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Opened Zipper

ひみつの花園の面白さを知れ

1998-06-11 12:00:00 | 旧 Opened Zipper
愛読している映画雑誌、FLIXの1997年4月号の中のコラムで『ひみつの花園』という映画について書かれていました。
何だか面白そうだったので、一度観てみたいなとずっと思っていました。

先日WOWOWのガイドを観ていると、その『ひみつの花園』がプログラムに書かれていました。
おおラッキー、WOWOWで放映するんだ?
しかしよく見たら、既に放映は終わった後。
ムゴイ。

ところが姉に『ひみつの花園』の話をしたら、録画してあるとのこと。
やっぱりラッキー。
早速、録画された8mmテープを借りてきました。

私が8mmビデオは良いぞと洗脳したので、姉の家では8mmビデオデッキを使っているのです。
でも自分が使っているのはビデオウォークマン。
姉の家のデッキで録画されたものとは、微妙にトラッキングが合わないのが難ですが・・・

さて『ひみつの花園』ですが、なんとも味のあるコメディです。
ヒロインの咲子は子供のころからお金にしか興味が無い性格。
お金を数えているときだけ幸せな顔をするという子供。

その性格が元で、恋愛にも縁がなくなってしまいます。
『コーヒー飲む?』
『おごり?』
『・・・うん』
『おごってくれるんなら、その分お金ちょうだい』
『何それ?』
・・・良い性格です。

そんなにお金が好きなら、銀行に入れば?という母の勧めを受けて、本当に銀行に就職。
面接で趣味を聞かれ、『お金を数えること』と答えて一発採用。
毎日お金を数える幸せな生活に・・・と思ったら、他人のお金を数えるのは虚しいだけだと気づきます。

そんなある日、銀行強盗に押し入られ、咲子は人質として連れ去られてしまいます。
ところが逃走車は崖から転落し、爆発炎上。
車のトランクに押し込まれていた咲子は、5億円の入った鞄と共に川へ放り出されます。
しばらく鞄につかまったまま地下水脈を流されますが、やがて鞄は沈み、咲子は川辺に流れ着いて、無事救出されました。

ところが警察は5億円は車と共に焼失したと思っています。
5億円の行方を知っているのは咲子だけ。
この日から、咲子は5億円を手に入れるために積極的に行動し始めます・・・

87分という短い映画ですが、テンポが良くて面白かったです。
途中の映像を省いて結果の絵だけを表示することが多く、そこがテンポの良さになっているんでしょうね。
(たぶんコストを下げる意味もあるんでしょうが)

気に入ったのは、ミニチュアの映像。
地下水脈を流されていくところや、部屋が陥没するところ、エアーズロック。
実写でやるとお金のかかりそうなものは、皆ミニチュア。
しかもミニチュアなのがバレバレなちゃちな映像なのです。

ところがこれが良い味を出していて、笑えます。
実写に見せようとしているミニチュアでなく、ミニチュアを使っているのを見せて笑いを取る映像なのです。
うまいなあ、分かってるなあ・・・と思いながら、観させてもらいました。
インタビュー記事によれば、予算の都合と脚本を両立させるための苦肉の策だとか。

この映画、オススメです。

ひみつの花園

1998-06-11 12:00:00 | 映画

題名:ひみつの花園 (1997年 日本)
時間:84分
監督:矢口史靖(しのぶ)
脚本:矢口史靖・鈴木卓爾
出演:
 西田尚美 (鈴木咲子)
 利重剛 (江戸川先生)
 加藤貴子(ライバル?:やよい)


■ストーリー

子供の頃からお金にしか興味が無い咲子は、母の勧めで銀行に就職した。
しかし他人のお金を数えるのは虚しいだけ。
ある日、銀行に強盗が押し入り5億円を奪い、咲子を人質として連れ去る。
逃走車は運転ミスで崖から転落して爆発炎上したが、車のトランク内に押し込められていた咲子は5億円の入った鞄と共に川に投げ出され、富士の樹海の地下水脈を流される。
鞄は沈み、やがて川辺に流れ着いた咲子が発見され救助された。
警察は5億円は車と共に炎上したと思っており、大金の入った鞄の行方を知っているのは咲子だけだった。
咲子は富士の樹海に消えた5億円を手に入れるため、生まれて始めて積極的に行動し始める。

■感想

久し振りに笑わせてもらいました。
とってもテンポが良い映画です。
でも『せわしない』という感じは全くなくて、どちらかというとのんびりした雰囲気を持っているのは不思議。
間が良いんでしょうね。

『コーヒー飲む?』
『おごり?』
『・・・うん』
『おごってくれるんなら、その分お金ちょうだい』
『なにそれ?』
ヒロインのお金への執着が端的に表れている、このエピソードが大好きです。

お金にしか興味が無い割には、ギラギラしたところが全く無いヒロイン。
けだる気で、無気力で、前向きな部分がまるで見当たらない女の子。

しかし5億円のために必要な技能を身につけようと、積極的に行動するようになっていきます。
(でも表情は相変わらずのんびりしているんですが)

富士の樹海の中で位置を測定するために、さまざまな計測機具を扱う技術や知識を勉強。
岩山を登るために、フリークライミングの技術を習得。
地下水脈の中に沈んだ鞄を引き上げるため、スクーバ・ダイビングも。
またスクーバのためにまず泳げなければいけないので水泳も始めます。
現地まで車で行くために自動車の免許を取得・・・と目的のためには何でもやります。

その無節操なまでの単刀直入ぶりがとても良いです。
気楽にのんびり観れて、笑える面白い映画だと思います。
これはオススメ。

そうそう、もう一点。
何度か出てくる、あからさまにちゃちなミニチュアの映像が笑えます。
地下水脈、エアーズ・ロック、陥没する部屋・・・最高です。