熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日経:「フードデザート(食の砂漠)」の拡大

2023年12月13日 | 政治・経済・社会
   日経が、12日の朝刊で”「食の砂漠」都心にも買い物難民”を報じた。
   肉や魚、野菜など生鮮食品が入手困難になる「フードデザート(食の砂漠)」が地方だけでなく、東京都心にも広がっている。地方で主にアクセスが問題となる中、都心では大型開発で移り住む富裕層が増加。手ごろな価格で買えるスーパーや個人商店が撤退し、・・・

   今、日経の「私の履歴書」で、倍賞千恵子が執筆しているが、要するに、「下町の太陽」や「男はつらいよ」と言ったような昔懐かしい庶民が肩を寄せ合って生活しながら育くんできた「寅さん」の世界が、消えつつあると言うことであろうか。
   格差の酷さを如実に感じたのは、10年ほど前に鎌倉に移ったときに、市役所前の高級スーパーの値段の高さで、同じトカイナカでありながら、千葉の地元スーパーで、1匹50円か100円以下の生きの良いサンマが、ここでは、2倍以上の価格で売られており、ばら苗に至っては、手が届かない程の高さであったことである。今住んでいる西鎌倉では幸いCO-OPがあって助かっているのだが、安くてふんだんにものがあった千葉の田舎と比べれば、生活環境の不便さは、比べようがない。

   欧米でも同じような問題を抱えているようなので、時代の潮流に逆らえないというか、成り行き任せなのであろう。

   暴論かも知れないが、良くなれば良いと言う功利に徹した野放しの都市開発というか都市計画に問題があって、何が社会にとって、また、コミュニティにとって善であり向上なのか、基準を設定して、開発に箍を嵌めれば良いと思っている。
   フードデザート対策のみならず生活必需品需要をも満たすために、イギリスのパブ建設の場合と同様に、(この場合は既存のバブ維持のためだが、)どんなに素晴しい高級建築の開発であっても、必ず便利な場所にパブを備えて、名目程度の安い家賃で貸し与えるという例を踏襲して、一定の範囲内の新しい開発物件に、一定基準の庶民的なスーパーなどのショッピング施設を、必ず併設することを義務づけるのである。
   更に、その他に庶民生活を維持するために必須な施設を特定して、必ず組み込むと言う方針を確立できれば更に良いであろう。

   世界全体に、経済格差が拡大して、益々、貧富の差による住空間の乖離分離が進んできているが、日本の場合は、まだ、その程度は、欧米並みには酷くはなっていないような気がする。
   しかし、日本の貧困率は、欧米先進国でも群を抜いて高くて、社会騒動を起さないのが不思議なくらいである。

   先進国のみならず新興国でも、古くからゲーテッドコミュニティ(gated community)、すなわち、周囲を塀で囲んで門を設けて、住民以外の敷地内への出入りを規制して通過流入を防ぎ、防犯対策を図る街造りが一般化していて、富裕層が自己防衛を図っているのだが、このまま行けば、日本も、ゲーテッドコミュニティが定着してしまう。
   もう、何十年も前になるが、マニラで、厳重に警護隔離された高級住宅街の知人を訪問したことがあるが、日本も、転ばぬ先の杖である。

   フードデザート論から、話がそれてしまったが、
   貧富、老若男女関係なく、住居や生活空間を分離せずに一体化して文明生活を営める都市開発、コミュニティ開発を、今から十分に考えて開発すべきだと思う。
   今後、間違いなく、経済格差そして生活格差の拡大が酷くなって行くのは歴史の必然であろうから、弱者が安心して生活できるような住空間を確保すべく、政治経済社会政策を策定して推進すべきであろう。
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