熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

政府の「放送・通信改革」コテンパン・・・大前研一

2006年07月28日 | 政治・経済・社会
   26日からの「e-Japanサミット2006」の講演会で、26日は松田岩夫IT担当大臣が「IT新改革戦略の実現に向けて」について熱弁を振るい、昨日は松原聡東洋大教授が「放送・通信改革の行方」について意欲的に政府のIT戦略を語りかけたが、そのすぐ後で、返す刀でメッタギリ、大前研一が、デジタル・コンチネンタルの大きな波動の激動を全く知らない時代錯誤も甚だしいと激しく切って捨てた。

   その前の講演で、座長松原教授が、「通信・放送に関する在り方に関する懇談会」の最終報告書が竹中大臣等の大変な苦心によって、閣議の了承を得て骨太の方針に付け加えられたと得々と語った後だから、大前氏の話に場内は苦笑しきり。
   毒気を抜かれた聴衆は、水を打ったように静まりかえって聞き耳を立てる、終わったと思うと、次の講演があるのに多くの人は退去して会場を出てしまった。
   私も一緒に出て、ホールでの日立グループのuVALUEコンベンション2006の展示場に行ったので後は知らないが、とにかく、大前氏が、現実のITの世界を極めてビビッドに迫力満点に語っているのだから、真実が何処にあるのか明々白々である。

   今、人々は、iPodに目を奪われているが、パソコンでiTuneを開き、「ラジオ」をクリックすれば世界のラジオが全部無料で自由に聞け、エリクソンなど2万4千局ブックマークしており、更に「テレビ」の機能も加わったと言う。
   また、Tivoと言うハードディスクを買って契約すれば、どんなTVの番組もダウンロードできて、好きな時にタイムシフトして自由に楽しめる、その上、CMカットの機能まで付いている。
   全米4大TVもインターネット配信を開始し、CM入りだと無料だがCMなしだと1.99ドル、コマーシャルの扱いが大きく変ってきている。

   更に驚異的なのは、動画を共有・閲覧できるウエブサイトYou Tubeで、USENのGYAOはコマーシャルが五月蝿いが、これは、5分間無料でコマーシャルなしで、あらゆる動画を配信していて、一日に一億の閲覧があると言う。
   前日台湾で商工会議所会員限定で行った大前研一の講演「IT INNOVATION」が、翌日には、5分間刻みに分断されてYou Tubeで配信されてしまって、日本で10万円で配信しようと思っていたのがパーになってしまったと嘆いていた。
   アメリカは法の規制を受けないので、無修正の日本製ポルノが逆上陸配信されるのは時間の問題であるなど、日本語のソフトが増えればGYAOの存続自体が危ういと言うのである。

   台湾で李登輝氏が、アンテナを張ってNHKのBSTVを見ていて素晴らしいのでNHKに視聴料を払いたいと言ったら外国には放映していない建前なので払ってもらっては困ると言われたと言う挿話を交えて、
誰か、台湾でも何処でも良いが、一人だけ馬鹿がいて、この人間だけが支払いを済ませてYou Tubeに流して配信すれば、世界の有料放送は総て無料になると言うのである。
   NHKの財政困窮で課金制度が問題になっているが、こうなれば、どうして課金できるのか、将来、視聴料など取れるはずがなくなるのである。
   別な問題は、動画を配信する場合のCMカットにどう対応するのかで、CMガードとCMカットの鬩ぎ合い・イタチゴッコが見ものとなるのかも知れない。
   
   今や光ケーブルによるブロードバンド時代でキャパシティが異常に増大し、インターネットによる動画配信が無尽蔵に拡大する時代に入っているのに、日本政府は、アナログ放送が地上デジタルに変るだけだという認識と発想しかない。
   オンデマンドで、タイムシフト、ロケーションシフトで、好きな時に好きな所で見たい聞きたいと思う現代人が、誰が、TVの前に座ってテレビを見るのか、パソコンがあり携帯端末だあれば十分である。
   テレビ局の存在と放送システムの存続自体が怪しいのに、第2東京タワーの建設など愚の骨頂で、建設と同時に無用の長物・ピラミッドになることは火を見るより明らかだと言う。
   
   もう一つ面白いのは、グーグルが、アメリカで「グーグル・チェックアウト」を立ち上げて、ネット・ショッピングを始めた。
   楽天の様にウエブに商店を出して取引するのではなくて、グーグルの検索で引き出した商品を、グーグルにクレジットカード番号を届けて会員登録しておけば、直接インターネットで購入できるサービスである。
   集金手数料は無料で、グーグルの検索サービスと直結であるから、商品の情報量は無尽蔵であり利便性とビジネスチャンスは無限に広がっていく。
   決済手数料は、一件当たり0.2ドルで、決済額の2%を払えばよく、「アドウズ」に入っておれば手数料の一部が減免される特典がある。
   日本上陸も近く、店舗を貸して手数料を取っている商売だけの楽天などヒトタマリモないと言う。

   これだけ、日進月歩で大きく変革するデジタル・コンチネント、正に先が見えない。
   竹中大臣の洞察力の無さを指摘する大前研一だが、どちらが正しいのか、或いは、両方間違っているのがデジタル・コンチネントの世界かも知れない。

   
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ヒロシマ2005・・・ニコ... | トップ | ソニーの戦略ミス(?)・・... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治・経済・社会」カテゴリの最新記事