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「企業価値」って、何だろう?

2023-09-01 21:27:29 | ビジネス

昨日議決された、西武池袋の株式譲渡。
今日になって、その売却価格が判明した。
日経新聞:セブン&アイ、そごう・西武売却 実質譲渡額は8500万円 

実はこの見出しを見た時には。譲渡額を3,4回確認をしてしまった。
それほど、想像していた譲渡額よりも遥かに低い額だったからだ。
記事にもあるのだが、企業価値を約2200億円を算出していた。
それが1割にも満たない額で、譲渡されたということになれば、「そごう・西武」という百貨店の企業価値とは何だったのだろうか?ということになる。
答えとなる内容は、記事中にあるがそれにしても当初の算出額と実質的譲渡額が、違い過ぎるコトに驚いたのは私だけではないと思う(というか、信じたい)。

この「実質的譲渡額」だが、算出の対象となっているのはどちらかというと、決算報告等に記載されている内容から、相当額の負債があったために減額されている、ということが分かる。
しかし「企業価値」は、それだけで判断できるのだろうか?

20年以上前から言われている「ブランドエクイティ」という言葉がある。
別名「見えざる資産」ともいわれ、企業のブランド価値を示す言葉だ。
昨今では、すっかり聞かれなくなった感がある言葉だが、この「ブランドエクイティ」を示すコトが、米国のGAFAなどの「企業価値」として使われている。
GAFAそのものは、「決算報告書」などで発表される数字も巨額で、それだけでも「資産価値(あるいは、投資価値)が高い企業」という見方ができる(はずだ)。

しかし、このような「決算報告書」などに記載されていない企業価値の高さを目にすることがある。
特にAppleなどは、「決算報告書」などに記載されている数字よりも、ブランド価値が高い企業として言われるコトが多いような印象を持っている。
すなわち、企業には「決算報告」等で示される「資産」と、社会が感じている「企業価値」という資産の2つがある、ということなのだ。

今回の「そごう・西武」の西武池袋本店の譲渡額は、どこまで「西武池袋本店」という「ブランド価値」を見ていたのか?
その「ブランド価値」を踏まえての譲渡額だったのか?
ということを、考える必要があると感じている。

何故なら、上述した通り「ブランド価値」は、「見えざる価値」だからだ。
もし「ブランド価値」も踏まえた上での譲渡額だとしたら、「そごう・西武」という百貨店グループの「ブランド価値」が、とても低かったということにもなるだろうし、それは「日本の百貨店」の「ブランド価値」の低下とも考えられるからだ。

確かに、バブル経済崩壊後の百貨店は「売り場貸し業」と揶揄されるようになり、「百貨店」としての価値があったのか?という問題はある。
地方の百貨店がどんどん閉店・廃業に追い込まれている中、百貨店の代わりとなっているのが、イオンなどのショッピングモールだ。
百貨店は無くなっても、イオンのショッピングモールが新たに進出する、という地方もあるのではないだろうか?
だからと言って「百貨店の社会的役割は終わった」と、言ってしまってよいのだろうか?

「ダメになった理由」を上げればキリがないだろう。
だが「ダメになった理由を言い訳」にし、ブランド価値を上げるということをしてこなかった、ということもまた事実のような気がしている。
今回の「そごう・西武」の譲渡額は、小売り業そのものが「自分たちのブランド価値・社会的価値」を新たに見つけ、創っていくコトが必要になってきている、という警告のような気もするのだ。





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