中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

障害者労働への安全配慮義務

2018年07月13日 | 情報

当裁判をきっかけに、障害者に対する安全配慮義務が争われた先例を、少し調べてみました。
その結果、新聞報道を読む限り、健常者の裁判長が、健常者の目線で下した判決だな、という「感情的」な印象を持ちました。
無理な話ですが、健常者の裁判長には、障がい者の心理、行動を理解していない、理解できないのでしょう。
小職も、健常者の範ちゅうに入るようですので、やはり障がい者の本質的な部分にまで、理解や配慮が及ばないことを承知しています。

障害者労働への安全配慮義務違反、認めず
2018年6月19日 朝日

2014年5月、知的障害と学習障害があった男性(当時18)が自殺したのは、
勤務先の会社が障害への配慮を欠いた労働をさせていたのが原因で安全配慮義務違反・注意義務違反があったとして、
男性の両親が約8千万円の損害賠償を求めた訴訟で、静岡地裁浜松支部(上田賀代裁判長)は18日、
安全配慮義務と注意義務の前提となる予見可能性があったとは認められない」として請求を棄却した。
死亡したのは浜松市西区の鈴木航さんで、出勤途中に貨物列車に飛び込んだ。
父親の英治さん(53)と母親のゆかりさん(51)が、自動車部品製造販売会社の富士機工(湖西市)を相手取り訴えを起こしていた。
裁判で原告は「携わっていたプレス機の作業が航の能力を超える過重なもので、
会社は航に障害があることを認識して採用したにもかかわらず、その障害特性に応じた配慮をしていなかった」と主張した。
判決は「能力に比して過重」であることを認め、「心理的負荷は大きかった」と指摘。
自殺する前日に航さんの作業していたプレス機が止まる出来事があったことも考慮し、
「うつ病などの精神障害を発症していた可能性もないとはいえない。
様々な証拠から業務以外に自殺の原因となる要因は見当たらず、業務に対する心理的負荷が自殺を招いた」と認定した。
ただ「プレス機の作業開始から2週間と短く、(航さんが)停止した出来事に責任を感じて思い悩む様子もうかがえず、
様子に特段かわったところはなかった
」として「業務が自殺を招き、うつ病などの精神疾患や精神障害を発症させる
心理的負荷になることを被告が予見すべきであったとは言いがたい」として原告の主張を退けた
判決後会見した英治さんは「『バカはバカなりに努力しろ』といった発言が上司からあったことや
産業医や専門家に相談しなかったことなどが裁判で明確になった。
障害者に何の配慮をすることもなく、自殺と業務の因果関係が認められても
最終的に会社に非がないというのはどういうことか」と述べた。
ゆかりさんは「裁判を通し、航が一人でつらさを抱えていたことが分かった。
裁判で航が大変な仕事をしていたということを認めてくれたのはよかった」と話した。
控訴するかどうかは代理人弁護士らとよく話し合って決めるという。
富士機工は「これまでの当社の主張が認められたものと考えています」とのコメントを出した。

(参考)障害者雇用対策基本方針(平成15.3.28告示136号)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha02/gaiyo/dl/02b.pdf

 

 

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