◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「台風にも負けずと」って?

2010-11-03 20:25:32 | 気になる言葉、具体例
                            ハムやん国のスパイかいっ
 これまで何度か変な「~ずに」について書きましたが、こんな面白い例もあるのですよ、「先日の台風にも負けずと3万本が紅葉し」なんてね、30代かな、やや若い、アナウンサーらしき人が言っていました。┐( ̄д ̄)гアァア~ 「明らかになる」なのに「「明らかとなる」と言う人が大勢いるように、大げさに聞こえる「と」はいろいろなところで大活躍(?)しています。
 「負けじ」は、負けまい、負けてはいられない、つまり、負けないぞという意志を表しています。「負けじ魂」という言葉もありますね。「ライバルに負けじと全力を尽くす」といった言い方で、これでいくと「台風にも負けじと」になるのですが、なぜ「台風にも負けずと」なのか?
 もちろん、「負けじ」になじみのない世代が、何となくこんな言い方があったような気がするなぁ~というわけで言ってみた、けど、ちょっと違った、ということかとも思いますが、あるいは、変な「~ずに」の「に」が「と」になっただけ、ということなのではないか、いや、むしろこっちでしょぉ~(ーー;)?
 「先日の台風にも負けずに3万本が紅葉し」は正しい表現ですが、変な「~ずに」をフジテレビが広めた結果、「~ずに△△する」という表現を正しく理解して正しく言うことができない人ばかりになり、「負けずに」という形そのものが「ずに」であることの意味を失い、「に」でなければ成立しないのに、大げさに言うために「と」に替える、こういう流れだと思います。
 さらに複雑な例として「ノウハウを持たずにして積んでしまう」なんていうのがあります。これを聞いたとき、誤りを放置するとさらにひどい誤りを生むのだなぁと悲しくなりました。正しくは「ノウハウを持たずして積んでしまう」であり、「に」が余計です。何でもかんでも一様に「ずに」と言ってしまう人たち、なぜ気づかないの?
 ところで、このごろその姿を見ない日がない池上さん、こう毎日そのしゃべりを聞かされるとやっぱり気になります。「同じ本が並べてるでしょ」「どうやって儲かるんでしょうか」「日本には世界中から大勢のスパイのかたがいらっしゃってる」「左遷させられることもある(正しくは左遷されることもある)」「外に出てはいけないということにさせられてしまう(されてしまう)」などなど。
 どれもよくある誤りですが、いかに誤りが世の中に充満しているかということを示していると思うのです。つまり、いつの間にか脳に忍び込んでさらっと口から出てしまうわけです。「させられる」はもともとそう言っていた可能性もありますが、それ以外は、池上さんぐらいの年齢なら、後でVTRを見れば変だと気づくでしょう。でも、「台風にも負けずと」「ノウハウを持たずにして」の人は気づきませんよ、そもそも誤りだということを知らないのですから。
コメント
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