熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

デイズニー:ボブ・アイガーがCEOに復帰

2022年11月22日 | 経営・ビジネス
   WPが、Disney die-hards cheered Iger’s return. Now they’re demanding changes.と報じた。
   ディズニーの頑固者は、アイガーの復帰を歓迎。彼らは変化を求めている。と言うのである。
   先々週、ロバート・アイガー著「ディズニーCEOが実践する10の原則」を読んでブックレビューしたところなので、この記事に非常に興味を持った。

   ワシントン・ポストの報道の概要は、
   日曜日の夜遅くにディズニーの CEO 交代のニュースが流れたとき、ブランドの熱烈なファンは、「アナと雪の女王」や「ブラックパンサー」などの映画のクリップをソーシャル メディアに投稿して喜んだ。ある人気のあるミームは、ボブ・アイガーのカムバックを「ライオン・キング」に準えて、「王様が帰ってきた」と言った。
   そして、彼らは要求のリストを提示し、新しく復職した幹部に、企業収益ばかりに固執するので「ペイチェック」と揶揄されていた追放された CEO のボブ・チャペック の所為だとする過ちのいくつかを改めるよう懇願した。同社の発表によると、アイガーは2年間の任期に同意し、後継者を育成する任務を負っている。
   チャペックの辞任と アイガーのCEO再任は、同社がストリーミング事業の巨額の損失を報告してからほぼ 2 週間後に、ニュース リリースで発表された。ロイター通信によると、同社の株価は急落し、雇用の凍結と一時解雇の計画が続いた。
   ディズニーのテーマパークへの訪問者は、価格の上昇、以前は無料だった特典の廃止、複雑な新しいラインスキップサービスを嘆いて、ずっと以前から失望を共有していて、チャペックの解任を求める Change.org の嘆願書に、予算削減、人員削減、公園での経験の減少を理由に、117,000 人以上の支持者が集まった。
   2005 年から 2020 年まで CEO を務め、昨年末まで会長を務めた アイガーが戻ってきたというニュースにより、多くのファンはプリンス チャーミングが助けに来るのを見る思いをした。多くの人気のない決定が下されたときに彼が権力の座にあったという事実は、彼らを動揺させなかったようである。

   さて、デイズニーついては、アイガーの前述の本を読んだくらいで、一般的な知識しかないので、何とも言えないが、気になったのは、前述の記事の最後の部分、「多くの人気のない決定が下されたときに彼が権力の座にあったという事実」で、アイガーは、2019年末より2021年12月まで、流行した新型コロナウイルスによる混乱を理由に経営執行役会長としてウォルト・ディズニー・カンパニーの業務を指揮していたので、チャペック経営時代の業績悪化について、責任はないと言えないと言うことである。

   日経の報道では、
   経営悪化の深刻度を深めているのは、アイガーがCEO末期に最も力を入れて始めたストリーミング事業、動画配信サービスの「デイズニー+」である。会員を1億6420万まで増やした一方で、規模の拡大を重視して作品製作や宣伝に投資を重ねた結果、配信事業で過去最大の営業赤字を計上した。24年の黒字化を目指しているが、インフレ下での値上げが客の離反を招き、期待を掛ける広告付きプランで競業他者に先を越されるなど、動画配信事業などの将来像を示しきれず、株価は年初来4割落ち込んでいると言う。
   
   尤も、チャペックの経営姿勢も軋轢を生んでおり、コスト削減のため、マーケティング費用や出張費などの抑制と合わせて人員削減に乗り出す指示などで社内に不安を煽っている。
   チャペックがCEOになってからは、コロナの猛威で、テーマパークの閉鎖などで、メディアエンターテインメント業界に壊滅的な打撃を与えて、ディズニーの業績悪化は必然であったので、アイガーが毛嫌いしているMBAのチャペックが、理論通りに、コスト削減で経営指標の辻褄を合わせようとするのは、当然であって、批判するのはコクであろう。

   アイガーの中興の祖としての経営手腕には、注目すべきは勿論である。
   やはり、CEOに就任するに当たって打ち立てた3つの経営戦略、第1に良質なオリジナルコンテンツを増やすこと、第2にテクノロジーへの投資と発展、第3にグローバルな成長発展、を立て果敢に経営を推進して、ICT革命下の最先端を行く科学技術、デジタルテクノロジーを縦横に駆使したグローバル企業に成長させた業績は見上げたものである。
   しかし、業績の根冠となったのは、スティーブ・ジョブズを説得して成功したピクサー・アニメーション・スタジオを皮切りに、マーベル・コミック、ルーカス・フィルム、21世紀フォックスを買収して、大をなしたことで、デジタル化による科学技術の発展とグローバリゼーションの進展という時代の潮流に上手く乗ったことにもよる。

   ところが、今や、巨大なメディアエンターテインメント企業に生長拡大したディズニーは、最先端の技術戦略で成功を企図した動画配信サービス事業で暗礁に乗り上げている。
   しかし、この事業の収益化と同時に、最も喫緊の緊急問題、すなわち、アイガーの当面の重大業務は、経営の悪化したディズニーの経営の再建であって、攻撃型で事業拡大を策する彼の経営手法とは相容れない守りの経営なので、その手腕は未知数である。
   攻撃は最大の防御なりと言うが、北米市場では頭打ちムードの動画配信事業での拡大強化は、難しいとなれば、まだ成長軌道にあるクラウドとAIを活用して、新しい事業戦略を打ち立てられるのであろうか、それに対する戦略戦術如何に命運が掛かっているような気がしている。。
   
   さて、ブルームバーグが、Amazonが「ハリウッド化」と、次のように報じた。
   10億ドル(約1400億円)以上を投じて劇場公開用の映画を製作する計画だと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。インターネット企業としては過去最大の劇場向け映画投資となる。この戦略はまだ最終的な調整の段階にあるとして、匿名を条件に話した関係者らによれば、アマゾンは最終的に年間12ー15本を製作し、劇場で公開することを目指している。そうなればパラマウント・ピクチャーズといった大手スタジオと肩を並べることになる。
   先行きは分からないが、将来的には、デイズニーの脅威となって競合市場を蚕食することは間違いないであろう。Amazonはデジタル事業では桁外れのメガ企業であり、デイズニーが太刀打ちできそうにないことは明らかであろう。
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