日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

突き抜けられる強さが大切?

2011-01-04 20:10:43 | ビジネス
久しぶり(5日ぶり)に、近所の書店のビジネスコーナーを覗いてみた。
昨年から引き続き、ドラッカー関連とサンデル教授の書籍が、目立つところに置いてある。
そんな中、「ガラパゴス」をタイトルとしている本がいくつかあった。
実際、手にとって見ていないのだが「ガラパゴス」という言葉と書籍の帯から、昨今の日本製品の「ガラパゴス化」というコトを指していると分る。

日本製品の「ガラパゴス化」と言えば、多機能携帯電話などが真っ先に思い浮かぶ。
現在日本以外の国では、韓国の「サムソン」などが人気だ。
最近では携帯電話だけではなく、テレビなども海外では既に日本製品よりも韓国製品の方が、人気になっている(と言われている)。
20年以上前なら、考えられないコトだ。
「グローバル化」と言いながら、日本製品は「グローバル商品」となっていない。
むしろ日本市場限定人気と言うコトから、「ガラパゴス化」といわれていることは良くご存知だと思う。

それなのに、書店に並んでいる書籍は「あえてガラパゴス化を目指せ」と、言っている。
何故だろうか?と考えた時、「グローバル化」を意識しないで、突き抜けるほどのオリジナリティーのある「ガラパゴス化」なのでは?という考えに至ったのだ。
むしろ「ガラパゴス化」を目指すことで、よりユニークで独自の市場を創造できるのでは?
問題なのは「ガラパゴス化」という言葉に踊らされ、中途半端な製品を作ってしまうコトなのでは?

考えてみれば、30年ほど前の日本製品はユニークでオリジナリティーが高かった。
それが世界中で評価され、日本製品が世界をリードし、一種の「憧れ」のような存在にもなったのではないだろうか?
その「日本スタンダード」を追いかけ、作られてきたのが今の「グローバル製品」だとすれば、今の「ガラパゴス化」を突き詰めていくコトで、再び「日本スタンダード」となるコトも可能になるのでは?

今日、Yahooのトピックスをはじめ新聞各社のWEBサイトの経済ニュースでは、企業のトップたちの年頭の言葉が掲載されている。
「変革」「改革」という積極的な大きな変化を起こすためには、中途半端なグローバルを目指すのではなく、究極の「ガラパゴス化」を目指すコトが重要なのかもしれない。
そのためには、何が必要なのか?
それを考え・実行する1年であれば、日本経済の復活も近いような気がする。

成熟した社会?それとも・・・

2011-01-03 20:46:08 | アラカルト
「博報堂生活総合研究所」が、昨年暮にあるレポートを発表している。
「国の年齢イメージ調査」(注意:PDFファイル)というレポートだ。

この調査を見ると、日本のイメージは「52歳くらい」というコトになるようだ。
経済成長激しいインドなどが、20代というのは分らないわけではないが、既に成熟社会と思われる米国よりも、日本の方が5歳くらい年上のイメージだ。

確かに、今の日本は急速な「高齢化社会」になりつつある。
それだけではなく、「元気の無い内向き若者VS元気な外向き中高年」というイメージが定着しつつあるのも事実だろう。
でも、本当に若い世代が元気が無く、内向きなのだろうか?
もしかしたら、元気で外向き中高年が若い世代のチャンスを奪っているのではないか?
そんな気がしないわけではない。

その一つが、短期的スパンで成果を求める「成果主義」ではないだろうか?
経験が少ない若い世代に短期的成果を求めると言うのは、ある意味酷な気がする。
それを裏付けるかのように、今年の新聞には「人材育成というコトバが目立っていた。
バブルが崩壊して20年、日本は短期的な成果と利潤を求めるあまり、「人」に目を向けてこなかったのではないだろうか?
資源の無い国だからこそ、日本には「人」という資源を大切にしなくては、成長戦略など立てられるはずも無いのに・・・。
それを大企業中心に、やってこなかったツケが今なのではないだろうか?
そんな気がするのだ。
それが今回の、博報堂生活総合研究所の調査結果として現れているとしたら・・・。

だからと言って、中高年に「早期隠居」を勧めているのではない。
あくまでも「社会全体のワークライフバランス」という視点が、大切なのでは?と言うコトなのだ。
言い換えれば「社会の新陳代謝を上げる」というコトだろうか?

