中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

最近の小職セミナー資料より⑨

2018年07月31日 | 情報

3番目は、社会復帰への準備です。
以下は、疾病のために離職している方、または就労できていない方を対象にして紹介します。

目的は、社会の一員として、独り立ちすることですが、その目的を達成するためには、急いではいけません。
うつ病の場合は、時として気分がとても良く、2段飛び、3段飛びで階段を飛び上がれるのではないかと思えることもあります。
ゆっくりと、階段を一段ずつ、上って行くように、前進してください。
階段を2段飛び、3段飛びに駆け上がるのは、決してやってはいけません。

準備にあたっては、まず、主治医に相談しましょう。主治医の指導の下に実施しましょう。
そして悪い結果でも、偽りなく主治医の報告し、善後策も主治医の指示に従ってください。
自分で判断することは、危険です。

さて、復帰のための準備ですが、リワークをすることになります。
これは和製英語ですが、ほんとに通勤できるのか、労働することができるのか、確かめなければなりません。
療養期間が長期に渡れば、肉体的にも、精神的にも衰えていますし、耐久力が減退しているものです。

最近では、リワークするための施設が充実しています。
医療機関に付属している施設や、公共、民間の施設も多くあります。
探し方は、主治医の指示に従う、主治医に相談する、乃至はご自身で調べる等、どのような方法でも結構です。
例えば、ハローワークと公益財団法人東京しごと財団が連携して実施する職業訓練プログラムがあります。
http://www.shigotozaidan.or.jp/shkn/

受講料は無料ですので、問合せしてみてください。

現下の就労環境は、かつてない、極めて明るい状況のようです。その理由ですが、
・4月から障害者雇用促進法が改正され、法定雇用率が2.0%から2.2%になった、
・障害者雇用納付金制度があるが、行政指導により当制度が有名無実化している、
・業種別の特例制度が、法令上廃止となっている
・法定雇用率の算定基礎に入っていなかった「精神障害者」が新たに加えられた、
に加えて、景気回復と少子化に伴う就労希望者の減少
等があげられます。

最後にひとこと、最初から高い収入を求めないでください。
まずは、働くことに慣れることからはじめてください。

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最近の小職セミナー資料より⑧

2018年07月31日 | 情報

前回より、だいぶ時間が経過しました。2番目の課題、生活です。

就労中にうつ病等の精神疾患にり患した場合は、業務上であれば労災補償が受けられますから、当面の問題はありません。
業務上ではなくても、労災保険や健康保険、さらには、厚生年金保険から給付が受けられます。

問題は、職業に就いていない場合です。国民年金に加入していれば、障害年金の受給が可能です。
国民年金に加入していなくても、発達障害や1型糖尿病のように20歳前からの障害であれば、
「20歳前傷病による、障害基礎年金」の受給が可能です。
もし、受給がまだであれば、5年時効制度がありますので、急いで市区町村の窓口に相談してください。

さらに、障がいのある方を対象にした優遇制度があります。
主治医等に相談して、医療機関の証明書等を取得して、「精神障害者保健福祉手帳」を申請してください。
1~3級があり、様々な優遇制度があります。
内容は行政により差がありますので、やはり市区町村の窓口にご相談ください。
その他にも、いろいろな支援制度がありますので、それぞれの窓口を探して、相談してください。
・自立支援医療(精神通院医療費の公費負担)
・高額療養費制度(健康保険)
・都道府県の心身障害者医療費助成制度 (東京都福祉保健局)
・医療費控除
・特別障害者手当;月額26,440円 (市区町村の福祉課等で申請)

また、最後のセーフティーネットとして、生活保護制度があります。
福祉事務所(市区町村の福祉課など)にお尋ねください。

 人生100年時代と云われています。明るい将来に希望を持って、前向きに前進してください。
小職も複数の公的機関、民間団体を支援させていただいていますが、みなさん希望を持って取り組んでいます。

(参考)憲法第25条
〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない

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