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何ぜ、問題の本質を見誤ってしまうのか?

2018-07-30 19:55:43 | ビジネス

日本での代金決済を「キャッシュレス化したい」と、銀行が考えているらしい。

Yahoo!トピックス(毎日新聞):<銀行業界>「キャッシュレス化を主導」の大いなる勘違い
(本来であれば、リンク先を元の記事を掲載している毎日新聞にしたいのだが、毎日新聞では「会員記事」となっており、全文を読むことができず、Yahoo!のトピックスでは、全文が紹介されているため、Yahoo!のトピックスをリンク先としている。)
この記事の見出し、随分銀行業界に対する「ダメ出し」記事という印象がある。

代金決済というと、企業間で行われる商取引のように思われるかもしれないが、生活者が近所のスーパーやコンビニで、お金を支払うことも「代金決済」の一つだ。
そしてこの記事でいう「キャッシュレス化」というのは、このような生活者がほぼ毎日のように利用しているスーパーやコンビニなどの小売店などの決済を「キャッシュレス化」にしたい、ということのようだ。

この記事を読んで、一つ思ったことは「案外、キャッシュレス化は進んでいるのでは?」ということだった。
例えばイオンの発行している「WAON」、セブンイレブンの「nanaco」などは、クレジットカードではないが前払いチャージ式のプリペイカードだ。
代金の決済はカードで行われている。
他にもスマートフォンなどに搭載されている、電子マネーなども「キャッシュレス」での決済方法だし、もっと身近なところでは鉄道系のプリペイカードなどもそうだ。
学生さんなら「図書カード」を思い浮かべるかもしれないし、最近は百貨店の商品券もこのようなプリペイ式のカードになってきている。
クレジットカードのような、審査を必要としない前払いチャージ式のプリペイカードそのものは、案外身近で頻繁に利用しているはずだ。

イオンの「WAON」やセブンイレブンの「nanaco」、鉄道系の前払いチャージ式のプリペイカードは、利用するときには現金は必要ではないが、チャージをするときには現金が必要になる。
相互利用ができないプリペイカードも少なくない。
何より、地方に行くとプリペイカードが使えない所もある。
実際、昨年の春までは、実家がある米子駅では鉄道各社のプリペイカードが使えなかった。
「利用できる・できない」という点で、生活者の利便性を上げないと、このような前払いチャージ式のプリペイカードの全国的な利用は、拡がらないだろう。

ただ、銀行業界が考えている「キャッシュレス化」の意味は、少し違うのでは?という気がしている。
というのも記事中にあるようなQRコードや仮想通貨なのか?と思ってしまうようなお金の在り方は、プリペイ式のカードでの支払いとは全く関係が無く、単純な「キャッシュレス化が進まない理由」とは、違うように思えるからだ。
それはこの「キャッシュレス化」を推進したいと考えているのが、銀行業界という点だ。

なんとなくだが、銀行業界の考えている「キャッシュレス化」とは、クレジットカードのことを指しているのでは?という、気がしている。
何故なら、銀行は「口座」を持っているからだ。
クレジットカードの引き落としは、銀行の口座になっており、「生活者のお金の流れ」そのものを、銀行側がつかむことができる。
どのような買い物をしているのか?という細かな情報ではなく、「生活者の財布を、銀行が管理することができる」というメリットに、銀行側は期待しているのでは?という、うがった見方をしてしまうのだ。

それは銀行側にとってのメリットであり、生活者の利便性とは違うモノだ。
おそらくクレジットカードそのものは、一人当たりの保有枚数は少なくないと思っている。
使うクレジットカード・使わないクレジットカードがあるのでは?
そう考えれば「(生活者が)使いやすいクレジットカードと使いにくいクレジットカード」の違いは何か?という理由を真っ先に調べる必要があるはずだし、単純に「キャッシュレス化」というのであれば、プリペイ式カードを含め利用者である生活者の利便性を、優先して考えるべきなのだ。
「キャッシュレス化」が進まない問題の本質は、そこにあるのだから。



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