◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「注意喚起を促す」って?

2018-11-04 09:55:38 | 気になる言葉、具体例
                                  注意喚起しました

 もうだいぶ前ですが、「朝ズバッ!」で聞いた「注意喚起を促すなど」というナレーション、どう思いますか? 石川テレビのニュースでも聞いたことがありますし、「とくダネ!」でも「注意喚起を促すのが仕事」というナレーションを聞きました。「Jチャンネル」でもアナウンサーが「注意喚起を呼びかけることにしました」と言いましたし、「注意喚起を呼びかける」と言った気象予報士もいます。
 「たかじんのそこまで言って委員会」で「注意喚起を促す」というテロップが出たとき、ナレーターはふと疑問を感じたのか、「注意喚起を出した」と言いました。ほかにも、「再三アマンダさん宅に注意喚起を促してきた」(2017/11/13 22:00 Techinsight)とか「飲酒がこうした事態を引き起こしがちであることへの注意喚起を促した」(2018/6/4 15:07 Techinsight)とか、けっこう見掛けるのですよ。
 AがBに「Cに注意喚起して!」と促す、例えば、役所がメディアに「国民に注意喚起して!」と促す、そういうことならいいのですが、よく見聞きする「注意喚起を促す」は違います。単純に、Cに「注意して!」と言う、という意味で言っているのです。例えば、担当省庁の役人が、カメラの前で、直接、国民に「注意して!」と言う、ということです。そういうのって、特に近年はけっこうあるでしょう?
 「喚起」とは、呼び起こすこと。地震、台風、伝染病、事故、事件、さまざまな災難に「注意して!」と言う、それは「注意を喚起する」もしくは「注意喚起をする」です。「注意を喚起する」を忘れてしまった? AからCへ、あるいはBからCへなら、「注意喚起を促す」「注意喚起を呼びかける」ではありません。「促す」が余計です。「注意を促す」「注意を呼びかける」「注意を喚起する」は同様の意味です。
 「注意喚起をするなど」「注意を促すなど」、「注意を喚起するのが仕事」「注意を促すのが仕事」、「注意喚起をすることにしました」「注意を呼びかけることにしました」、「再三アマンダさん宅に注意喚起をしてきた」「再三アマンダさん宅に注意を促してきた」、「飲酒がこうした事態を引き起こしがちであると注意を喚起した」「飲酒がこうした事態を引き起こしがちであると注意を促した」でしょ。
 「注意勧告を促す掲示が」は「とくダネ!」で聞いたナレーションですが、ヒアリに注意するよう促す掲示があるという話です。「勧告」は、このようにしてはどうかと言って勧めること。でも、ヒアリですからね、「注意勧告」なんて言っている場合ではないと思いますよ、むしろ「警告」でしょ。「ヒアリに注意!」なら「注意を喚起する掲示が」「注意を促す掲示が」ではないですかね。
 それから、「ヒュー・ジャックマンをドン引きさせ、『そんなことをしてはいけない』と注意を促されていました」(アサ芸プラス)のように、「注意する」と「注意を促す」は違うのに同じだと勘違いしている人もいます。ある人物が“してはいけないこと”をした、それを見たヒュー・ジャックマンがその場でその人物に注意した、その人物が「注意されていました」というわけで、「注意を促されて」は誤りです。
 おっ! これを書いているときに「吉澤ひとみの一件で“クルマ好き”のキムタクに注意喚起が」という見出しを見付け、記事(2018/9/17 12:06 日刊ゲンダイDIGITAL)を読んでみました。「木村といえば、プライベートではかつて2度のスピード違反、昨年は追突事故を起こすなど車絡みの不祥事が多い。(中略)運転には事務所サイドからも注意喚起がなされているという」ということで、こちらは問題なし(⌒・⌒)。
 “事務所サイド”から“木村”に対して注意を喚起したという話で、まさに「注意喚起がなされている」ですが、免停になる前は注意喚起をしなかったのかなぁ <( ̄д ̄)>。おっと、見逃しそうになりましたが、見出しの「キムタクに注意喚起が」の「が」は要りませんね、「キムタクに注意喚起」でいいですよ( ̄― ̄)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする