日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

企業もボーダーレスの時代?

2014-12-27 20:09:50 | ビジネス

昨日で仕事納め、という方も多かったのではないだろうか?
今年、話題になった企業といえば、エボラ出血熱の治療薬として注目された「富士フィルム」だと思う。
治療薬を作っているのは、富士フィルムの関連子会社である製薬会社なのだが、富山の小さな製薬会社を傘下にしていた、という事実に、驚かれた方も多かったのではないだろうか?
もちろん「富士フィルム」側からすれば、ボーダーレスでもなんでもなく、企業の重要事業領域の一つに「ヘルスケア」を掲げ、その一つとして、今回「エボラ出血熱」の治療薬として注目された製薬会社を傘下にしていただけのことだったのだろう。
ただ見方を変えると、今年は「企業の(事業内容の)ボーダーレス化」が活発になり始めた、という年だったようにも感じる。

企業における「異業種参入」というのは、何も今に始まったことではない。
バブル真っ盛りの頃、様々な企業が事業ノウハウを全く持たない異業種に参入する、ということは間々としてあった。
一番多かったのは、自社の保有地を活用した不動産事業やリゾート事業だったような記憶がある。
しかしバブルが崩壊した直後から、参入した不動産事業やリゾート事業が不振に陥り、本業部分では黒字決算であるにも関わらず、新規参入した事業の赤字が膨大に膨れ上がり、倒産した企業もいくつもあった。
そのような経験から、「やはり本業に力を入れるべき」という、堅実な経営が見直されるようになった。

このような「堅実な経営」というのは、企業体力を維持していくには良いのだが今のように様々な市場が飽和状態になっていると、躍進というか企業全体の伸びは期待できない。
まして、ITの一般化により社会の変化は、バブル期の数倍の速さで変化している。
時代の社会変化に対応できなければ、企業そのもの生き残りが厳しくなっている、というのもまた事実だと思う。

そんなときに「富士フィルム」の製薬会社を傘下におさめていた、ということはある種の驚きとともに「企業のボーダーレス化」ということを実感させたのではないだろうか?
バブルの頃と大きく違うのは、企業側がしっかりと経営ビジョンの中に新しい事業分野を組み入れている、という点だ。

先日大型書店である丸善が、ジュンク堂書店を吸収合併というニュースが流れた。
おそらく、この吸収合併を進めたのは、「電子書籍」の影響があったのでは?と、考えている。
ご存知の方も多いと思うのだが、丸善とジュンク堂書店は共通の「honto」というポイントカードを発行している。
そしてこの「honto」を運営しているのは、印刷会社である大日本印刷だ。
その大日本印刷は、同じ「honto」という名前で「電子書籍と書籍通販サイト」を運営している。
ちなみに毎週末、FMで「感じて漢字の世界」という、わずか5分ほどの番組も提供しており、番組で紹介された白川文学の内容を「聴く・読む」の両方で楽しむことができる「配信事業」も行っている。

「本」をキーワードにし、書籍の販売を丸善やジュンク堂書店といった実店舗での支援を行いつつ、紙の本と電子書籍の配信事業を行うだけではなく、試験的な内容ではあるが「聴く本」という配信サービスも手掛けているのが、大日本印刷、ということになるのだ。
かつてのように、印刷会社という領域だけでは考えられない、事業展開をしているともいえる。
そう考えると、以前言われていた「電子書籍VS紙の本」というやや敵対的関係ではなく、様々な方法によって「読書(場合によっては聴書かもしれない)を楽しみを提供する」という事業をボーダーレスに提供している、ということになる。

おそらく、このような傾向は来年はますます加速するのではないだろうか?
「エ!こんな会社がこんなサービスや商品を提供するの?」という驚きだけではなく、その背景にはいくつもの企業が協力しあうことで市場そのものの形成がボーダーレス化する・・・そんな予感をさせる今年だったように感じる。





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