「成熟した社会=老齢化社会」ではない。
文化や社会全体に「ゆとりと寛容がある」コトで、新しいチャレンジが若い世代を中心に自由闊達にできる社会が、成熟した社会だと思うのだ。
今の「老齢化社会」の日本から、脱却する年が今年から始まるのかも知れない。


正月広告2-ミュージシャンと銀行-

2011-01-02 21:12:18 | アラカルト
昨日の「資生堂」に続く、「正月広告第2弾」というコトになる。
今年の新聞に掲載されていた「正月広告」の中で一際目を引いた広告があった。
それは、昨年「食道がん」のために活動を休止し、NHKの「紅白歌合戦」で復活した(と言うか、久しぶりに元気な姿を見せた)桑田圭祐さんの新しいアルバムリリースの広告だ。

桑田圭祐MUSICMAN

全国紙(私がチェックしたのは「朝日新聞」のみ)の「テレビ・ラジオ版」の真中2面を使った、大きな広告だった。
昨年のがん告知から心配していたファンの方々だけではなく、音楽ファンにとっても楽しみなアルバムリリース広告だと思う。
思うのだがその広告量(料)を考えると、相当な大掛かりな広告だと思う。
一人のミュージシャンの広告としては、異例の広告と言う印象がある。

だが、その広告には一つの仕掛けがあったようだ。
その答えは、桑田さんのアルバムリリース告知の裏面にある。
そこに広告を打っていたのは、三井住友銀行の「正月広告」。
この1月1日から、新しいテレビCMを流すと言うのが主な内容だ。

これまでの銀行の広告と言うと、「女性タレントさんがニッコリ笑っている」と言うのが、これまでのパターンだった。
ところが、今回の三井住友銀行の「正月広告」には、女性タレントさんどころか人物が登場していない。
文字だけの広告なのだ。
もちろん、文字だけの広告と言っても銀行名が羅列してあるのではない。
桑田圭祐さんの「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」の歌詞が、掲載されているのだ。

桑田さんの歌詞には、意味不明なコトバ遊びのようなモノもあるが、バラード楽曲となると、人の心打つ内容の歌詞が少なくない。
そしてこの「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」も、今を生きる私たちに勇気を与えてくれそうな内容になっている。

この楽曲をテレビCMに起用するだけではなく、新聞の「正月広告」に桑田さんの新しいアルバムリリースの告知広告と連動させることで、三井住友銀行はより強いメッセージを伝えようとしているのだと感じる。

その一つは、昨年桑田さんが「食道がん」という病気と闘い(おそらく、今でも闘っていらっしゃるだろう)、元気な姿で音楽シーンに戻ってくるという、「人生の闘い」に対するエール。
もう一つは、それを「銀行としてサポートしていきますよ」と言う、一番伝えたいメッセージ。
それを、桑田さんのアルバムリリース広告の裏面に掲載するコトで、関連性をもたせ、広告内容以上の効果を狙っているように感じる。

実際放送されているテレビCMはこちら↓
三井住友銀行「人は、人と、生きているんだ」

「心を新たにする」お正月だからこそ、効果がある広告と言う気がする。

正月広告-資生堂-

2011-01-01 20:25:56 | アラカルト
明けまして、おめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて、昨日は「大晦日に見た『お正月CM』」というテーマのエントリをしたが、今日は、新聞広告について。

例年、テレビCM出演をしている女優さんやタレントさんが登場する「資生堂」の広告。
それが今年は、一切登場していない。
代わりに登場しているのは、「資生堂」の顔であるメイクアップ商品群だ。
そのメイクアップ商品を、銀座の街に見立てている。

「1月1日新聞広告」

もちろん、資生堂が現在企業メッセージとして使っている「一瞬も、一生も美しく」というコピーはあるのだが、それよりもメイクアップ商品のカラフルさやその数に一瞬圧倒されそうになる。
だからと言って、資生堂が伝えたいのは商品の多さではない。
自社がある「銀座」という街が持っているポテンシャルのようなモノを、商品を街並みに見立てることで伝え様としているように感じるのだ。

ここ2、3年で「銀座」という街は、様変わりした。
かつてのような「日本で一番お洒落で、ハイセンスな大人の情報発信地」という趣きから、国内外のファストファッションや、家電量販店が進出するようになってきた。
「大人の街・銀座」という雰囲気が、消え去ってしまったように感じるのだ。

そんな「銀座」を自社ビルのオープンとあわせて、リニューアルしたい!と言う気持ちが伝わってくるのが、今年の広告なのだ。

今日掲載されている、イヴ・サンローランのコスメ広告も目的やメッセージは違うのだが、Popさと言う点では、似た雰囲気がある。

「YVES SAINLAURENT LOVE CELEBRATION」

こちらは、あくまでも新商品発表を兼ねたコフレ(=少量の最新化粧品がセットでオリジナルポーチなどに入った限定商品)の広告。
これまでの海外ブランドの多くは、外国人モデルや女優さんのアップ写真が使われることが多く、今回のようにサンローランの名前と今回のテーマ「LOVE」を手書き風の文字だけで表現すると言うのは、珍しいように思う。
それが逆に、目を引く結果になっている。

何となくだが、「資生堂」も「イヴ・サンローラン コスメ」もあえて人を使わないことで、「化粧品は美しさだけを作っているのではない。その先にあるモノを作っている」というメッセージを伝えているような気がする。
「その先にあるモノ」とは、今年1年掛け、様々なカタチで発信されていくのでは?と、思っている。