中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

最近の小職セミナー資料より③

2018年07月02日 | 情報

実態を広い視野で見ると

心を穏やかにして、少し周囲を見渡してください。世の中で働いている人は、なにも「労働者」だけではありません。
八百屋さん、魚屋さん、ラーメン屋さん、クリーニング屋さん等々、
もちろん、チェーン系は労働者に該当する場合もありますが、殆どが所謂、個人事業主です。
その他にも、農業、林業、漁業の一次産業の従事者も多くの方は個人事業主ですよね。

こうした個人事業主、自営業のみなさんは、そもそも「労働時間」という観念がありません。
多くは、寝ている時間以外は労働時間です。
例えば、ラーメン屋さん、営業時間以外もスープづくりに多くの時間を割いています。
例えば、寿司屋さん、営業時間以外も材料の仕入れ、その仕込み時間の合計は営業時間より多いくらいです。
例えば農家、田植えや稲刈りの時間などは、寝る時間までも割いて働きづめです。
例えば、安倍首相、安倍さんは労働者ではありませんが、新聞の2~4面に掲載されている1日の動向をご覧ください。
官邸に入るのは朝9時前後、帰宅は毎晩9時から10時、昼食、夕食も労基法の規程から考えると休憩時間に該当していません。
寝ている時間以外はほとんどが執務です。時には土曜、日曜も公務ですね。
働き方改革を進める首相自らが「働き方改革」していただかないといけませんね。

ところが、日常的に長時間労働しているこうした自営業の皆さんから、うつ病を発症したという情報は、寡聞にして聞きませんね。
労働者と何が違うのでしょうか?
長時間労働が労働者の心身の健康に大きな影響があることは、エビデンス(科学的根拠)があります。
上述した自営のみなさんも、心身に相当な疲労が蓄積されているのも事実でしょう。

以下、小職の推論、暴論です。
長時間労働は、うつ病り患の主要因ですが、上述したように長時間労働だけでは、うつ病にならない、ことも多いようです。
因みに、精神疾患にり患する労働者が多い職種は、民間ではIT業界、それに公務員、教師、漁業等だそうです。
漁業関係は、IT業界より精神疾患をり患する人が多いとされています。
これは、多分遠洋漁業が関係しているのでないかと推測しています。
長期間にわたって狭い船の中で、毎日同じ人間と仕事をせざるを得ないのですから、容易に想像できます。
それでは、自営業者は、精神疾患をり患する「労働者」と、何が違うのか。
自営業者(個人事業主)は、殆どの場面において自分に裁量権があるからではないでしょうか。
即ちすべてが自己責任で意思決定しているのです。一方で、多くの労働者は働かされています。 
即ち、「働く人」と「働かされる人」の違いではないでしょうか? 
このことは、小職の職歴を振り返ってみても納得できる推論です。
そして、キーワードは「やらされ感」と考えます。
ですから、これを乗り越えることができれば、労働者も精神疾患をり患する危機を克服できるのではないかと考えています。

 

コメント
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