『物入りに ふところさびし 秋の風』
(ものいりに ふところさびし あきのかぜ)
『虚空なる 夜寒の日にぞ 孫生まる』
(こくうなる よさむのひにぞ まごうまる)
『道半ば 行くあてもなき 秋の暮』
(みちなかば ゆくあてもなき あきのくれ)
『この秋は 鳥に急かされ 雲流る』
(このあきは とりにせかされ くもながる)
『野ざらしの 苔生す歌碑に 身は沁みて』
(のざらしの こけむすかひに みはしみて)
『役立たぬ 案山子のその後 案ぜられ』
(やくたたぬ かかしのそのご あんぜられ)
『銀杏を 焼きし匂いの ゼミに満つ』
(ぎんなんを やきしにおいの ぜみにみつ)
『アルバムを 閉じて開いて 秋深し』
(あるばむを とじてひらいて あきふかし)
『秋深し 孫訪問や 上の階』
(あきふかし まごほうもんや うえのかい)
『秋深し 一語に託す この愁い』
(あきふかし いちごにたくす このうれい)