

『春服や 今やまぶしく 小さけり』
(はるふくや いまやまぶしく ちいさけり)

『春愁や 思い出ばかり 夢ばかり』
(しゅんしゅうや おもいでばかり ゆめばかり)

『雀の子 逃げて行ったり 追って来たり』
(すずめのこ にげていったり おってきたり)

『春の日や 砂場に埋めし 宝物』
(はるのひや すなばにうめし たからもの)

『老いて今 椿の蕾 膨らみぬ』
(おいていま つばきのつぼみ ふくらみぬ)

『月無くも 春の装い 昆陽の池』
(つきなくも はるのよそおい こやのいけ)

彼岸入り

2007年03月18日 | 俳句

『春うらら 按摩器で寝る 幸せよ』
(はるうらら あんまきでねる しあわせよ)

『春の夢 妹の写真の 二千枚』
(はるのゆめ いものしゃしんの にせんまい)

『春散歩 嫁に勝つとも 膝に負け』
(はるさんぽ よめにかつとも ひざにまけ)

『春暁や 嫁との散歩 膝の啼く』
(しゅんぎょうや よめとのさんぽ ひざのなく)

『窓越しの 菫の花の まぶしくて』
(まどごしの すみれのはなの まぶしくて)

『ベランダの 三色菫の 愚痴を聞く』
(べらんだの さんしきすみれの ぐちをきく)

『パソコンの 調子も悪く 春の雨』
(ぱそこんの ちょうしもわるく はるのあめ)

『春おぼろ 法事過多ゆえ 小遣い減る』
(はるおぼろ ほうじかたゆえ こづかいへる)

『亡き人の 思い出つのる 彼岸入り』
(なきひとの おもいでつのる ひがんいり)

『此岸より 彼岸の近き 彼岸入り』
(しがんより ひがんのちかき ひがんいり)

『雪柳 雪降らずとも 雪の如』
(ゆきやなぎ ゆきふらずとも ゆきのごと)

『春晴れや 空の近きに うきうきし』
(はるばれや そらのちかきに うきうきし)

『教え子の 卒業祝の 句をひねる』
(おしえごの そつぎょういわいの くをひねる)

『人生の 卒業まで よく遊べ』
(じんせいの そつぎょうまで よくあそべ)

青柳

2007年03月17日 | 俳句

『青柳の 風にそよぎし 佐保の川』
(あおやぎの かぜにそよぎし さほのかわ)

『春の空 眺めて問いし 何故青と』
(はるのそら ながめてといし なぜあおと)

『妹に別れ 果てなく待てど 春は来ぬ』
(こにわかれ はてなくまてど はるはきぬ)

『無知なるを 今だ知らずも 卒業す』
(むちなるを いまだしらずも そつぎょうす)

『夢見月 夕波千鳥 何故に啼く』
(ゆめみづき ゆうなみちどり なぜになく)

『花の名の 判らぬ写真 数多し』
(はなのなの わからぬしゃしん かずおおし)

『妹待つに 止まず降りけり 春の雨』
(いもまつに やまずふりけり はるのあめ)

『いたずらに 時は過ぎ行く 春半ば』
(いたずらに ときはすぎゆく はるなかば)

『術無きは 片戀なれど 春朧』
(すべなきは かたこいなれど はるおぼろ)

『今盛り 梅の花にも 戀の鳥』
(いまさかり うめのはなにも こいのとり)

『戀焦がれ 馬酔木の花は 今盛り』
(こいこがれ あしびのはなは いまさかり)

『春風に うつつぬかして このありよう』
(はるかぜに うつつぬかして このありよう)