日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

メディアの力と問題点

2012-11-04 18:00:50 | 徒然
昨日、「乳がんセミナー」へ出かけた。
この病気を得てから、都合があえば乳がんに限らずがん全般のセミナーへ出かける様にしている。
その理由は、がん患者にとって一番大切なコトは「情報収集と知識」だからだ。
講演される先生は、臨床の第一線で活躍をされている先生ばかり。
当然、最新で的確な情報と知識が得られるので、できれば「がんとは関係無い」時から、参加されるコトをお勧めしたい。
個人的には、ビジネス上の情報と知識を得るコトと似ている気がしている。

昨日の講演を聴いて、チョッとビックリしたコトがある。
それは「メディアが生活者にとって都合の良い情報だけを、流しやすい」というコトだ。
「乳がん治療」の第一選択となるのは、現時点では手術になっている。
最近話題となっている女優の樹木希林さんが行った「陽子線治療」という治療法もあるが、あくまでも遠隔転移をし、効果的治療法が無いと考えられる患者さんが対象となっており、保険適用外(=自費)の治療。

そんな中、一部メディアが「手術をしなくても治る」と言う治療法を、大々的に報じて困っている、というお話をセミナーでされたのだった。
講師をされた先生は、具体的な治療法名などを言わなかったのだが、ある程度乳がん治療についての知識のある患者さんであれば、想像が付く治療法だと思う。
乳がん患者さんにとって「手術をしない=乳房のカタチが変わらない」というのは、大きなメリットだ。
ここ10年で手術法も随分増え、乳房再建方法もより安全できれいな術法が行われる様になってきた。
とは言っても、「自分のオリジナルの乳房を失う」という喪失感は、免れない。
だからこそ、「手術をしない治療」に飛びつく患者さんの気持ちは、十分過ぎる程判るのだ。
しかし、この治療法は再発転移がしやすく、わかり難いと言うデメリットと危険性が高く、実際、相当進行した状態で、他の乳腺外科に飛び込んでくる患者さんが最近増えているという。

講師の先生は、大々的に報じたメディアが、NHKとなればより問題は大きいと思い、発言をされたのだと思うのだが、不思議なのは、厚生労働省などが認めている標準治療では無く、患者へのデメリットと危険性が高い治療法を何故、公共性の高いメディアが報じるのだろう。

落とさなくても良い命を落とす患者さんが出てきてしまう、そんなデメリットや危険性の説明なしに、患者にとって都合の良い情報だけを報道するのは、メディアのあり方として、問題は無いのだろうか?




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