熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

共同:仏フォション破綻、を報じる

2020年06月26日 | 経営・ビジネス
   パリ共同が、「仏フォション破綻、コロナで 国内店舗に影響なし」と報じた。
   そのまま、引用すると、
   130年以上の歴史を持つフランスの高級食料品店フォションは25日までに、パリ中心部にある本社と店舗を運営するグループ企業に関し、商業裁判所へ更生手続きを申し立てたと発表した。事実上の破綻。新型コロナウイルスの流行などで悪化した経営の再建を図る。
 フォションによると、申し立ては22日付。日本を含め海外に73ある店舗や、パリで2018年にオープンしたホテルなどの営業に影響はないとしている。130年以上の歴史を持つフランスの高級食料品店フォションは25日までに、パリ中心部にある本社と店舗を運営するグループ企業に関し、商業裁判所へ更生手続きを申し立てたと発表した。事実上の破綻。新型コロナウイルスの流行などで悪化した経営の再建を図る。
 フォションによると、申し立ては22日付。日本を含め海外に73ある店舗や、パリで2018年にオープンしたホテルなどの営業に影響はないとしている。

   フォションのBRAND HISTORYによると、
   1886年創業以来、パリ マドレーヌ広場で美味追求 の姿勢を守る 世界の美食トップブランド「FAUCHON」。 パリ、フランスはもとより、世界 のグルメの賞賛を浴びるブランドです。 FAUCHON の真髄は、一世紀を超える伝統に裏打ちされた技術 から生まれる創造性と 時代の最先端をめざす、コンテンポラリーな独創性。 世界のグルメが認める美食のステイタスブランドとして 常に食の世界をリードしています。 世界中から選んだ旬の素材を加工生産。こうして生まれるジャムや紅茶、食材の数々は日本でもすっかりお馴染みになりました。 日本登場以来、ラインナップはさらに意匠を凝らしニュースタイルの食空間を演出するパッケージへ。都会的でシャープなラインナップの中に伝統が息づく至福の美味がぎゅっと詰まっています。 洗練のパリのエスプリをお届けします。

   私は、ロンドンに住んでいたので、フォートナム&メイソンのファンだったが、パリに行くと、フォションに立ち寄って、アップルティーなど買って帰ることがあった。
   フォートナム&メイソンとは、一寸違ったフランスの雰囲気が、何となく魅力的であったのである。
   ロンドンの目抜き通りのピカデリーやオックスフォードStなどにはない、パリのシャンゼリゼ通りの広い歩道に張り出したレストランなどの粋なテーブル席で味わうティーの味という感じの差であろうか。

   ロンドンに居た時には、事務所がすぐ直近のサヴィル・ロウ横の通りにあったので、フォートナム&メイソンには良く出かけて、紅茶やコーヒー、ワイン、食器などを買っていた。
   喫茶室のアフタヌーン・ティも楽しみであった。
   紅茶は、当時、木箱入りのダージリンのファースト・フラッシュを愛飲していて、発売されるとすぐに何箱も買っていて、帰国してからも直接取り寄せていたが、三越からの購入になり、異常に高くなったので止めたが、コーヒーも、フォートナム&メイソンのブルーマウンテンは、他のコーヒーより4倍くらい高かったが、格別であった。

   当時、激務で、今日はパリ、明日はアムステルダムと、殆ど、ロンドンにいなかったので、寸暇を惜しんで、キューガーデンの自宅で、広いバックヤードの庭園を眺めて四季の移ろいをたのしみながら、近くのメイド・オブ・オナーから特別なスコーンを買ってきて、ブランディを加えたコーヒーや紅茶を味わいながら、本を読むのが楽しみであった。
   この頃は、幸か不幸か、歳の所為もあってか、味や香りに無頓着になって、カップやグラスなどは当時そのままだが、コーヒーや紅茶の質に拘らなくなってしまっている。

   フォートナム&メイソンは、1707年 の創業、
   1854年、クリミア戦争でのイギリス戦士の大惨劇が本国を震撼させ、ビクトリア女王自身が直々に「スクタリのナイティンゲールに大量の濃縮ビーフティー(病人用牛肉スープ)を直ちに発送せよ」とフォートナム・アンド・メイソンに命令を下し、 クリミアに向かうすべての船舶にはフォートナム・アンド・メイソンのラベル付きの貨物が積まれた。と言う。
   いずれにしろ、良くも悪くも、7つの海を支配し日の没する所のなかった大英帝国の歴史とともに歩んできた英国屈指の高級食料品会社であり、英国文化が凝縮していると言えようか。
   ピカデリー通りの本店に入ると、大変な賑わいにびっくりするが、上階に上がると、雅なイギリスの食文化の雰囲気に触れて、また、違った感慨に浸れる。
   同じ通りにある1797年創業のイギリス最古の書店ジョン・ハッチャードと共に、私の一寸した憩いの空間であった。

   さて、フォションは、事実上の破綻だが、悪化した経営の再建を図ると言うことで、事業は継続するようで、まずまずだが、
   今回の新型コロナウイルス騒ぎで、多くのホテルやレストラン、それに、伝統と歴史を凝縮したフォションのような文化財とも言うべき老舗が、苦境に陥りないし倒産の危機に直面している。
   ペストの大パンデミックにも拘わらず、ヨーロッパは、ルネサンスの花を咲かせたが、早く、このコロナ騒ぎが治まって、営々と築き上げてきた文化遺産や伝統文化への打撃が回避されることを、切に祈りたい。
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