熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

石破内閣の経済成長戦略は

2024年10月05日 | 政治・経済・社会
  石破内閣の経済対策について、石破首相は4日、秋に取りまとめる経済対策の策定に着手するよう閣僚に指示した 。経済対策は、物価高に対応して低所得者世帯向けに給付金を配るほか、自治体向けの交付金を大幅に拡充する方向だ。 と言う。

   関心のある経済問題だけに集中して、
   「石破首相「成長戦略を継承」 貯蓄から投資へ、流れ加速」を論じたい。

   「岸田政権で進めてきた成長戦略を着実に引き継いでいく」「資産運用立国の政策を発展させる」と言う前政権の経済政策を継承する考えを表明しており、「賃金が上がり消費が増え、人手不足対策を含む設備投資の拡大により更なる賃金上昇につながる好循環をつくる」と訴えている。
   GDPの半分を占める個人消費の回復を重視するとも唱えていて、消費を後押しするため食料品やエネルギー価格の上昇に対応する経済対策を打ち、物価高の影響を受けやすい低所得者に給付金を支給すると表明した。国民の将来不安を緩和するために医療、年金、社会保障の見直しに着手するとも語った。

   
   首相が提示した成長戦略は、
   「従来のコストカット型経済から高付加価値創出型経済へ転換し、投資大国日本を実現していく」と打ち出し、自動車や半導体、農業などを挙げて「輸出企業が外から稼ぎ、生産性を向上させるための投資を促進していく」。
   地方創生が「日本経済の起爆剤」だとも掲げた。最低賃金を現行目標の30年代半ばから20年代に前倒しして平均1500円へ引き上げる方針も提示し、成長分野への労働移転を促すためのリスキリングを説く。
   エネルギー政策を巡っては政府が24年度中に中長期戦略となる次期エネルギー基本計画を策定する。前政権は生成AIやデータセンターでの電力需要の増加をにらみ、安全性が確認できた原発を最大限活用する方針を示した。
   

   一方、施政方針演説での経済政策は、
   「経済対策を早急に策定し実現に取り組む」と表明した。
   経済対策は「物価高の克服」「日本経済・地方経済の成長」「国民の安心・安全の確保」を柱とする。物価高の影響を受ける低所得者世帯への支援や中堅・中小企業の賃上げ環境の整備、国土強靱化などを進める。
   物価上昇を上回る賃上げを定着させ、国民が生活が豊かになったと実感してもらう必要があると言及した。生産性の向上などにより、最低賃金を2020年代に全国平均1500円にする目標を掲げる。

   言っていることは、整合性はともかく、間違ってはおらず、必要な経済政策であるが、どうするのか、能書きだけで中身がない。
   根本的な問題は、持続的な消費回復や賃上げの実現には有効かつ実際的な成長戦略が欠かせない 、すなわち、持続的な実質賃金の上昇を維持するためにはそれ以上の経済成長が必要だと言うことで、全ての元となるなるのはテクノロジーの進歩など経営革新によって生産性を向上させて経済成長を持続することであって、その原資を十分に確保出来なければ、賃上げも出来ないし国民生活も豊かにならない。
   生産性の向上と言っても、単純ではなく、アセモグルの「生産性バンドワゴン」によると、
   生産性の向上が生み出した余剰が経済の他部門に振り向けられ、テクノロジーの進歩によって大きな改善が進み、新製品、新産業を誘発してそこにおける新たな労働需要を生み、と言った波及効果があってはじめて賃金が上昇して、生産性の向上が労働者に及ぶことが可能になるのである。
   この好循環の実現である。

   アベノミクスでは、成長戦略は、第三の柱として「民間投資を喚起する成長戦略(成長産業や雇用の創出を目指し、各種規制緩和を行い、投資を誘引すること )」と明確に標榜されていたのだが、不発に終わってしまったので、鳴かず飛ばずで成長から取り残されて、失われた20年が30年になり、先進国でも最低の水準に落ち込んでしまった。
   しかし、石破内閣は、良く分からない岸田内閣の新しい経済に、つけ刃の施策をくっ付けて継承するということで、さらに、成長戦略がぼやけてしまって、期待はできない。

   日本経済が低迷しているのはなぜか、
   少子高齢化による人口減もその一因だが、最大の要因は、日本企業の没落退潮で、国際競争力の著しい低下のみならず、ゾンビ化して存続そのものが危なくなってきており、産業構造とその基盤がどんどん弱体化して、それが全経済に伝播蔓延していることである。
   極論すると、歴史と伝統のある大企業の殆どは、成長発展から無縁の馬齢を重ねただけの停滞状態であり、その岩盤体制が日本経済を支配し圧迫していて、その風土環境が、日本の政治経済社会を仕切っているから、
   最先端科学やテクノロジーを追求し駆使して、イノベイティブで斬新な経営環境や新規企業が生まれて活躍する余地など醸成し得ないし、最先端を行く優秀な外資も呼び込めない。

   唯一の生きる道は、岩盤組織の旧態依然たる既存企業に起死回生の再建を迫り、出来なければ退場を強いて、産業構造を新陳代謝して根本的に改革することである。
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