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立場によって、とらえ方が全く違う‐アップル社のEV撤退ニュース‐

2024-02-28 19:58:15 | ビジネス

Yahoo!のトピックスでも取り上げられていた、アップル社のEV事業撤退のニュース。
bloomberg:アップルのEV開発計画中止、テスラやビッグスリーに安堵感与える 

アップル社がEV開発を計画していたことは、知られていたことだったのだろうか?
実は、今回の報道でアップル社がEV車の開発に取り組んでいたことを、初めて知った。
以前聞いたことがあったかもしれないのだが、記憶の中には無かったニュースだった。

そしてbloombergの記事にある通り、今回の開発計画撤退は既にEV車を製造・販売しているテスラだけではなく、ビッグスリーと呼ばれる、米国の自動車メーカーにとっても朗報だったようだ。
テスラはともかく、ビッグスリーに関してはこれまでEV車に対してどれだけ積極的であったのか?という、疑問を感じる部分がある。
というのも、米国の自動車メーカーは、EV車は勿論ハイブリッド車に対しても開発に積極的ではない、という印象があったからだ。
その理由として挙げられげるのが、石油資源を米国自身が持っている、ということに関係している。

日本のように、石油そのものを100%(に近い)輸入依存であれば、ガソリン価格が常に変動し続けることで、ガソリン車を持つことそのものが生活のリスクになりつつある。
その為水素エンジン車等を含めた「脱ガソリン車」の研究開発に積極的にならざる得ない、という状況がある。
それに対して、そのような問題が極めて少ないと思われる米国は、自動車メーカーは消極的であってもおかしくはない。

ただ、テスラの登場はビッグスリーにとって、脅威になり始めているのでは?ということは、想像できる。
それは、社会の意識変化という石油とは関係の無い,要因だ。
CO2削減に始まり、「脱炭素社会」という意識変化は、ガソリン車に対する意識を大きく変えるきっかけとなったはずだからだ。

そのような社会意識の変化の流れの中で、アップル社がEV車の開発というのは、IOTと関係するこれまでとは違う市場をつくるのでは?という、脅威になっていたのでは?と、想像できる。
アップル社が、単に「電気自動車をつくる」ということであれば、ビッグスリーもさほど脅威には感じなかったと思う。
脅威に感じた理由IOTと呼ばれる、生活者の利便性を考えたネット化であり、そのような技術を既に持っているアップル社だからだ。

上述したように、単に「電気自動車をつくる」というだけであれば、ビッグスリーは心配することもなかったはずだ。
「安堵する」理由は、「電気自動車」ではなく、「電気自動車を使った生活のシステム化」という技術や研究が遅れているからだ。

では、何故アップル社は撤退を決めたのか?ということも、考えていきたい。
一つは、今年の冬米国を襲った大寒波があったのでは?という、気がしている。
この大寒波により、テスラのEV車用の蓄電池が、一時期使えなくなる、ということがあった。
Gigazine:凍てつく寒さの中死んだテスラ車が並ぶシカゴのスーパーチャージステーション、「ここは死んだが集まっている」 

EV車の開発は、車の開発だけではなく、EV車用の蓄電池まで考える必要がある。
その中で、低気温により充電できなくなる、というのは開発設計そのものを見直す必要が出てくる。
テスラの場合、既に市場に出ている製品なので、改良をし続けるということになるはずだが、一から設計を見直すというのは、双六でいうなら「振りだしに戻る」位の問題になるのでは?
その開発の見直しリスクを考えた時、撤退ということも選択肢の一つとなったのではないだろうか?

ビッグスリーにとっては、アップル社で開発に携わっていた研究者のハンティングを積極的に行うだろうし、アップル社側はAI事業へ振り替えたい、という意思があると報道があるので、やはりアップル社のEV車開発の目的は、電気自動車の開発というよりも「電気自動車をIOT化させ、生活全般にアップルを浸透させることだった」ということもわかる。
事業の最終目的と目標の違いが、ビッグスリーとアップル社との間にある、ということを考えると、ビッグスリーの動きに注目する必要があると思う。




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