熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

完全に文明から孤立したブラジルのインディオ

2011年02月13日 | BRIC’sの大国:ブラジル
   先日、パソコンを叩いていたら、この口絵写真が載っていて、「ペルーで進む違法伐採によって居住区を失ったペルーの先住民がブラジルの先住民に接触し、先住民の生存が危ぶまれている」と言う記事が目についた。
   同じことは、ブラジル政府の国立先住民保護財団(FUNAI)が、2年前に、居住地上空から撮影したこれと殆ど同じ写真を数枚公表していて、正に、草で屋根を葺いただけの小屋が数棟写っていて、原始時代の人類の生活を見るようで、感に打たれた。
   完全に孤立した先住民が暮らしていることを立証し、ペルーからの違法伐採により彼らが深刻な危機にあるということに注意を呼び掛けるためにこの資料を公開することを決めた」と述べていたのである。
   英国の先住民支援団体サバイバル・インターナショナル(Survival International)は、このように、地球上には外界との接触を持たない部族が100以上暮らしているのだが、国際社会は目を覚まし、国際法にのっとって彼らの居住区を保護しなければならない。さもなければ彼らは絶滅してしまうだろう。と述べている。

   ブラジルには、このように、完全に人間生活から隔離された原始のままに居住しているインディオ以外に、ポルトガル人がブラジルを征服して以来、文明の中に取り込まれてブラジル人として生活している原住民インディオが、主に、アマゾン地帯に住んでいる。
   インディオの人口だが、征服当時は、600万人いたと言うのだが、1970年には、その数が20万人にまで激減してしまった。
   2000年には、その3倍の60万人までに回復したと言うことだが、原住民の殆どは、遊牧民で、夫々100人足らずの集団で生活しているのだが、広大な居留地が必要となり、その争奪のために激しい競争が起こっていると言う。

   これら原住民の土地取得要求が、アマゾン開発者を怒らせている。
   1%以下の人口の原住民に、ブラジルの国土の10%の居留地があると言うのだから、利害関係のない一般ブラジル人も、開発者に好意的なのだが、現実には、保護されるべき筈のインディオの居留地や生活は、無法状態も甚だしく、侵され続けている。
   ヴェネズエラとギアナとの国境でアマゾンの最北端に、Raposa-Serra do Solと言う新しい居留地が制定されたのだが、農業会社やダイヤモンド・金採掘者や林業、密輸業者などが、不法侵入して来たり、前土地所有者が、別荘を建てたりしており、ことを収拾すべく駐留した筈の軍隊が、原住民を弾圧していると言うのであるから、原住民の保護などは絵に描いた餅なのである。

   法律では、これらの居留地は、インディオの所有地なのだが、実際には、武装した白人の侵入者たちが、トラックや自動車で交通を遮断して外界との交渉を断ったり、インディオの酋長やシャーマンを脅し上げていても、政府は見て見ぬふりで、居留地は存在していても、紙の上だけの話だと言うのである。
   尤も、このような地域のボスや開発推進者たちの悪行は、インディオに対するよりも、WAGE SLAVERY すなわち、賃金奴隷の存在などを筆頭として貧しくて弱いブラジル人たちに対する過酷な労働搾取の実態やアマゾンの環境破壊問題などの凄まじさの方がもっと深刻で、BRIC’sとして脚光を浴びるブラジルの栄光とは逆の、ブラジルの影の部分でもある。

   さて、以上の記述は、ニューズウィーク記者として14年リオに在住し、その後、ニューヨークタイムズのチーフ記者として卓越したブラジルのエキスパートであるRARRY ROHTERの「BRAZIL ON THE RISE」から得た情報を参考にしている。
   この新しい本の翻訳文の出版は、まだまだ先の話だと思うので、現在のブラジルを活写していて、何十年も前の私のブラジル生活を髣髴とさせて非常に興味深く、残念ながら、今の日本には、ブラジル関連の良書が殆ど皆無なので、追って、章を追いながら、私の感想を交えながらレポートしたいと思っている。
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